東京藝大卒・元ソニーミュージックディレクター。
国家資格キャリアコンサルタント/心理セラピスト/ボディワーカーの皆川公美子です。
発信のテーマは、
まだやりたいことがある!人へ。
年齢を重ねても、
一度つまずいても、
身体を壊した経験があっても、
人は生命力を失わずに、もう一度進化できる。
そんな視点から、
ポリヴェーガル理論・愛着・身体感覚を土台に、
脳と身体の過緊張、食いしばり、不安、背負いすぎのパターンを読み解き、
判断力・生命力・創造性を取り戻すための神経系アプローチをお伝えしています。
がんばり続けるのではなく、
安心する力、ゆるむ力の中から、自然に力を発揮すること。
そして、自分の生命力を通して、まわりにも良い影響を広げていくこと。
そのための個人セッション、講座、支援者育成を行っています。
これまでに、企業研修・自治体・個人セッションを合わせて、
のべ8,700名以上の方に伴走。
440回以上の講座・研修実績があります。
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身体は、人生の記録装置である
わたしが、ソマティック(身体心理)を対人支援の主幹として考えるようになったきっかけの本があります。
ベッセル・ヴァン・デア・コーク著
『身体はトラウマを記録する』
2016年に日本に入ってきたと記憶しています、この本に出会ったとき、
ああ、これまで現場で見てきたことは、こういうことだったのか、と思いました。
今日はまず、この本で語られていることを、要約してみたいと思います。
『身体はトラウマを記録する』が語っていること
この本の大きなメッセージは、
トラウマは単なる「心の傷」ではない、ということです。
トラウマは、記憶や感情だけではなく、
脳、神経系、筋肉、内臓感覚、呼吸、姿勢、身体反応の中に残る。
つまり、身体が過去の経験を覚えている、ということです。
え?身体が?
脳が、じゃなくて?
と思われた方も多いかもしれません。
そして、一般的にトラウマというと、戦争、災害、事故、暴力のような、
大きな衝撃的出来事を思い浮かべる方が多いですよね。
もちろん、そうした出来事もトラウマになります。
けれど、本書が示している重要な視点のひとつは、
人の心身に深い影響を与えるのは、必ずしも一回の大事件だけではない、
ということです。
大きな台風だけじゃなくて
シロアリが家の柱を侵食していくように
じわじわと家を壊すものがある。
人間も同じです。
たとえば、幼少期から家庭の中に強い緊張があった。
いつ親が怒り出すかわからなかった。
不機嫌な人の顔色を読み続けていた。
自分の気持ちを出すと否定された。
安心して頼れる大人がいなかった。
こうした環境が長く続くと、子どもの脳や神経系は、その環境に適応しようとします。
いつ危険が来るかわからないから、常に警戒する。
怒らせないように空気を読む。
自分の欲求を消す。
感じているとつらいから、感覚を切る。
何もなかったことにして生き延びる。
それは、その人が弱かったからではありません。
むしろ、その環境の中で生き延びるために、身体と神経系が身につけた適応です。
頭ではわかっていても、身体は反応する
本書では、トラウマを抱えた人の脳や身体が、
過去の危険を現在の中で再生してしまうことが説明されています。
たとえば、今いる場所は安全である。
目の前の人は、過去に自分を傷つけた人ではない。
頭ではそうわかっている。
それでも、身体は反応してしまう。
誰かが大きな音を立てた瞬間に、身体がすくむ。
上司の表情が曇っただけで、胸がぎゅっと縮む。
会議で発言を求められると、頭が真っ白になる。
断ろうとすると、喉が詰まる。
不安になると、胃が痛くなる。
怒りたいのに、身体が固まって動けない。
これは単に「考え方がネガティブだから」ではありません。
危険を察知する脳のシステムや、自律神経の反応が、
過去の経験によって過敏になっている場合、身体は理屈よりも早く反応します。
理性では「大丈夫」と思っていても、
身体の深いところでは「危ない」と感じている。
だから、思考だけで自分を説得しようとしても、うまくいかないことがあるのです。
回復には、身体とのつながりが必要になる
本書のもうひとつの大切な視点は、
回復のためには、自分の身体とのつながりを取り戻す必要がある、ということです。
つらい経験の中で、人はしばしば「感じない」ことで生き延びます。
たとえば、満員電車ひとつとっても
不快さを感じないようにするために
ほぼ全員がスマホに没頭しますよね。
怖さを感じないようにする。
怒りを感じないようにする。
悲しみを感じないようにする。
不快を感じないようにする。
(ぐるぐる思考もそのひとつであることが多いです:皆川)
そうすることで、その場をなんとか生き延びることができる。
けれど、感覚を切ることが長く続くと、今度は自分自身の内側の情報がわからなくなります。
本当は嫌なのに、嫌だと気づけない。
疲れているのに、休めない。
怒っているのに、怒りがわからない。
安心しているのか、緊張しているのかもわからない。
自分が何を望んでいるのかが見えなくなる。
そこで重要になるのが、身体の内側を感じる力です。
呼吸。
心拍。
筋肉のこわばり。
お腹の感覚。
胸の広がりや縮み。
足の裏が床についている感覚。
近づきたい感じ。
離れたい感じ。
快・不快の微細な感覚。
こうした身体の感覚を少しずつ取り戻していくことが、
自分の安全や主体性を取り戻す土台になっていく。
この本の大きな要点です。
それを受けてのわたしの仕事上の考え
この本を読んで、わたしが強く感じたことがあります。
それは、対人支援において、
そして仕事や人間関係において、
思考だけを扱っていては届かない領域がある、ということです。
もちろん、考えることは大切です。
状況を整理すること。
言葉にすること。
自分のパターンを理解すること。
選択肢を増やすこと。
現実的な行動計画を立てること。
これらはすべて大切です。
けれど、人は頭だけで生きているわけではありません。
職場で誰かの機嫌を見て、身体が縮む。
頼まれごとを断ろうとして、喉が詰まる。
本当は怒っているのに、笑って引き受けてしまう。
チャンスが来ているのに、足が前に出ない。
大事な場面で、声が小さくなる。
人の期待を感じた瞬間に、自分の感覚が消える。
こういうことは、思考の問題だけではありません。
身体の反応です。
神経系の反応です。
これまでの人生の中で身につけてきた、生き延び方の反応です。
仕事を前に進めるにも、身体感覚が必要
わたしは、身体感覚は「癒し」のためだけに必要なものではないと思っています。
仕事を前に進めるためにも、身体感覚は必要です。
なぜなら、仕事の現場ではいつも判断が求められるからです。
これは引き受けるのか。
これは断るのか。
この人と組むのか。
この違和感を見逃していいのか。
ここで意見を言うのか。
今は待つのか。
もう動くのか。
この方向に進んでいいのか。
こうした判断は、情報や論理だけでは決まりません。
未来の絶対に正しい予測はありえないからです。
最後のところで、
「自分の内側はどう感じているのか」
「身体は何を知っているのか」
という感覚が必要になります。
身体の感覚が切れていると、違和感に気づけません。
限界にも気づけません。
怒りにも気づけません。
喜びにも気づけません。
本当は進みたい方向にも気づけません。
すると、頭では正しいはずの選択をしているのに、どこか苦しい。
頑張っているのに続かない。
いい人間関係を築いているつもりなのに、疲れ切ってしまう。
自分の力を使っているはずなのに、どこか自分がいない。
そういうことが起こります。
職場の人間関係にも、身体は深く関わっている
職場の人間関係も同じです。
え?人間関係に身体が?ですよね。
これまでの社会においては
身体は身体
心は心 という扱いでしたので
それが相互関係しているとは誰もはっきり言えなかった。
人間関係がうまくいかないとき、わたしたちはつい、
言葉やコミュニケーションスキルだけで解決しようとします。
どう伝えればいいか。
どう断ればいいか。
どう話し合えばいいか。
どう距離を取ればいいか。
もちろん、それも大切です。
でも、その前に身体がどうなっているかを見る必要があります。
相手の前で呼吸が止まっていないか。
肩に力が入っていないか。
胸が縮んでいないか。
喉が詰まっていないか。
足の裏が床から浮くような感じがないか。
笑顔のまま、身体の中では怒りが固まっていないか。
そういうことはすべて相手の身体に伝わっているよ、ということなのです。
「なんとなくこの人、信用する気になれない」とか
「なんとなくこの場にかかわっちゃいけない気がする」とか
人間は頭で考えるより先に察知しています。
誰でもそのような経験、ありますよね?
(ニューロセプションという自律神経のシステムによって)
身体が強い緊張状態にあるとき、人は本来の判断力を使いにくくなります。
必要以上に迎合してしまう。
逆に、強く反発しすぎてしまう。
言いたいことが言えない。
相手の感情を背負いすぎる。
境界線がわからなくなる。
だから、職場の人間関係を整えるためにも、
自分の身体の反応に気づくことがとても大切なのです。
身体は、自分を取り戻すための入口
わたしがソマティックを対人支援の中心に置いているのは、
身体が、その人の本当の状態をとても正直に教えてくれるからです。
頭では「大丈夫です」と言っていても、
身体は固まっていることがある。
頭では「怒っていません」と言っていても、
顎や拳や胸の奥に、怒りが残っていることがある。
頭では「やりたいです」と言っていても、
身体は後ろに引いていることがある。
反対に、頭では「自信がありません」と言っていても、
身体の奥には、もう動き出したがっている力があることもあります。
身体を見るということは、
その人を診断・ジャッジすることではありません。
身体を通して、
その人がどう生き延びてきたのか、
何を守ってきたのか、
どこで自分を失ってきたのか、
そしてどこから自分の力を取り戻せるのかを、丁寧に見ていくこと。
これがわたしの仕事上のコアな信条です。
人生を自分らしく作っていくには、思考と身体の両方が必要
わたしは、思考を否定したいわけではありません。
むしろ、思考はとても大切です。
でも、思考だけでは足りない。
身体感覚だけでも足りない。
考える力と、感じる力。
言葉にする力と、身体でわかる力。
現実を整理する力と、自分の内側を感じる力。
その両方があって、人はようやく、自分の人生の操縦席に座っていられるのだと思います。
仕事を前に進めること。
職場の人間関係で自分を失わないこと。
自分の能力を社会の中で使っていくこと。
必要なときにNOと言い、必要なときにYESと言うこと。
安心の中から、いきいきと自分の生命力を発揮していくこと。
そのすべてに、身体感覚は関わっています。
『身体はトラウマを記録する』は、
わたしにとって、対人支援の見方を大きく変えた一冊です。
人は、頭だけで変わるのではない。
身体が安全を感じたとき、
人はもう一度、自分の感覚を信頼し、自分の人生を選び直すことができる。
だからわたしは、これからもソマティックを軸に、
身体と心と仕事をつなぐ支援をしていきたいと思っています。
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◆セッションを受けなくても、日々のセルフケアの中で少しずつ自分の身体感覚を取り戻し、
明日を変えていけるためのプログラムを準備しています。
「そういう個と。〜エッセンシャル」
自分の呼吸、身体の緊張、安心の感覚、境界線、疲れのサインに気づきながら、
日常の中で自分を整えていくためのセルフケア動画講座です。
まず自分でできることから始めたい方へ。
身体と心のつながりを、やさしく、でも確かな実感として取り戻していく内容にしていきます。
準備が整いましたら、またご案内しますね。
◆「前に進みたいのに身体が止まる」
「仕事はできているのに、このままのやり方では続かない気がする」
「自分らしさと仕事の成果を両立させたい」
というテーマを個別に扱いたい方へ。
心・身体・神経系・関係性のパターンを一緒に見ていくBMSセッションを行っています。
個人事業主や経営者の方で、売上はたつんだけど、
判断がにぶるときがある、食いしばりがある、などの方はお試しください
▶︎ BMS(ボディマインドシナジー)セッション
なお、強みや才能、働き方の整理を中心に扱いたい方は、
ストレングスを使った仕事・強みのセッションをご覧ください。
【社会人のためのポリヴェーガル理論入門】
クライアントが動かないのも、あなたが疲れすぎるのも、努力不足じゃない。
〜神経の仕組みから支援を見直す3時間〜
→100名以上のご参加いただきました。ありがとうございます。
◆2026年5月 ボディマインドシナジー講座2期がスタートしました。
コーチング、コンサルタント、カウンセラーのみなさん、
支援者の3層地図を使いこなし、迷いなく仕事をしていきましょう。
募集は1年に一度です。次回は2027年になります。
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この本が人生を変えてくれたとセッションに来てくださる方がいます。
本当にうれしいご縁です。書いて良かった。






























































