デプロメールのジェネリックにSADの適応がない
SADとは精神科では、社会不安障害・社交不安障害のことを指す。
デプロメールのジェネリックは既に発売されているが、なぜかSADの適応がないことを過去ログで触れている。ジェネリックを処方した場合、SADではレセプトで減点されるのである。
これは、デプロメールのSADの適応は「特許である」という言い方がされている。しかしジェネリックの発売が国により許可されている以上、妙な話ではある。
これは多分、セルベックスのジェネリックの胃炎の適応に遡る。セルベックスは1984年11月に薬価収載され同年12月から発売されたが、その後ジェネリックが発売された際、ジェネリックでは胃炎の適応がなかった。
セルベックスは元々、胃炎・胃潰瘍治療剤に適応があるが、ジェネリックでは胃潰瘍のみとされたのである。
当時、セルベックスの適応を巡る裁判があり、ジェネリックメーカーが敗れた。そのために、セルベックスは胃潰瘍では処方可能だが、胃炎では処方できない時代が続いたのである。数年前に、セルベックスのジェネリックもようやく胃炎でも処方できるようになったが、その経緯については詳しくない。
これは武田のアクトスも同様。アクトスは糖尿病の治療薬である。アクトスにも「SU製剤と併用できる」という特許が存在しているらしい。そのため、アクトスのジェネリックはSU製剤と併用できない。
全く、なんのこっちゃ?の世界である。
こういうカオスな状況を、国はジェネリックを推進するならもう少し整理した方がいい。首尾一貫していないからである。
元々、日本は三権分立というが、三権のうち司法はやや弱い。最高裁判所長官は、内閣の指名に基づき天皇が任命することになっている。(憲法6条2項、79条1項、裁判所法39条1項)。その他、司法がうまく機能しないようなことが国会議員に生じることもある。
過去の規制にとらわれた判例のために、医療行政に支障を来たしているのであれば、「規制緩和を推し進める」ために、国はもう少し影響力を発揮すべきなのかもしれない。(日本が根本的に良くなるためには規制緩和は重要)
話は変わるが、ジェネリックの薬価は最初に発売される時は先発品の70%程度の薬価が設定される。その後に続くメーカーは徐々に薬価が下げられていくのが普通で、最初はメーカーによる差がなく横一線なのである。
しかし、同じ時期には発売されたジェネリックも、何年も経つと、メーカーにより薬価に差が開くことが多い。これはそのジェネリックメーカーの会社の方針によるところが大きい。
売らんがために安売り(薬価差益が大きいことをウリにする)をし過ぎると、次の薬価は国により安く設定される。自分で自分の首を絞める結果になるが、それでも売り上げを伸ばした方が良いという会社方針はありえると思う(これは他の業種でも同様)。
これを病院側から見ると、いろいろな視点があるので評価が難しい。元々、ジェネリックは先発品と同じ構造式のはずだが、実際に臨床では微妙に作用が異なっているように見えるという過去ログがいくつもある。
日本の医師はあまりジェネリックを使いたがらない面があり、国は必死でジェネリックを推進しても思うように普及しなかった。今は購入薬品のうちある水準までジェネリック品を使わないといけないことになっているので、うちの病院でもジェネリックを導入している。ただ、精神科の薬に限ればかなりジェネリック率が低い。
高血圧や高脂血症の薬、皮膚科の軟膏などはジェネリックで良いが、精神科薬は先発品を入れたいと思うのは、僕たちがやはり精神科が専門だからと思う。内科医なら、その逆かもしれない。
現代社会でもジェネリックの酷い話は存在しており、リスパダールのジェネリックの導入したところ、入院、外来患者さんの病状悪化が相次ぎ、院長が激怒し先発品に戻した精神科病院があったほどである。
こういう話から、もしジェネリックのリスパダールで病状が不安定になっているように見える人は先発品(ヤンセン)に戻してもらうと改善する可能性がある。クリニックの院外処方箋ならこれが容易だが、病院では同じ薬で先発品とジェネリック2種類購入していることは稀である。このような時はリスパダールコンスタを希望するのが良い。コンスタは精神病院では採用している病院が多いからである。
ジェネリックは先発品と効き味が変化することもあるし、あるいはむしろジェネリックの方が効果・副作用のバランスがとれていて良い評価なこともある。ただ、使ってみないとわからないし、人によれば全く服用感の相違を感じないなど個人差もある。
また、薬価がとりわけ安いメーカーは品質が悪いかどうかが微妙な点も重要である。その逆に高い薬価のジェネリックが品質が良いという確証もない。
ジェネリックメーカーは一般の人が考えている以上に多く、例えばクラビットは40社近く申請している。しかしそれだけの会社が作ったとしても、全てのジェネリックが売れるわけではない。ジェネリックメーカーのブランドや営業の差もあるからである。
近年、ジェネリックが発売されたアムロジンは100社申請したという。アムロジン(ノルバスク)はかなりの大型商品なので、これだけ申請された理由もわかるような気がする。
ジェネリックメーカーは発売後「売り上げが伸びず撤退することもある」と言うのは、病院側からすると重要である。大安売りをしすぐに撤退するようなジェネリックメーカーはゲリラ的に稼ごうとしていると思われても仕方がない。(全てのジェネリックメーカーの商品が使われるのは難しい。弱小の場合、安定供給できないケースもあり在庫の確保の点で不安)。
だから老舗のジェネリックメーカーは、他社よりやや高価だとしても使われる傾向がある。
ジェネリックメーカーはいろいろ工夫して使ってもらえるように努力しているのは好感が持てる。過去ログにデパケンシロップより、エピレナートシロップのほうが無色透明なので精神科では使いやすいことをアップしている。
ジェネリックになると、実にさまざまな剤型が発売されることもある。剤型については変更可能のようなのである。例えば、先発品はカプセルなのに錠剤が発売されることもある。
リスパダールは非定型抗精神病薬では最初にジェネリックが発売されたが、同時に液剤まで発売されたのは驚いた。当初、ヤンセンはジェネリック対策のためOD錠を発売していると思ったが、現在、ジェネリックでもOD錠が発売されている。
精神科の場合、上に書いたことを踏まえ、臨機応変に先発品やジェネリックを利用したら良いと思う。
注意
コメント欄の読者の方の指摘の通り、現在はデプロメールのジェネリックもSADの適応を取得しているようです。(タイトルが間違い)
参考
デプロメールとルボックスのジェネリック
レンドルミンとグッドミン
ジェネリックの考え方
リスパダールとジェネリック、雑感
ジェネリックの都市伝説
考察、「ジェネリックの都市伝説」
リスパダールOD錠0.5㎎を発売の予定
リスパダールの先発品とジェネリック
ジェイゾロフトとパキシルの力価の話
セロクエル口腔内崩壊錠
海外の薬価の不思議
デパケンシロップとエピレナートシロップ
デプロメールのジェネリックは既に発売されているが、なぜかSADの適応がないことを過去ログで触れている。ジェネリックを処方した場合、SADではレセプトで減点されるのである。
これは、デプロメールのSADの適応は「特許である」という言い方がされている。しかしジェネリックの発売が国により許可されている以上、妙な話ではある。
これは多分、セルベックスのジェネリックの胃炎の適応に遡る。セルベックスは1984年11月に薬価収載され同年12月から発売されたが、その後ジェネリックが発売された際、ジェネリックでは胃炎の適応がなかった。
セルベックスは元々、胃炎・胃潰瘍治療剤に適応があるが、ジェネリックでは胃潰瘍のみとされたのである。
当時、セルベックスの適応を巡る裁判があり、ジェネリックメーカーが敗れた。そのために、セルベックスは胃潰瘍では処方可能だが、胃炎では処方できない時代が続いたのである。数年前に、セルベックスのジェネリックもようやく胃炎でも処方できるようになったが、その経緯については詳しくない。
これは武田のアクトスも同様。アクトスは糖尿病の治療薬である。アクトスにも「SU製剤と併用できる」という特許が存在しているらしい。そのため、アクトスのジェネリックはSU製剤と併用できない。
全く、なんのこっちゃ?の世界である。
こういうカオスな状況を、国はジェネリックを推進するならもう少し整理した方がいい。首尾一貫していないからである。
元々、日本は三権分立というが、三権のうち司法はやや弱い。最高裁判所長官は、内閣の指名に基づき天皇が任命することになっている。(憲法6条2項、79条1項、裁判所法39条1項)。その他、司法がうまく機能しないようなことが国会議員に生じることもある。
過去の規制にとらわれた判例のために、医療行政に支障を来たしているのであれば、「規制緩和を推し進める」ために、国はもう少し影響力を発揮すべきなのかもしれない。(日本が根本的に良くなるためには規制緩和は重要)
話は変わるが、ジェネリックの薬価は最初に発売される時は先発品の70%程度の薬価が設定される。その後に続くメーカーは徐々に薬価が下げられていくのが普通で、最初はメーカーによる差がなく横一線なのである。
しかし、同じ時期には発売されたジェネリックも、何年も経つと、メーカーにより薬価に差が開くことが多い。これはそのジェネリックメーカーの会社の方針によるところが大きい。
売らんがために安売り(薬価差益が大きいことをウリにする)をし過ぎると、次の薬価は国により安く設定される。自分で自分の首を絞める結果になるが、それでも売り上げを伸ばした方が良いという会社方針はありえると思う(これは他の業種でも同様)。
これを病院側から見ると、いろいろな視点があるので評価が難しい。元々、ジェネリックは先発品と同じ構造式のはずだが、実際に臨床では微妙に作用が異なっているように見えるという過去ログがいくつもある。
日本の医師はあまりジェネリックを使いたがらない面があり、国は必死でジェネリックを推進しても思うように普及しなかった。今は購入薬品のうちある水準までジェネリック品を使わないといけないことになっているので、うちの病院でもジェネリックを導入している。ただ、精神科の薬に限ればかなりジェネリック率が低い。
高血圧や高脂血症の薬、皮膚科の軟膏などはジェネリックで良いが、精神科薬は先発品を入れたいと思うのは、僕たちがやはり精神科が専門だからと思う。内科医なら、その逆かもしれない。
現代社会でもジェネリックの酷い話は存在しており、リスパダールのジェネリックの導入したところ、入院、外来患者さんの病状悪化が相次ぎ、院長が激怒し先発品に戻した精神科病院があったほどである。
こういう話から、もしジェネリックのリスパダールで病状が不安定になっているように見える人は先発品(ヤンセン)に戻してもらうと改善する可能性がある。クリニックの院外処方箋ならこれが容易だが、病院では同じ薬で先発品とジェネリック2種類購入していることは稀である。このような時はリスパダールコンスタを希望するのが良い。コンスタは精神病院では採用している病院が多いからである。
ジェネリックは先発品と効き味が変化することもあるし、あるいはむしろジェネリックの方が効果・副作用のバランスがとれていて良い評価なこともある。ただ、使ってみないとわからないし、人によれば全く服用感の相違を感じないなど個人差もある。
また、薬価がとりわけ安いメーカーは品質が悪いかどうかが微妙な点も重要である。その逆に高い薬価のジェネリックが品質が良いという確証もない。
ジェネリックメーカーは一般の人が考えている以上に多く、例えばクラビットは40社近く申請している。しかしそれだけの会社が作ったとしても、全てのジェネリックが売れるわけではない。ジェネリックメーカーのブランドや営業の差もあるからである。
近年、ジェネリックが発売されたアムロジンは100社申請したという。アムロジン(ノルバスク)はかなりの大型商品なので、これだけ申請された理由もわかるような気がする。
ジェネリックメーカーは発売後「売り上げが伸びず撤退することもある」と言うのは、病院側からすると重要である。大安売りをしすぐに撤退するようなジェネリックメーカーはゲリラ的に稼ごうとしていると思われても仕方がない。(全てのジェネリックメーカーの商品が使われるのは難しい。弱小の場合、安定供給できないケースもあり在庫の確保の点で不安)。
だから老舗のジェネリックメーカーは、他社よりやや高価だとしても使われる傾向がある。
ジェネリックメーカーはいろいろ工夫して使ってもらえるように努力しているのは好感が持てる。過去ログにデパケンシロップより、エピレナートシロップのほうが無色透明なので精神科では使いやすいことをアップしている。
ジェネリックになると、実にさまざまな剤型が発売されることもある。剤型については変更可能のようなのである。例えば、先発品はカプセルなのに錠剤が発売されることもある。
リスパダールは非定型抗精神病薬では最初にジェネリックが発売されたが、同時に液剤まで発売されたのは驚いた。当初、ヤンセンはジェネリック対策のためOD錠を発売していると思ったが、現在、ジェネリックでもOD錠が発売されている。
精神科の場合、上に書いたことを踏まえ、臨機応変に先発品やジェネリックを利用したら良いと思う。
注意
コメント欄の読者の方の指摘の通り、現在はデプロメールのジェネリックもSADの適応を取得しているようです。(タイトルが間違い)
参考
デプロメールとルボックスのジェネリック
レンドルミンとグッドミン
ジェネリックの考え方
リスパダールとジェネリック、雑感
ジェネリックの都市伝説
考察、「ジェネリックの都市伝説」
リスパダールOD錠0.5㎎を発売の予定
リスパダールの先発品とジェネリック
ジェイゾロフトとパキシルの力価の話
セロクエル口腔内崩壊錠
海外の薬価の不思議
デパケンシロップとエピレナートシロップ