晄史、
「へぇ~~~。そこまで。」
耀司、
「うん。もぅ~~。凝りに凝って、ベースの道を~~ってね~~。…しかも、それが、上手いからしょうがない。ベースやって50年以上だから、若い頃には、アチコチのバンドから引っ張りだこ。いっつも蔵の中で酒盛りしてたよね~~。まっ。その影響かな、僕もジャズ好きになって、サックスがね~~。レコードなんかも結構買ったけど、親父には到底敵わない。もぅ、本棚にギッシリ。あそこまで行けば、完璧にセミプロ。」
睦美、
「うんうんうん。」
いつの間にか睦美も誓の隣に。
…そして…。時間はすぐさま。
午後3時過ぎ。
耀司、3人に、
「では。そろそろ。」
晄史、ニッコリと、
「はい。また。ですね。」
その顔に耀司も、
「はい。ありがとうございます。」
誓と睦美に、
「どうも、ごちそうさまでした。」
ふたり共に両手をヒラヒラと、
「いえいえ。」
誓、
「あ、お義姉さん。」
その声に睦美、
「あ。そうだ。キッチンに。」
そして…。
「これ、娘さんに。名前、ちょっと。分かんなく。」
「芙美花と言います。」
ニッコリと耀司。
睦美、
「ふみか…、さん。」
誓、
「うん。ふみかさんね。アップルパイです。お口に合うかどうかは分かんないけど。」
耀司、箱を受け取って、
「すみません~~。娘にまで~~。」
誓と睦美、
「いえいえ。」
睦美、
「あ。」
廊下に出て、2階の方に、
「おかあさ~~ん。高井戸さん、帰る~~。」
耀司、
「あ。いや…、寝てらっしゃるのに起こしちゃ。」
睦美、ニッコリと顔を傾げて。
玄関で靴を履いている頃には…。
暁美、
「また、いらして下さいね。是非~~。」
耀司、その声に、
「あ、はい。ありがとうございます。」
そして…。ガレージの前で耀司、
「ウチにも是非今度。」
晄史、その声に、
「ほんとですか…???」
睦美と誓は微笑みながら…。
耀司、
「えぇ。是非。娘と僕としか、いませんけど…。」
睦美、
「機会があれば。」
耀司、ニッコリと。
「お待ち、しております。」
車に乗り込んで。
そして…。窓を開けて。
「じゃ。」
4人共に、お辞儀を。
クラクションをひとつ鳴らして車は走り出す。
晄史、後ろを向いて、
「あ~~~~楽しかった~~。」
その声に睦美も誓もお互いに顔を見せ合いニコニコ、
「うんうんうん。」
晄史ふたりに、
「高井戸さん、みんな食べてったよね~~。」
睦美も誓も、
「うんうんうん。」
誓、
「しかも、食べっぷりが…。良かったよね~~。」
睦美、
「ははははは。」
耀司も運転しながら、
「しっかし、デカイ家だね~~。…それに…。亡くなったおとうさん。何と凛々しい顔立ち~~。」
耀司、眞鍋家のリビングの上に飾られていた複数の写真を思い出しながら…。
「これが…、眞鍋さん。お義父さん。」
晄史、写真を見て、
「えぇ。」
「何と。」
耀司。
「凄い、凛々しいって感じですよね~~。しかも、恰幅がいい。」
「建設会社一筋。」
耀司、話を聞きながらに、
「ふ~~ん~~。」
そして…、
「何かしら、圧倒されるような…。…って言うか…。」
自分でそういう風に言ってみて、顔を傾げて、
「あれ…???あは。そっか~~。うんうんうん。」
ひとりで納得して…。
そんな高井戸を晄史、
「高井戸さん…???」
耀司、
「あ、いえ…。いやいやいや。圧倒されるって、ねぇ~~。晄史さんや睦美さん。…それに、おかあさんも一緒に日本に連れて来て結婚って言うんだから、凄いよ。うんうんうん。確かに。しかも、こんな凄い家。」
「それは僕らも最初、驚きました。」
耀司、晄史の声に、
「えへ…???」
「元々、お義父さんには奥さんも子供さんもいて、結婚する前に、この家を建築したらしいんです。」
「へぇ~~。そうなんだ~~。」
「…でも…。列車事故で、奥さんと子供さん、亡くして。」
「うそ。」
「脱線事故だったらしいです。」
誓、キッチンの方から、
「私もその話聞いてビックリ。」
耀司、
「何と。」
「葬儀には、建設会社の人もたくさん列席したそうです。社員や上層部からも愛されていた人だったって。自分から、俺は恵まれているって、いっつも言ってましたから。」
睦美。
耀司、
「そうだったんですね~~~。」
ふと思い出す耀司、
「ははは。ウチのカミさんも…。」
顔を傾げて、
「かな~~~。ははははは。」
誓、
「へぇ~~~。」
耀司、
「あ。でも、葬儀はこじんまりと。家族葬でしたけど…。でも…、病院の院長や看護総師長は、勤務の途中で…。あ、ほら。コロナで中々…、以前までの何人も集まっての葬儀って…。出来なくって。」
誓、頷きながら、
「あ~~~。うんうんうんうん。」
「けど…。」
耀司、
「葬儀が終わった後の方が…。もぅ毎日。」
晄史、
「へぇ~~~。」
高井戸を見て、
「高井戸さんの奥さんも、愛されてたんですね~~。」
「1年前ですけどね~~。」
誓、
「娘さん、その時。」
「えぇ。2週間は落ち込んでました。…はは。でも…、妹がね。いつまで落ち込んでんのよ。って。」
晄史、高井戸を見て、
「木守さん…???」

ママでいい…。 vol,085. 「芙美花と言います。」
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