メージ症候群とDBS(脳深部刺激療法) | kyupinの日記 気が向けば更新

メージ症候群とDBS(脳深部刺激療法)

DBS(脳深部刺激療法)は、パーキンソン症候群などの不随意運動に実施される治療法で、後に脳内の植え込み装置を取り出すことは想定されていないのではないかと思う。

実際に手術現場を見たことはないが、脳神経外科医とその施行内容と症状について紹介状を通じ議論したことがある。最後の手段的な治療なので、その前に薬物等で試行錯誤をされていることが多い。

パーキンソン症候群はほとんどが高齢者なことや、この治療法が考慮される患者さんが困ってる症状の規模が大きいことから、後戻りが効かない治療法だとしても患者さんや家族に受け入れられやすい。

精神科ではこの治療法を実施された人に遭遇するケースは、パーキンソン症候群で、なお精神症状が残遺しており、その治療を依頼されるケースが多い。(多いとはいえ、症例自体は稀)

稀に抗精神病薬などの治療の際生じた後遺症(主に難治性ジストニア)でやむなく実施された人がいる。このケースでは、意外に若い人にも実施しされていることがある。

一般に、パーキンソンやジストニアなど以外の精神症状への効果は期待されていないと思われる。感覚的には精神病状態を悪化させるイメージも湧くため、ずっと以前は難治性のジストニアがあったとしても精神病には避けられていたのではないかと想像する。ボトックスなどに比べ、そんな風に思われるからである。

最初は精神病の薬物治療の際に生じた難治性のジストニアに対し、DBSはやむなく適応外的に実施されたと思われる。当初想定されたほどの重度の有害作用が認められなかったため、稀にそういう若い患者さんに遭遇するのだろう。

ジストニアは極めて対処が難しい病態だが、若い統合失調症などの患者さんでは、ECTの実施なしで、DBSを施行されていたことに不満を持った。

その理由は薬剤性のジストニアで、特に統合失調症の人では、ECTは極めて有効だからである。DBSはジストニアに有効な治療法だが、いったん実施されると、もはやECTは実施できない(と思う。感覚的に装置が故障してもおかしくない)。

ある若い患者のDBS施行後、残遺する精神症状の治療をまかされ非常にうまくいき、幻覚妄想は完全に消失した。そのことは過去ログに少し記載がある。効果的だったのはエビリファイの大量処方だった。それ以前はほかの抗精神病薬(ルーランの大量)が使われており、ジストニアにも良くなかった。

エビリファイは第一感で良さそうだが、本人は過去に上手くいかなかったことがあり難色を示した。しかし本人と家族に最初からエビリファイの大量を使えば全く違った結果になりそうだと説明し、上手くいったのである。

後に本人にDBSの施行後、いったいどのような症状に最も効果があったのか聴いたことがある。その人によると、メージ症候群には非常に効いたと言う話であった。メージ症候群もジストニアの1つである。(その人のメージ症候群は自覚的にも他覚的にも完全に消失している。)

ただ、完全には足などのジストニアは消失していないので、同じジストニア系症状でも、有効性の相違があると思われる。本人によれば、ボトックスはほとんど効果がなかったという。

なお、DBSの良いところはパワーを調整できることだと思う。本人によると、最初はさほど効いていなかったが、パワーを上げ調整すると有効になったらしい。DBSは効果の持続性と調整が可能なことが良い点である。良くない点は定期的にバッテリーの交換が必要なことだと思う。

DBSを施行され、なお残遺しているジストニアに対し、リボトリール、ワイパックスやダントリウムなどの併用療法も有効である。(本人がそう言っている)。それに対し、ユベラNやメチコバールはさほど効果が体感できないようである。

ツムラ68芍薬甘草湯なども一見、治療的な印象だが、持続性のあるこのタイプのジストニアは、一瞬に生じるこむら返りと異なるためか、かえって歩行しにくいと言う話を聴いた。

バッテリーの性能に関しては、例えばスマホなどでバッテリーのへたりが少なくなるなどの技術進歩が著しいなどから、将来はバッテリー交換の期間が延びる可能性がある。

参考
長期の抗精神病薬投与による嚥下障害について
メージ症候群(後半)