統合失調症へのエビリファイの開始用量 | kyupinの日記 気が向けば更新

統合失調症へのエビリファイの開始用量

 

今回のパンフレットは下敷き式になっており、下のエビリファイの剤型の写真はおそらく最新のものである。

 

今回の記事は、統合失調症に対するエビリファイの開始用量の話。

 

エビリファイの投与開始用量は、双極性障害の躁状態には24㎎から開始できる。見辛いが、確かに赤で24㎎/日と記載がある。

 

躁状態に投与する場合、24㎎の方が有効率が高いし、副作用も高用量のエビリファイが抑える傾向があるため、うまくいく可能性が高い。これをもし6㎎くらいから始めてしまうと、効果が弱い上に、アカシジアが出て失敗に終わる確率が高まる。

 

ところが、統合失調症は開始用量は6~12㎎と制限されており、これを忠実に守ると24㎎から開始できない。

 

これは破瓜型で動きが乏しい状態ならあまり問題にならないが、特に緊張病性興奮状態などの激しい病態では、かえって失敗するリスクが高まる。

 

つまり、エビリファイで良いのに、うまくいかないと誤った判断になりかねないのである。

 

僕はこのような病態では最初から24㎎で開始することがほとんどだが、不思議にレセプトで査定されない。躁状態を入れていることもあるが、入れてないこともあるので、レセプトの医師もわりあいわかっているのではないかと思う。

 

ただ、これは杓子定規に査定される都道府県もあるので、ローカルな面だと思われる。(つまり他の都道府県では査定されておかしくない)

 

万全を期すなら最初1日だけ12㎎投与し、翌日から24㎎投与する手法をとるという話。この方法だと、たぶん用量に起因する波乱もさほど問題にならないと思うが(1日入院が遅れたと思えば)、面倒だし実際臨床に即していない。

 

エビリファイは良い薬だが、アカシジアが出やすいし、使う用量を誤るとうまくいくはずのものも失敗になりうる抗精神病薬である。

 

また、相対的に幻聴を抑える力が他の非定型に比べ弱い。24㎎で幻聴が止まらない場合、最高量の30㎎投与してもインパクトが少ないためか、止まることの方が稀な印象である。

 

この際、併用する薬はロナセンくらいだろうが、今は2剤制限があるので、なかなか収拾できない場合、エビリファイに拘らず他の非定型抗精神病薬か、旧来の抗精神病薬への変更も視野に入れる。

 

統合失調症の急性期は、時間のパラメータを意識することが重要であり、手こずって時間がかかることが予後を悪くする。

 

 

このパンフレットにはエビリファイの1㎎錠が記載されており、新しいことがわかる。

 

上の12㎎(12ml)の液剤はバカでかい上、かなり高価なので自分は医療経済的なものも考慮し使わないが、意外に使われているという話である。

 

参考

エビリファイの処方件数が多いこと

2009年当時は今回の記事のような手法をとっていなかったことがわかる。

エビリファイvsジプレキサ

今回の記事を象徴する事件が記載されている。