エビリファイの処方件数が多いこと | kyupinの日記 気が向けば更新

エビリファイの処方件数が多いこと

先日、レセプトをつけていたら、エビリファイの処方が随分多いことに気付いた。過去ログにも出てくるが、少量のエビリファイはうつ状態に相性が良いことがある。(注;日本では正式な適応は統合失調症のみである)

実は、現在、日本ではエビリファイの売り上げは140億ほどらしいが、これはこの薬の実力からするとやや少ないかもしれない。

エビリファイの売り上げ
日本    140億
全世界 21億5000万ドル(2008年)


過去ログにもあるが、アメリカでもエビリファイはうつ状態に対し大量には処方されていない。僕はエビリファイ単剤でうつ状態を治療するわけではなく、抗うつ剤と併用療法なので、あまり増やすのは意味がないし、かえって有害作用が出るという考え方である。つまり、以下の方法での②③は日本人では必要ない。むしろ他の抗うつ剤でなんとかすべきだ。

アメリカでの成人への補助的療法(参考
①最初、2~5㎎から開始
②維持療法  5~10㎎
③MAXとしては 15㎎


アメリカではエビリファイは統合失調症以外にも、双極1型の急性躁病にリチウム、バルプロ酸の補助療法として、あるいは、うつ病の抗うつ剤の補助療法として処方されている。

このエビリファイの21億5000万ドルという売り上げは、忍容性の相違、薬価、適応の広さ、人口を考慮しても大変な金額だと思う。

大塚製薬は遂に偉大な製薬会社になったと思われる。大塚製薬がもし上場していたら、昔の持田製薬のようになったであろう(参考)。

なぜなら1つの商品で1000億売れることは大変なことだから。日本の場合、1000億前後売れる薬は、リピトール、アムロジン(ノルバスク)、ブロプレスなどが挙げられるが、これらはすべてかなりのヒット商品(薬品)である。

大塚製薬は今でこそ有名な企業になっているが、かつては瀬戸内海の塩田の「にがり(苦汁)」を貰い受け、それで細々と薬(つまり商品)を作っていた時代もあったらしい。

海水から取れる「にがり」は豆腐を作る際の凝固剤として使われるのは良く知られている。海水の塩化ナトリウムを除いた塩類がにがりの主成分である。塩化カルシウムと塩化マグネシウムが大半を占めるが他にカリウムや鉄などのミネラルも含まれる。(他に、にがりは料理に使われる。)

エビリファイのアカシジア様症状は、エビリファイを増量して対処することを推奨する医師もいる。これはもともと、このような副作用はエビリファイを増量することで抑えることも可能だからである。(超大量処方では理論的にはジストニアも抑え込める。ジストニアの治療に抗精神病薬を増量するという選択肢が本に書いてあるほど。)

だから統合失調症の急性期にいきなり24㎎処方すると、少量から開始するよりむしろ失敗が少ないのではないか?とは思う。しかし、僕はそのような方法はとらない。好みの問題ではあるが、その薬の副作用が出現しているのに、それを増量して対処するなんて、なんだかな~というのが相当にあるから。

エビリファイの日本人への処方量が今ひとつなのは、やはり鎮静的でない薬であることと、やはりいきなり大量に処方することが躊躇われることもあるような気がする。

エビリファイは日本人には奇妙な焦燥感、強迫の悪化、アカシジア様症状、振戦が意外に出る。服用直後、窓から飛び降りたくなったと言う人もいたほどである。

つまり、忍容性の問題なのである。これは日本人はアンダーグラウンドに微細な器質性背景を持つ人たちが多く存在していることを暗示している。

参考
エビリファイの副作用
エビリファイの副作用(続き)
非定型抗精神病薬の病状悪化率
エビリファイが獲得した賞
単極性、双極性の激うつ対策本部
エビリファイのうつ状態への治療
双極性障害適応状況(アメリカ)
狩猟民族と農耕民族