”世界文学”には至らなかった | ricky321のブログ

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『砂の女』安部公房/新潮文庫19-106

★★★★「あれ、こんなはずではなかった。」という感じである。

確か高校二年生以来の再読である。小説とはこんなにも面白いものなんだよ、と教えてくれたもののひとつであった。これはノーベル文学賞ものではないかと思ったのだが、井上靖『敦煌』と同様、当時は感動したが、大人になった愚生にはものたりなく感じる。

小谷野敦がNHKの少年ドラマシリーズで放送された○○(題名は失念)は安部公房の『砂の女』をベースにして作られている、という意味のことを書いていたが、たしかに主人公がとある町に迷い込んでしまい脱出できなくなるという話があった。インパクトのある小説で、模倣されたりモチーフにされたりするくらいのプロットは提供していると思う。

が、今となってはあまりにも多くのことを盛り込みすぎている。これを半分くらいの長さにまとめられなかったのか、さらに「砂の女」の性的魅力をもっと描くことができなかったのかと惜しまれる。奇しくも、先に書いたソルジェニーツィンの『イワン…』とほぼ同時期に発表されたものだが、食欲という、人間の本能をさらけだして見せたソ連の作家に比べれば見劣りすると認めざるを得ない。