大江健三郎は読者に苦痛を強いる。残酷な書き方だが、憲法九条にしがみつく左翼だろう。むやみやたらな軍備拡張は怪しからんが、防衛力の均衡が平和維持に繋がっていることも国際社会の現実だろう。
それはともかく、大江には駄作とは言い過ぎかもしれないが、読者を完全に置いてけぼりにしてしまうものが多い。河出の日本文学全集の大江健三郎集に顕著で
『治療棟』:汚染された地球から選ばれた者たちが脱出するSFものだが、本格SF作家、例えば筒井康隆には適わない。
『鳥』:引きこもり青年の話だが、この類いはドストエフスキーなどが既に書いているのではないか。
『狩猟で暮らしたわれらの先祖』:柳田国男が収集した民間伝承を思わせ、かつ自身の『飼育』を彷彿させる。つまり既読感がある。
『人生の親戚』においては、まり恵さんを聖女にしてしまい、鼻白む。
こんな具合で小谷野敦も、駄作ばかりを集めたと酷評している。
19-067『静かな生活』大江健三郎/講談社文芸文庫
小谷野が推奨していたので、一昨年半分読んだが、イーヨー(長男/大江光の分身)を純粋無垢な存在だと神格化してしまっているので、途中で嫌になって読むのを辞めていた。
ふと思い立って、今日残りを読んだが(足掛け三年)、決して悪くはないのだが、初期作品、例えば『飼育』『個人的な体験』のようなギラギラした感じは失せてしまっている。もやもやが吹っ切れない。これは映画の方がいいなあ。※伊丹十三と大江は義兄弟。言うまでもないが。