今年ベストの書籍を選ぶ(下) | ricky321のブログ

ricky321のブログ

ブログの説明を入力します。

次点 『百年泥』石井遊佳/新潮社=新潮新人賞、芥川賞
 読んだ限りでは過去の芥川賞受賞作の中で大江健三郎『飼育』に次ぐ傑作かもしれない。続く『象牛』もインドを舞台にした、文学の可能性を考えさせられる作品であった。
 このブログは50代の方の来訪が多いのでお分かりいただけるだろうか。高校の現国の教科書で取り上げられていた中で、気になって全部読んだものが、石川達三『生ための自由』、大宅歩『詩と反逆と死』(早世した大宅壮一の長男、映子の兄)、そして堀田善衛『インドで考えたこと』であった。堀田善衛の描いたインドは雑多な人間と動物の生と死が交錯し、※ヒマラヤの高さと存在感に筆者が圧倒される、ひとりの人間の矮小さを感じさせる国であった。
 一方、石井は雑多な面だけでなく、新興国のビジネスエリートとその卵である若者たちと筆者自身との軋轢を描いて見せた。「お台場のガンダム」「山崎12年のボトル」「川崎駅構内のマクドナルド」といった固有名詞が効果的に使われ、物語と我々日本人読者との距離を一気に縮めてくれる。話の中心に据わるデーバラージが大胆かつ繊細なキャラクターであることが成功の要因。※石井の『象牛』では「雪の蔵」にヒマーラヤとルビをふってある。
 純文学の五十代半ばは、まだ若い。インドがらみの小説、エッセイ、ノンフィクション、色々書けるだろう。余談だが、直木賞作家は受賞後にも小説の依頼が続き寿命を縮めてしまうケースが多い。おそらく芥川賞受賞者は講演会の依頼、あるいは大学に講師として招かれるなど、少し執筆をサボれると思うのだ。余談の余談、恩田陸が石井のひとつ下だけど、ありゃ未だ本気出してないからね。

特別賞「手帳の高橋」広告
https://www.takahashishoten.co.jp/
 CM、広告、家電や自動車などのデザインでなかなか適当なものがなかった年だ。
 スズキの新型ジムニー、キリンストロング缶、あるいはDA/PUMP『U.S.A.』のMVにしようかとも思ったが、これを選んだ。
 背景の青が、昨今の感覚からすると地味な様だが、書店、文房具屋で存外目を引く。絢香がきれいに撮れている(配置もいい)。かなり、数百枚くらいは撮った中から厳選したのではないだろうか?この広告とは関係ないが、絢香には注文がある。歌もうまいし声も曲もいい。ただ詞に瑕疵がある。
   信じることですべてがはじまる気がするの ときて
  I believe myself あたたかい光はまちがっちゃいない という唐突感。
  『にじいろ』は朝ドラのテーマ曲でご存知の方が多いと思うが
    胸は高鳴る という部分、字足らずだ。胸は高鳴るよ とするだけで俄然滑舌が良くなる。
  眩しい笑顔の奥に悲しい音がする これも字足らず。眩しい笑顔のその奥に でぴったり。おまけに明るい感じの歌詞が続いた後で突如悲しいとは繋がりがよろしくない。
 この辺を練れば、歳を重ねたとき、周りから一目置かれた存在になると思う。いいオッサンで恥ずかしいが正直に書いておく。小生は絢香のファンなのである。

準特別賞「文藝春秋2018年3月号」
 石井、若竹、両芥川賞が力作。他も教育界への提言はじめ、記事が充実していた。
(但し、工藤公康「ホークスは十連覇を目指す」は除外)
イメージ 1
 これ、表紙絵もおみごと。

 追加で書いておきますが、逆にデザインで酷かったのが日清の最近のカップヌードルことごとく。南国エスニックな感じを出したいのか、目立てばいいと考えているのか分からないが、品がない。今回朝ドラが日清食品創業者夫婦なんで、これを機に襟をただして欲しい。