
兵奴(ひょうぬ)の果報ならん
日蓮聖人『立正安国論』の中で引用される『仁王般若経』の言葉。
経文が説く「兵奴の果報」とは、まさに人間の尊厳が根底から奪われた姿です。
自分の意志や幸福は一切認められず、ただ戦いの道具、権力者の駒として使役され、生殺与奪の権限を上官に握られ、命の重みさえ否定される、人間として最大の不幸です。
現代世界では今なお覇権争いや経済圏の奪い合いによる不条理な衝突が絶えません。
国家の思惑やエゴの裏側で、多くの人々が家や日常を奪われ、現代の兵奴として人生を翻弄されています。
私たちの身の回りでも、他者との際限のない競争、誰かに生殺与奪の権を握られたかのような息苦しい労働環境、情報に振り回され、自分自身の幸福を見失い、貪りや怒り、愚かさに支配された不自由の姿があります。
汝(なんじ)早く信仰の寸心(すんしん)を改めて、速やかに実乗の一善に帰せよ と聖人は叫ばれました。
法華経の信こそ、 自分で自分の幸福をつかみ、互いの生命を敬い合える、本当の楽しみのある人生があります。
それは聖人の説かれた「立正安国」の精神なのです。