心理学の歴史をサクッと頭にインストールする | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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四ツ谷にありますバレリーナ専門の気功整体「まといのば」のブログです。
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「心理学についてはその歴史を追っても仕方がないと思うので」と寺子屋の募集要項では書いたのですが、心理学を語る上で歴史的な視点は不可欠ということで、短い心理学の歴史を遡りながら、心理学について総覧しました。いつもながらの朝令暮改です。
ただ心理学の全貌をきちんと把握するのは、心理学を深く理解する上では重要です。その方法の1つとして、歴史をたどるというのは意外と有効です。

ソクラテス、プラトン、アリストテレスからスタートしたのは、「まといのば」のオリジナルでもいつもの癖でもなく心理学のバイブルと言われ、学部生の教科書として全世界で使われている「ヒルガードの心理学」という大著に沿ったものです(寄らば大樹の陰は「まといのば」の方針ですwニュートンに言わせれば、巨人の肩に乗るということになりますね(^^))。

教科書というのは本当に重要なものだなぁと思うのは、その分野の第一人者が精魂込めて書き、かつ次の世代への継承ということを考えるために、きわめて良い意味で保守的に総覧的にまとめてあるからです。いわば、自分たちの依拠するパラダイムをそっくりそのままパッケージ化してくれています。

学者の仕事の内で最も生産的で重要なのはパラダイム・シフトですが(マックス・ウェーバーではないですが、その仕事に従事しない学者も多くいます。むしろパラダイム・シフトに貢献できるとうのは名誉なことです)、パラダイム・シフトはどうしても闘争的にならざるを得ません。たとえばケインズも一般理論の大半を論的との晦渋な論戦に費やしていますし、クリプキが難解なのも哲学者や論理学者たちの攻撃を内包しながら論理を展開しているからです(多分)。カーネマンは自著の中で論争について書いています。最初はすべてに反論してきたが、あるときから止めた、と言います。不毛なので、と。

逆にパラダイム・シフトではなく、依拠するパラダイムの解説となるとその論争的な感触が消え、むしろ良い意味でのパターナリズム的になります。そのパラダイムに飛び込んでくる人(学生)と、そのパラダイムを深く愛している人(教授)との交流なので蜜月になるのは当然と言えるかもしれません。

ファインマン先生のその業績よりもおそらくはファインマン物理学という学部学生向けの2年間の講義によって知られるでしょうし、ヒルガードも多大な功績(WGIPも含めて)よりもこのヒルガードの心理学という教科書によって有名です(多分)。

そう言えば、大学の教員の仕事の半分は研究で、半分は教育と言われていたことを思い出します。

「まといのば」の寺子屋自体は中学生・高校生のうちに(すなわち十代のうちに)、学んでおきたい基礎的な知識や教養の再確認を目的にしています。

ですので、今回も学部学生(十代ですね)が使う教科書を参照しつつ、寺子屋を展開しました。

「教科書的」とか「凡庸さ、陳腐さ」というのはネガティブに捉えられますが、突き抜けるためには巨大な教科書に基づく凡庸で陳腐なことの深い理解が不可欠だと思います。ピカソが繰り返しデッサンをしたように、丹念に真似ることが大切です。学ぶとはまねぶであるなどというまさに陳腐な繰り言を、いまさら繰り返す気はありませんが、正確にデッサンすることは重要です。
過去の偉大な先輩方がその人生を賭けた業績を丁寧にパッケージ化してくれているのですから、まずはそれを丁寧に継承しましょう。そして自家薬籠中の物にしてから、はじめてオリジナリティは積み重ねることができます(運が良ければ)。

寺子屋開講からちょうど1年経った寺子屋でしたが、非常にレベルアップしたことを痛感しました。
1年に渡り、受講生の皆さんはかなりのハードワークを生き延びただけに(笑)、相当に骨太になったように思います。
特に質疑応答のレベルの高さにそれを感じました。

これまた凡庸な物言いですが、まさに継続は力ですね。今後の飛躍がますます楽しみです。


サクッと歴史を俯瞰すると、まずは哲学の長い時代が続きます。2,000年近い哲学の時代です。
心理学以前に心理学の課題を研究していたのは哲学であり、科学です。

ソクラテス、プラトン、アリストテレスという古代哲学の重鎮たちも、意識とは何か、人は合理的なのか、もしくは不合理なのか、本当の自由選択など存在するのか、という現代でも同じく問題とされる課題について考えています。これは心理学の萌芽と言えないことはありません(と「ヒルガードの心理学」に言及されていますw)

そして「生まれか、育ちか」という問題は、遺伝生物学だけではなく、哲学の問題としても存在してきたことが示されます。端的にはデカルトの生得説と、ロックのタブラ・ラサ(白紙)です。デカルトはいくつかの重要な概念(神や完全や無限や幾何学的性質)は生得的と考えました(チョムスキーが変形生成文法は生得的と考えたように。カントがアプリオリに、すなわち先天的に、時間と空間という思考形式は存在すると考えたように)。一方でロックは人間は生まれたときは白紙のようなもので、そこに経験という筆で書き込んでいくと考えました。

今、考えると、「生まれか、育ちか?」ではなく、「生まれも育ちも」なのですが、当時はというか、つい最近までこの二項対立は有効でした(マット・リドレーのやわらかな遺伝子」などはその論争に終止符を打つために書かれたとも言えます。

哲学での問題は実は脈々と受け継がれています。いまだに「生まれか、育ちか」を問題にしている人もいます。ただ基本的には「生まれも、育ちも」連動して関係しているというのが現在の共通認識ですし、我々もそこから始めましょう。

「ヒルガードの心理学」という教科書に沿って、我々は大きく3世代に心理学をわけました。

まずは前史と言えるのが、哲学。ソクラテス、プラトン、アリストテレス。そして時代を下り、デカルトvsロックの生まれか育ちか論争(Nature-Nurture debate)、遺伝か経験かですね。

そしてまずは第一世代として、ブントの内観です。ブントをもって心理学の創始とする傾向があるので、我々もそれに従いましょう。ブントは形而上学から経験科学へとココロの問題を引きずり下ろしました。「科学」にするための測定方法として「内観」を用いたということです。
ブントに学んだティチュナーが構成主義を打ちたて、体系化します。それに対して対立したのが、ウィリアム・ジェームズの機能主義です。これが第一世代。1870年代にスタートです。

ブント・内観
↓(弟子)
ティチュナー・構成主義 vs ウィリアム・ジェームズ・機能主義

です。

それに対して1920年代に相次ぎパラダイム・シフトが起こり、我々にもお馴染みの3つの有力な立場が出現します。三つ巴(どもえ)です。

それがワトソンの行動主義、ゲシュタルト心理学、そしてフロイトの精神分析です。

行動主義、ゲシュタルト心理学、精神分析

そして、1950年代に心理学の外から黒船来襲によって、心理学は大きく認知的枠組みに舵を切らざるを得なくなります。その3つの黒船が以下のとおり。

まずはコンピュータ、そして言語学、最後に神経生理学です。

コンピュータが発見され(発明ではなく)、一気に進化したことで心理をプログラムで表現することが近似的に可能になりました。ゲシュタルト心理学や精神分析の一部のモデルをコンピュータで実装することができたことで、コンピュータは心理学を書き換えます。それが今に続く情報処理モデルです。

そして我らがチョムスキーです。チョムスキーが言語学を生まれ変わらせ、言語の構造分析がそのままココロの構造分析にスライドして、心理言語学が生まれます。

そして神経生理学。これは端的に言えば脳科学です。脳に刺激を与えると、心的状態が変わるという、今では当たり前の事実が、当時は衝撃的でした。厳密に言えば、ここまで明瞭に対応しているとは思わなかったということなのかもしれませんし、もしくはきちんと実験可能になったということかもしれません。ともかく脳とココロは同じものということが分かり、神経心理学が興ります。

すなわち、

コンピュータ、言語学(チョムスキー)、神経心理学(脳研究)



情報処理モデル、心理言語学、神経心理学を生んだということです。


詳細は寺子屋のバックナンバー(鋭意編集中)を参照していただくとして、これがざっくりとした心理学の歴史です。

寺子屋ではこのあとの流れも見ましたが、それはまた別の機会に。
言語学や論理学から現在の認知バイアスへの流れは重要です。
演繹推論から、帰納的確率推論(これはベイズ推定)を思わせます。寺子屋でも話題にのぼりましたが、述語論理の階層性がラムダ抽象だとすると、帰納的確率推論の数学はベイズ推定でしょう。

全貌をきちんと観て、すかさずMapにできるということは重要です。

というわけで、すいへーりーべー(周期表)や解剖学、糖代謝とクエン酸回路(中央線、山手線)と同様に心理学もすぐにマップが書けるようにしましょう。ポイントは3世代ということです。
3世代にそれぞれ3つずつパラダイムがあります(^^)


【書籍紹介】
寺子屋「最後の心理学」で紹介した2冊です。

心理学を学ぶのであればこれ一冊で十分でしょう。
ヒルガードの心理学/金剛出版

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認知科学の枠組みを仕事に使う我々としては、折にふれて紐解いてみましょう。
MIT認知科学大事典/共立出版

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