19-124『花埋み』渡辺淳一/河出書房新社★★★
後半、かなりダレた。評伝にはありがちで、スポットライトを浴びた後、ひっそりと暮らすことになった部分をどうするか。司馬遼太郎は適当に割愛し、吉村昭は徹底的に調べ「その後」にも焦点を当てる。愚生は吉村の方が好きだ。
19-125『孤舟』渡辺淳一/集英社★★
ファッション雑誌連載の定年退職したおじさんを主人公に据えた話。おじさんってこんなだよ、とギャル(よりは少し年嵩)に教えるための小説。ステレオタイプ。
19-126『地図帳の深読み』今尾恵介/帝国書院★★★★
地図(グーグルのデジタルマップでない紙のもの)を学校を卒業したらもう見ないというのは実にもったいない。地図から学べることはたくさんある。もう少し情報を盛って欲しいという思いから★は1つ減らした。
19-127『熱誠憂国』李登輝/毎日新聞社★★
言いたいことは分かるのだが、わが国では政治が機能していないのと同じ。小泉進次郎を国際会議に出すより、代わりに丸紅や住友商事のエネルギー事業部長にしゃべらせたほうがはるかにいい。
19-128『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』新井紀子/東洋経済新報社★★
売れただけのことはあって、たしかに部分的にはいいが、もうこれは社会構造の問題。教育熱心(偏差値の高い学校を目指すというより、親の意識が高いと言った方がいいだろう)な家庭、向学心の強い子なら問題はないが、社会的通念を教えられていなかったり読書をまったくしない子が問題。
たとえば、ネットゲームオンラインゲームに夢中になり勉強に身が入らないというのは世界的な現象。某サイトをみていると素人の書いた小説が投稿されているが、おもしろいものは一つもない。ボキャの少ない、文字数も少ないわりに改行を繰り返すなど、どれもが幼稚な作文集である。プロの書いた小説、記者の書いた新聞記事を読まず、有名人ブログなどを見て、この程度でいいと思っている。流行語に飲み込まれ埋没するしかない。そういう大人こそ問題。たかが小説と思っているかも知れないが、そもそも書くことも読むことも元来は知的な行為なのであるが。
これは書籍としては今ひとつ。何かと引用されることの多い書籍であるのだが、深い読後感があるわけではない。
19-129中央公論2109-10月号★★★
変わらず充実している。文藝春秋よりは高度。
19-130『言葉と歩く日記』多和田葉子/岩波新書★★★★★
多分、日付の通りに毎日書き綴ったのであろうと思われる。国境を度々越えている、というより普通に旅行している。外国語学習者が手に取っても損はない。
19-131『むらさきのスカートの女』今村夏子/朝日新聞社★★★★
部分的に気に入らないところが散見される。しかしいざ読み始めてみたら一気読みだった。やはりこのことを評価したい。小説トリッパー(朝日新聞社)なる比較的新しい文芸誌掲載作だが、BOC(中央公論新社)や小説幻冬(幻冬舎)、yomyom(新潮社)といった平成創刊のものから、芥川賞直木賞が出る日を心待ちにしている。
一冊通して読まないとカウントしません。読みかけの本はかなりあります。