
ぼんやり眠りかけている時の幻聴
ぼんやり眠りかけている時の幻聴についての話。
僕が子供の頃、母親が居眠りしようとした際、「急にテレビの音を急に大きくした」と叱られたことがあった。全くの濡れ衣である。しかし、眠りかけていた母親が、「僕がテレビの音を大きくした」と錯覚したことはとても記憶に残っていた。1回だけではなく同じことが数回あったからである。
夜間疲労すると、音が普段以上にキンキンする経験は誰でもあると思う。一般に疲れている時は音に敏感になりがちである。
ヒトという生物は夜睡眠に入る直前は聴覚が鋭敏になると言う。つまり音が普段よりずっと大きく聴こえる。これは外敵から身を護るためと言われている。つまり遺伝子的特性が現在も残遺しているのであろう。
さて、精神科の患者さんで夕方うつらうつらしていると、「窓を誰かが叩く音が聴こえる」、「ドアをノックする音が聴こえる」など、漠然とした幻聴体験を訴える人がいる。
このタイプの物音は物語性に乏しく意味がないものがほとんどである。精神科疾患の幻聴にくくられてしまいがちだが、おそらく上記の生理的体験の延長上にあり、多少修飾されているものが多くを占めていると思われる。
これらの幻聴?は、恐怖感を覚えるなど情動を揺さぶることが稀なことも特徴の1つだと思う。そう思う理由は、「あれは不思議だった」といった感じで語られることが多いからである。
つまり、内因性とは少し乖離している漠然とした音体験なのであろう。
参考