タイムリーな企画本~800字のブックレビュー⑥ | ricky321のブログ

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広岡達朗『意識革命のすすめ』が出された頃、ちょうど日本が経済的に低成長に陥っていた時代である。輸出産業が花形であった時代から内需が重視されるようになった時でもある。コンビニエンスストアが増え、それこそ野暮ったいダイエーより、セゾン系の西武百貨店、西友、ロフト、パルコがおしゃれな雰囲気を漂わせていた。
その一方で、西武グループが狭山丘陵に球場をつくることも、ライオンズ球団を買収することも、また選手の集め方もかなり強引であった。
さらに、監督として招聘されたのが広岡で、ヤクルトの監督として一度は球団初の日本一に導いたが、フロントとの軋轢から翌年退団、経に辛口の解説でおなじみであった。
選手に厳しい練習を課すだけでなく、玄米、豆乳、自然食の導入を実行。まさに「管理野球」という呼び名がついたほどの徹底ぶりである。
就任1年目にしてリーグ優勝、日本シリーズも制覇した手腕は当然、世間の注目を集めた。もう世間はプロ野球を単なる娯楽とは思わなかった。そこにビジネスのヒントがないかという見方をするようになっていた。
ある意味、その管理野球の主人公も、本の主人公も田淵幸一であった。セリーグの本塁打王になったこともある阪神の人気選手であったのだが、不摂生が災いし、凋落の一途だったのだが、広岡の指導の下、再生を果たす。「神様、自分はどうなってもかまいません。ライオンズを優勝させてください。」という純な吐露が感動的であった。
これは売れるべくして売れたと言っていい。日本一を達成した監督が、その直後に書いたとなればこれ以上のタイミングはない。プロ野球は野球を見せる、また監督はチームを勝たせることでしか世間一般に訴える術がなかったのである。きちんとした野球理論を語った書籍はなかったのであるから。