◆NHK-BS 食の革命・10年後 私たちは何を食べている? | ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

いつしか食べ歩きがライフワークになってしまった今日この頃。
美味しかった店はもちろん、雰囲気の良かった店を紹介していきます。
2023年12月に外食記事 4000号を達成しました。
ちょこちょこ地域別索引も更新中。

▼写真AC:FRANK211提供のフリー素材「海岸に漂着した流木」


パリ・老舗デパートの食料品売り場
市民には、地球環境の負荷を少なくしようという流れと、地元のものを食べようという地産地消がある。
もう一つの流れとして、新しい食材の登場。
植物性代替肉から作られたハンバーグ、ソーセージ、ミートボール。
マメ類、イモ類、藻類など、植物由来の材料で作られた肉状の食品。
大いに売れていて、ヨーロッパで2年間で49%も売り上げが伸びた。
2020年の売り上げは(2018年約24億ユーロから)約36億ユーロ。

環境への負荷が小さく、次世代の主たる食材をになると注目されている。

今年の夏も熱波が襲ったヨーロッパ
大規模な森林火災が相次ぎ、地球温暖化に代表される環境の変化を目の当たりにしている。
更に地球全体では人口の増加が続き、(世界の人口)2020年 80億人が2050年には97億人になると言われている。
いかにしてこの多くの人口を支えていくか、地球規模の課題に立ち向かおうと、新しい食材の開発が今急ピッチで進んでいる。

ドイツ北部の街、リューベック。
バルト海に近いこの街では、昔から海の幸が好んで食べられた。
魚フライのファストフード店が数多くある。
ブルーシーフード社CEO・セバスチャン・レイカーズさんは2年前、近未来の食品を作るベンチャー企業を立ち上げた。
もともと海の多様性を研究する学者だったレイカーズさん。
近年の海の環境破壊を目の当たりにして、起業を決意した。
インド洋でダイビングをしている時に、サンゴの白化現象が起きていることを知った。
サンゴは海水温の上昇によって破壊されている。
他には、底引網漁をした後の光景、網が海底を通った跡を見ると砂漠と同じような何もない光景が広がっていた。
「私はとても腹が立ち、こう思いました。どうしたら、この状況を変えることができるのだろうかと」
海洋学者になったレイカーズさん。
温暖化や魚の乱獲など、人間の活動などで海が傷ついていくことが許せなかった。
いっそ陸上で魚を生産する方が良いのではないか、ということに気づいた。
こうして、2020年バイオテクノロジーで魚肉を作る会社を立ち上げた。
作るのは、培養魚肉と呼ばれるもの。
まずサケやマスから、増殖する能力を持つ幹細胞を採取する。
これを最適な温度と栄養分の中で培養する。
細胞が1週間で100倍に増える。
単純化していえば、1匹分の魚肉が100匹分に増える、ということ。
こうして出来た細胞をデンプンを使って固め、培養魚肉になる。
「現在はまだ1kgの魚肉を作るのに10万円かかるが、コストを下げる近い将来販売にこぎつけたい。私たちは幹細胞が増殖するという、自然の持つ魅了的な機能を学び、それを利用しようとしているだけである」
レイカーズさんたちの培養魚肉が世に出るまでは、もう一つ越えなければならない壁がある。
EUの機関から、安全な食品だと認められること。
EUには、新しい食べ物に関する規制がある。
Novel Food規制:1997年以前に流通していなかった食品は「安全性」と「適切な食品表示」の審査を通らないと販売出来ない。
培養魚肉の審査の結果が出るのはこれからだが、味には自信があるそうだ。
NHK有馬嘉男・ヨーロッパ総局副総局長が試食。
培養で作る魚肉は、脂分が無いため、さっぱりとした味。
そこにつなぎのデンプンの脂身のような食感が加わり、ジューシーな味わいだった。
「まだ10年や20年は漁業や養殖に依存することになるでしょうが、私は長期的にはこのような培養魚肉が、魚肉の商業生産の大部分を占めるようになると思っています」

パリで活躍する日本人シェフの1人、手島竜司さん。
普段は食材にこだわり、各地の産地に足を運んでは納得のいくものを仕入れている。
今回は新しい食材を使った料理に挑戦してもらった。
1つ目は植物性代替肉で再現したハラミ。
脂のコクとか、味の厚みみたいなものがないので、テクスチャー(食感)で脳をだましているような気になったそうだ。
不足している味のコクや味の厚みを加えようと、野菜と一緒に煮込むことにした。
植物性代替肉のラグー・パータブリック包み
新しい食材は新たな発想、新たなおいしさに繋がるのかもしれない。
この代替肉はイスラエルが開発したもの。

イスラエルの食品のベンチャー企業で、画期的な飲み物が開発されようとしている。
牛の乳腺の細胞の遺伝子組み換えと、細胞環境を変えるという2つの方法で操作している。
タンパク質を生み出している細胞。
地球規模の課題があるため牛を飼わずに牛乳を作る。
環境に負荷をかけずに生産できる。

イスラエルでは国の方針として、食の分野のベンチャー企業の投資に力を入れている。
セイボーイート社が開発しているのは、代替肉専用の調理ロボット。
人工知能を組み込んだロボットで、お客の注文に応じて、その人の好みに合った料理を提供できる。
このロボットには、さまざまな代替肉をセットすることが出来る。
そしてその肉が3Dプリンタの技術によって、ハンバーグへと姿を変えていく。
程よい柔らかさに焼き上げるようだ。
この秋から本格的に市場に参入する調理用ロボット。
会社の目標は、家庭用の小型ロボを生み出し、代替肉の食事を普及させること。
「スマートフォンを使い、自動的にニーズや好みに合わせた製品を提供すること。もちろん味や食感も妥協せずに提供することが私たちの未来です」

なぜイスラエルは国家をあげて未来の食に投資しているのか。
イスラエル・イノベーション庁・事業開発シニアディレクター:カリーナ・ルビンシュタインさん
「食の産業にそれだけ投資している理由は、近い将来、自給自足の国を実現するためです。イスラエルにとって食料の確保はとても重要です。もしもそういう環境を生み出せなければ、他のマーケットに頼ることになってしまいますからね」
今年、ロシアのウクライナ侵攻により、ウクライナの小麦の輸出が一時停止、食料の供給が高度にグローバル化した世界。
ひとたび紛争が起きれば、日本を含めいくつもの国が食糧危機に陥るリスクがあると、気付かされた。
周囲の国々と紛争が絶えなかったイスラエルにとっても、食料の安全確保は、国の建国以来、重要な課題なのである。
国土の60%が砂漠で、農業に適した土地が少ないからである。
それでも独自に発展させた点滴灌漑のおかげで高い食料自給率を維持している。
現在は概算で70%ほどだが、国は高い危機感を持っている。
「以前はもっと高い自給率でしたが、イスラエルの人口が増えて、下がってきているのです。だからこそ、私たちは食品の新しい分野に投資しているのです。今後5年から10年、さらに投資を続け、新しい食品の分野を一つの産業として成長させたいと考えています。最終的な私たちの狙いはここにあるのです」

イスラエルの培養肉の分野では、世界に先駆けて量産体勢を整えた会社がある。
フューチャーミート社創業者・ヤコブ・ナフミアスさんが2018年に立ち上げた会社。
培養肉の世界初の生産ラインを見せてくれた。
「バイオリアクター」細胞に栄養を与えて培養するタンク。
一日400gおよそ200羽分の鶏肉を生産できるという。
ここに至るまでには乗り越えなければならない大きな壁があった。
2014年当時の生産コストは1キロあたり200万ドル(2億円以上)かかっていた。
コストを下げるためたどり着いたのは、胚性の繊維芽細胞。
(増殖能力が高く、栄養を与え続ければ、半永久的に増える)
この細胞を使うことで生産効率が一気に高まった。
さらにもう一つの取り組みが、飛躍的なコストダウンを可能にした。
独自のリサイクル装置にて、培養に使う栄養素を再利用している。
廃棄物を70%以上も削減したことで、コストを劇的に下げることができた。
細胞を培養する液体の入った液体は値段が高く、コスト高の要因だった。
しかし独自技術の開発により、その液体を何度も使えるようになった。
今日では1キロあたり14ドルから20ドルで作ることができる。
つまり、鶏の胸肉1枚(100グラム)が、1.4ドル(約200円)でできるようになった。
現在EUやアメリカで、食品としての認可を待っている。
生産コストの減少により、世界の市場に打って出るメドがたった。
この会社は世界から投資を呼び、3億4700万ドル(約400億円)の資金調達に成功した。
その資金で、まずはアメリカに大規模な生産工場を建てる予定。
そして、いずれは世界中で培養肉を販売したいと考えている。
取材班が試食したところ、脂を使っていることもあって、ほぼ普段の焼き鳥と変わらない味だったという。

フランス・パリ
手島シェフに、中間ウィートグラス穀物の粉を使ったガレットを調理してもらった。
小麦と違うのは、1年で終わらない、何年も生きる多年生という点にある。
乾燥にも寒さにも強い。
世界的な気候変動のために、穀物がこれまで通り収穫出来なくなっている。
その中で次世代の主食用食物の候補として、注目されているのが、厳しい環境で育つ中間ウィートグラス。
リッチな感じがないけど、懐かしい感じ。

デンマーク
中間ウィートグラスの研究プロジェクトが進んだ。
中間ウィートグラスは厳しい自然環境には強いものの、粒が小さいのが欠点である。
同じ畑での収穫量は、小麦の5分の1。
主要穀物になするには、粒の大きいものに改良して、生産効率を高める必要がある。

カールスバーグ研究所・セーレン・クヌッセン博士
「5年のプロジェクトがまだ4年残っているので、その間に粒の大きさを2倍にすることが目標。将来的には、小麦と同等の大きさに近づけたい」
品種改良は種麦を、EMSという化学物質に1日浸して、遺伝子の欠損を誘発することで行う。
品種改良にかつてないスピードを求めている理由は、急速な気候の変化にある。
通常夏は涼しいデンマークが、暑い夏を迎えている。
急いで開発することが急務である。

デンマークのプロジェクトでは、パルムグレン教授が健康食品のキヌアが注目されている。
雑穀として南米で食べられてきたが、長年サポニンを取り除く手間があった。
サポニンを取り除く品種改良が進みつつある。

フィンランド
2017年創業のベンチャー企業・ソーラーフーズ社CEO・パシ・ヴァイニッカさん
空気を使って作る食品。
二酸化炭素が主原料の単細胞のタンパク質の粉。
匂いはないが、旨味成分があることがわかった。
ビタミンAが豊富で、栄養的には、乾燥させた肉や大豆、あるいはニンジンの特徴を持っている。
パスタやケーキ、スープなど飲み物への応用を模索中である。
フィンランドの大地から新種の微生物が見つかった。
この微生物に、空気から取り出した二酸化炭素、水を電気分解した炭素、残った水素と別に空気から取り出した窒素でアンモニアを作り、与える。
それによって微生物が増殖し、タンパク質が生まれていく。
ミネラル分の4%以外は空気で足り、半永久的に作り出せる。
生産に必要な電力は太陽光や風力で十分にまかなえるのも画期的である。

これから、私たちの食はどうなっていくのだろうか。
これからの「食」考える料理
手島シェフが番組の最後に出したのが、プレ・ロティ(鶏の丸焼き)。
「みんなで分け合う」って食べる食卓の時間というのは残って欲しい。
カプセルだけですますようにはなってほしくない、というメッセージだった。

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1973年に『ソイレントグリーン』という映画があった。
地球の未来を描いていて、人口爆発により資源不足な世界にある会社がソイレントグリーンという食品を発売した。
疑問に思った主人公(刑事)が工場に潜入したところ、人肉だった。
未来がこの結末と一緒にならないように、開発者には頑張って欲しい。

日本では、何も進んでいないのか。

映画で描かれていたのは、ちょうど2022年。


NHKスペシャル「世界牛肉争奪戦」の記事はこちら(2015年4月4日)
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http://ameblo.mom/miyacar/entry-12010025390.html

では、明日。