HSP・対人支援者のための、神経系から整えるボディマインドアプローチ。
皆川公美子です。
「がんばりすぎて、疲れを感じにくい」
「特に心配ごとはないのに、なぜか力が出ない」
──そんな心と身体の“ちぐはぐ”を、
神経系×発達・愛着 の視点から、
丁寧にひもとく活動をしています。
これまでに、のべ8,500名以上の方に伴走してきました。
HSP気質や生きづらさを抱える方、
そして人を支えるお仕事に携わる方が、
自分のペースで安心して前に進めるサポートをしています。
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クライアントの大切な一言
― 神経系から読み解く対人支援 ― のシリーズの連載をはじめました。
対人支援の現場にいると、
この言葉を聞くことがありませんか。
「人に頼るとか何かをお願いするって思うと、ざわざわするんです」
「アタマではきっと大丈夫と思っても、躊躇します」
頭ではわかっているんです。
頼ってもいい
助けてもらっていい
一人で抱えなくてもいいって。
でも身体は、ざわざわする。
それを危険なことのように感じてしまう。
支援者はよくこう言います。
「もっと周りを頼っていいですよ」
「助けてもらっていいんです」
もちろん、それは間違いではありません。
でもその言葉を聞いた瞬間、
クライアントの身体ではこんな反応が起きていることがあります。
胃のあたりが固まる
背中が少し丸くなる
声が小さくなる
これは
意志が弱いわけでも
考え方が歪んでいるわけでもありません。
身体に残っている「愛着の神経記憶」
多くの場合
愛着の神経記憶です。
過去の経験のなかで、神経がこう学習している。
頼る
↓
迷惑になる
↓
関係が壊れる
↓
自分の居場所がなくなる
つまり
頼ること=危険
という神経の予測ができあがっている。
例えば子どもの頃、
「お母さん、ねえちょっと手伝って」
と言ったときに
「今忙しいんだから」
「そんなこともできないの?」
「お兄ちゃんなんだから自分でやって!」
そんな言葉を何度も聞いていると、
子どもの身体はこう学びます。
頼る
↓
迷惑になる
↓
怒られる
↓
お母さんに嫌われるような気がする(関係が冷たくなる)
すると神経は、
頼らない方が安全
という予測を作ります。
だから大人になってからも、
「頼っていいよ」と言われても
「お願いしたい」と思っても
身体はざわざわしてしまう。
そういうことです。
アタマではそう思ってないのに、
身体がそう反応する、というのがミソです。
アタマでそう思ってないので、
それが上司であっても、お母さんじゃなくても
同じように反応することがややこしやなんです。
日本人に多い「関係の中の自分」という感覚
ここで少し文化の話をします。
欧米の心理学では
「自立した個」が発達のモデルとして語られることが多いです。
自分の意見を持つ
自分の境界を持つ
助けが必要なら助けを求める
とても大事な視点です。
でも日本のクライアントの話を聞いていると、
もう少し違うスタイルが見えてきます。
日本では多くの場合、
最初から関係の中で自分を感じている
人が多い。
実は
「あの人にどう思われているか」
「チームの空気が悪くなったらどうしよう」
「嫌われたくないから言いたいことが言えない」
「自分より相手を優先してしまって、気づいたら消耗している」
職場の悩みで相談に来る方の話を聞いていると、
"自分がどうあるか"への関心というより、"あの人との間"はどうか、ということがほとんどです。
だから 頼る という行為は
単に「助けを求める」ことではなく
関係の中での位置を
大きく動かして相手を驚かせる・迷惑な行為になりうるという感じ方になることがあります。
「迷惑をかけてはいけない」という文化
迷惑をかけないように
空気を壊さないように
ちゃんとしていよう
そういう神経系の社会・家庭で育ち
そうやって関係を守りながら
生きてきた人ほど
頼ることは
とても勇気のいることになります。
回復のプロセスで必要なこと
身体心理の視点で見ると、
これはとても自然な反応です。
人は
安全を感じる関係の中でしか、頼ることができない。
だから回復のプロセスでは、
「頼りましょう」
というアドバイスよりも
安全な関係の経験
が必要になります。
神経の予測は経験によって変わる
小さなやり取りの中で
「あ、迷惑じゃなかった」
「ここにいていいんだ」
そういう身体の経験が少しずつ増えていくと、
神経の予測も
ゆっくり変わっていきます。
だから、対人支援の現場で大切なのは、
「頼れるようにさせること」
ではなく
頼っても大丈夫な関係を育てること
なのだと思います。
それは、
特別なことじゃないかもしれません
例えば職場でシフトの変更を
少し勇気を出してお願いしてみたときに
相手が
「いいよ」
と普通に引き受けてくれた。
忙しいと言われても
「ごめんね、今日は手が回らないけど、また今度ならできるよ」
と関係が壊れない形で返ってきた。
自分が弱っているときに
「大丈夫?」
と声をかけてもらえた。
そんな小さな経験です。
そのたびに身体は
「あ、迷惑じゃなかった」
「関係は壊れなかった」
という新しい経験をします。
こういう経験が少しずつ増えていくと、
神経の予測が変わっていきます。
頼る=危険
だったものが
頼る=関係の中で起こる自然なこと
へと変わっていく。
回復というのは、
こういう小さな経験の積み重ねで起こります。
BMS講座では
愛着
発達
神経
この三つの視点から、
「変われない感覚」を
身体のレベルから理解していきます。
頭ではわかっているのに動けない。
そのとき身体では
何が起きているのか。
このシリーズでも
少しずつ書いていこうと思います。
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