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【スピリチュアル三部作・その①】あの日、見知らぬ住職に呼び止められてから、すべてが始まった。 | 開運コンサルタント 佳山知未のブログ
【スピリチュアル三部作・その②】理想の彼からプロポーズされたのに、私の胸はなぜか痛かった。 | 開運コンサルタント 佳山知未のブログ
あの夜、一流ホテルのレストランで差し出されたプロポーズは、誰もが憧れるような、完璧なものでした。
宝石のような夜景。
洗練された空間。
誠実で将来有望な彼。
そして、ハリー・ウィンストンの1カラットのダイヤモンド。
少し前の彼女だったら、きっと迷わずうなずいていたでしょう。
こんな幸せを手にできる自分は、なんて恵まれているのだろうと、涙ぐんでいたかもしれません。
でも、その夜の彼女は違いました。
胸の奥に、またあの感覚が走ったのです。
ちくり。
あの寺で住職に言われた言葉が、鮮やかによみがえりました。
「あなたの第三の目は開きかけている」
「自分の直感を信じきることだ。そして、その直感通りに行動すること」
その言葉は、まるでこの瞬間のためにあったようでした。
目の前にあるのは、多くの人が羨む未来。
けれど彼女の心は、静かに違うと告げていました。
それから数日後、彼女は彼に会い、返事を伝えました。
「……本当にごめんなさい」
彼女は、心からそう言いました。
彼のことを嫌いになったわけではない。
彼は何も悪くない。
むしろ、これ以上ないほど素敵な人でした。
だからこそ、その申し出を受けられない自分が苦しかったのです。
「こんなに大切に想ってくれたのに、ごめんなさい。
でも私は、自分に嘘をついたまま、その未来を選ぶことができない」
それが、彼女の精一杯の本音でした。
胸は痛みました。
申し訳なさも、悲しさもありました。
けれど不思議なことに、あの“胸の奥を刺すような違和感”だけは、少しずつ薄れていったのです。
そして彼女は、そのときようやく気づきました。
自分はずっと、周囲が喜ぶ選択をしてきた。
誰かに認められる道を選んできた。
波風の立たない答えを選んできた。
でも――
自分の直感に、こんなにもまっすぐ従ったのは、生まれて初めてだったのです。
それは彼女にとって、想像以上に大きな出来事でした。
彼と別れたあと、彼女はもうひとつ、大きな決断をしました。
会社を辞めること。
誰もが知る大企業。
周囲から羨ましがられ、将来も安定していて、親も安心するような職場。
普通なら、自分から手放すような場所ではありません。
けれど彼女は、もう分かっていました。
彼との未来を断っただけでは、まだ足りない。
自分の人生そのものを、本当に自分のものとして生きなければ、意味がないのだと。
では、自分は本当は何をしたいのか。
何度も何度も心に問いかけて、彼女はついに思い出しました。
それは、子どものころの夢でした。
まだ世間の常識も、安定という言葉の重みも知らなかった頃。
ただ「好き」という気持ちだけで胸をいっぱいにしていた頃。
彼女が心からなりたかったもの。
それは――
絵本作家でした。
小さなころ、彼女は自由帳に何度も絵を描いていました。
色鉛筆を並べて、物語の世界をつくるのが大好きでした。
誰かの心がふっとやわらぐような、そんな優しい世界を描ける人になりたかったのです。
けれど成長するにつれ、その夢は心の奥へ押し込められていきました。
絵本作家なんて、現実的じゃない。
もっと堅実な道を選びなさい。
もっとちゃんとした人生を歩きなさい。
そうして彼女は、優等生のように“正しい道”を選び続けてきたのでした。
でも、本当はずっと消えていなかったのです。
幼い日の憧れも、心のときめきも。
ただ、見ないふりをしていただけでした。
彼女は退職を決めました。
周囲は驚きました。
「もったいない」
「どうして?」
「せっかくここまで来たのに」
誰もがそう言いました。
親も心配しました。
結婚の話を断り、安定した会社まで辞めて、この先どうするのかと。
当然です。
周囲から見れば彼女は、
将来有望な彼も、
誰もが羨む会社も、
安定した人生も、
自ら手放した人に見えたでしょう。
つまり、世間の目には――
“何も持っていない人” のように映ったかもしれません。
けれど、彼女自身はまったく違いました。
親元を離れ、小さな部屋で一人暮らしを始めたその日から、彼女の世界は少しずつ変わっていきました。
広い家ではありません。
高級な家具があるわけでもありません。
肩書きも、社会的なわかりやすい成功も、今はまだ何ひとつない。
けれど朝、カーテンの隙間から差し込む光を見て目を覚ますたび、彼女は思うのです。
ああ、私はようやく自分の人生を生き始めたのだと。
机の上には、ノートと色鉛筆。
湯気の立つマグカップ。
真っ白な紙。
そこに、少しずつ物語が生まれていく。
誰かの評価のためではなく、
誰かに羨ましがられるためでもなく、
ただ、自分の魂が喜ぶから描く。
その時間の中で、彼女は初めて知りました。
本当の幸せは、
誰かに「すごいね」と言われることではない。
完璧に見える未来を手に入れることでもない。
世間の物差しで“成功”と呼ばれる道を歩くことでもない。
自分の心が、まっすぐ「これだ」と震えること。
その声に従って生きること。
それこそが、彼女がずっと欲しかったものだったのです。
ある朝、彼女は窓を開けました。
やわらかな風が、部屋の中に流れ込みます。
白いカーテンがふわりと揺れ、机の上の紙がかすかに震えました。
その瞬間、彼女の胸の奥に、これまでの人生で感じたことのない感覚が広がりました。
それは、不安ではありませんでした。
焦りでも、虚しさでもありませんでした。
ときめきでした。
静かだけれど、たしかに全身に広がっていく、明るい震え。
これから何かが始まっていく。
自分の未来は、まだ何も完成していないけれど、確かに光っている。
そう思える感覚でした。
彼女は、そのときはっきりと分かったのです。
あれほど長いあいだ自分を苦しめていた、あの“胸のちくっ”とする違和感は、もう消えていました。
消えたのではありません。
役目を終えたのです。
あの違和感はずっと、彼女に教えていたのでしょう。
「そっちじゃない」
「あなたの本当の道は、そこではない」 と。
そして、すべての始まりは――
あの旅先の寺で、住職からかけられたあの言葉でした。
「あなたの第三の目は開きかけている」
「自分の直感を信じきることだ。そして、その直感通りに行動すること」
もしあの日、住職に呼び止められていなかったら。
もしあの言葉が胸に残っていなかったら。
彼女はきっと、これまで通りの“正しい人生”を歩いていたでしょう。
でも今なら分かります。
あの日、お寺の石段の上で告げられた言葉は、
未来を変える合図だったのです。
彼女の魂を眠りから起こす、静かな鐘の音だったのです。
世間から見れば、彼女は今、何も持っていない人かもしれません。
でも本当は違います。
彼女はようやく手に入れたのです。
誰にも奪えないものを。
お金よりも、肩書きよりも、他人からの賞賛よりも、ずっと尊いものを。
自分の心とつながる感覚を。
自分の未来を、自分で選び取ったという確かな実感を。
そして、心から「幸せだ」と思える瞬間を。
それは、外側からは見えません。
けれど、本人だけは分かるのです。
ああ、私は今、生きている。
やっと、本当の意味で生き始めたのだと。
彼女は白い紙に向かい、静かにペンを取りました。
これから先、簡単なことばかりではないでしょう。
不安になる日もあるでしょう。
迷う日だって、きっとある。
それでも、もう大丈夫。
なぜなら彼女は、一度、自分の直感に従って人生を動かしたから。
その先に、これまで味わったことのない光があると、もう知ってしまったから。
窓の外には、朝の光があふれていました。
まるで新しい人生の幕開けを祝福するように、世界がきらきらと輝いて見えました。
彼女はふっと微笑みました。
あのとき、勇気を出してよかった。
失ったのではなかった。
私は、ようやくここへ辿り着いたのだ。
そしてその笑顔は、これまでのどの瞬間よりも、自由で、やわらかく、幸せそうでした。
第三の目が開くとは、
遠くの未来を見通すことではないのかもしれません。
本当の自分の声を見失わず、
その声に従って生きること。
もしそうだとしたら――
彼女の第三の目は、決断をしたあの日たしかに開いたのです。
そして今、彼女の人生は、
誰かに与えられた幸せではなく、
自分で選び取った光の中を、静かに、力強く歩き始めています。
読んでいるあなたにも、もしかしたら今、胸の奥で小さく光っている感覚があるかもしれません。
ずっと気になっていること。
本当はやってみたいこと。
でも怖くて、まだ見ないふりをしている想い。
その小さな声を、どうか無かったことにしないでください。
人生を変える始まりは、いつだって派手ではありません。
たったひとつの違和感。
たったひとつのときめき。
たったひとつの直感です。
そして、その小さな直感に従った先にこそ、
あなたがまだ見たことのない、光り輝く人生が待っているのかもしれません。
完
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