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 表紙に書かれている粗筋どおりの物語あるけれど、こういう話は世界中どこにでもあったことだろう。チャンちゃんは人間に執着する精神性が何らかの理由によって普通の人より希薄になっているみたいだから、このような物語を読んでも全然思うことがない。ただ、ジプシーに関する興味で読んでみた。

 

【呼称のあれこれ】
 スペインでジプシー、中欧・東欧でボヘミアンと呼ばれる人々は、同一ルーツの民族であり、近年では総称してロマと言われているらしい。その他に、チゴイネル、ヒタノスなどの呼称があるけれど、それぞれに明確な意味上の区切りがあるのではない。

 

 

【ボヘミアン】
 ボヘミア人にとって自由が全てです。牢獄生活を一日まぬかれるためには、町一つを焼き払うこともしかねない人種です。(p.48-49)
 自由のためには激情の発露を当然とする民族ということだろう。
 狼に飼育されていてもひたすら従順な未のような日本民族には、ほぼ無い性格傾向である。

 

 

【ラロロ】
 あの女はラロロに向けて出発したと答えました。彼ら仲間でポルトガルのことをこう呼んでいたのです。(p.56)
 ラロロの本来の意味は、“赤い(土地)” だという。

 

 

【ボヘミアン/ジプシーの主要分布域と生業】
 ボヘミアン、ヒタノス、ジプシー、チゴイネルなどの名で知られ、ヨーロッパ全体に散在しているご承知の放浪民族が、今日なお多数に存在する国の一つがスペインである。多くは南部および東部の諸州。すなわちアンダリシアや、エストレマドゥラおよびムルシア王国に住んで、というよりは、放浪生活をおくっている。カタルーニャにも相当たくさんいる。このカタルーニャの連中はたびたび国境を越えてフランスへやって来る。通常、男はばくろう、獣医、らばの毛の刈りこみ屋などを業としている。これに加えて、なべ、かま、銅器の修繕の仕事をすることがある。密輸業その他の不正業にいたっては、ここに申すまでもない。女は占いをしたり、こじきをしたり、無害のあるいは然らざるあらゆる種類の薬を売ったりする。(p.94-95)
 下記リンク著作に、ばくろうにまんまと騙されて自殺しちゃった男の話が書かれていた。
   《参照》  『南仏プロヴァンスの12か月』 ピーター・メイル (河出書房新社) 《前編》
            【ジプシーという窃盗団】

 

 

【ボヘミアン/ジプシーのルーツ】
 ボヘミア人の歴史は、今日なお一個の問題である。・・・中略・・・。16世紀の初頭、ヨーロッパの東部にあらわれたことだけは、たしかにわかっているが、どこから来たか、また、なぜヨーロッパへやって来たかは説明できない。(p.100)
 ボヘミア人の言葉を研究した東方学者の大部分は、ボヘミア人はインド出生であると信じている。事実、ロマニ語の語根の大多数ならびに文法上の形態は、サンスクリットより派生せる多くの語法中に存在せるものの如くである。長い間の放浪の旅の間に、ボヘミア人が多くの外国語を採用したことは認められる。ロマニ語のすべての方言を通じて、多数のギリシャ語の存在が認められる。(p.101)
 ギリシャ語に加えて、ドイツに住んでいるボヘミアンはドイツ語の、スペインに住んでいるジプシーはスペイン語の影響を受けて、それぞれにロマニ語の根本を変化させてきたので、今日では両者の会話は不可能かもしれないとも書かれている。
              【ジプシー】

 

 

【作者のメリメ】
 『カルメン』はスペインを代表する作品のような印象があるけれど、作者のメリメはスペイン人ではないので、以下のリンクを付けておきます。
   《参照》  『南フランス 小さいまち紀行』 (グラフィック社)
            【メリメが修復したカルカソンヌ】

 

<了>