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 世界・美術の旅ガイドとあるけれど、旅ガイドでもあるので、美術関連情報のみならず風土・料理・特産品・伝統工芸などまで総合的にコンパクトに記述されている。

 

 

【ヴァンス:マチスが創ったロザリオ礼拝堂】
 サン・ポール・ド・ヴァンスよりさらにバスで10分ほど、山深く入った村がヴァンス村だ。城壁(一部道路)で囲まれた中世の町で、橋を渡る道、泉、噴水、中央広場に礼拝堂と典型的な〈鷲の巣村〉のひとつ。(p.9)
 鷲の巣村とは、山の上にある村のこと。
 第二次大戦下の1943年、戦火を逃れてヴァンスに移り住んだマチス。村はずれにある礼拝堂は、すでに病に侵されていた彼が最晩年の4年間をかけ、神に祈りながら建造した作品だ。堂内には青、黄、緑のステンドグラスが、信じられないほどの鮮やかな色を落としている。(p.9)
 《後編》に、芸術家マティスと【ヴァンスのロザリオ礼拝堂】について書き出しておいた。

 

 

【ゴルド村】
 ヴォークリューズ山地のなか、小高い丘の頂上に建つ城を、取り巻くように住居が階段状に建つゴルドの村。ここは、中世初期に、外敵からの防御のためにつくられた、城塞の村の一つである。(p.18)
 丘の頂上に立つ城は、12世紀の要塞の跡地に再建されたもの。ベルトラン・ド・シミアーヌにより、16世紀にルネッサンス様式で建てられた。・・・中略・・・・3・4・5階はヴァザルリ美術館となっている。
 ヴァザルリはハンガリー出身の画家。作品のほとんどは、幾何学的なパターンの反復によって起こる目の錯覚を利用した、独特な抽象画。
 村から約2km程のところには、20戸のボリー(石材を積み上げてつくったかまくら状のもの。起源については未だに謎)がパン焼き窯のまわりに復元されて並んでいる。・・・中略・・・。
 また、村の北や約4km進むと、ラヴェンダー畑に囲まれたセナンク修道院がある。(p.18)
   《参照》  『南フランス 小さいまち紀行』 (グラフィック社)
            【ゴルド郊外のセナンク大修道院】

 

 

【ルション】
 クーロンの谷とイメルグ渓谷の間にまたがり、切り立った岩山の上に位置する景勝地ルション。古代ローマの植民地として誕生した町で、古くからオークルの産地としても有名である。洞窟壁画の原料のなるオークルは、金色がかった白から淡黄色、褐色、バラ色から焦げ茶までさまざまな色彩があり、なんと17色にも及んでいる。このオークルの丘に築かれた家々は、建物自体もこの素材が使われているため、村全体が太陽の傾きに合わせてその色合いを刻々と変えていくのである。その美しさは、絵心のない人でも思わず筆をとりたくなるほどの見事な風景と言えるだろう。(p.20)
 オークルは、鉄酸化物と粘土性砂岩の混合物で、かつてはヨーロッパ中に輸出されていたルションの特産品。現在は化学染料に押されて採取されていない。オークルの採掘場は、「巨人の道」と呼ばれているらしい。
 村の中心地の広場には、洗練されたムードのカフェテラスが建ち並び、・・・中略・・・、そこから見える時計台の下をくぐり、北端の展望台へ。切り立った崖のうえからはヴォークリューズ山地やリュペロン山地などのすばらしい風景が望める。(p.20)

 

 

【ニースの城跡】
 マティスやシャガールが愛した海辺の町である。
 華やかな海岸通り〈プロムナード・デ・ザングレ〉を東に行った港を望む高台が城跡である。・・・中略・・・。現在は散歩のできる公園になっており、海抜92mの丘からの眺望はすばらしく、プレアルプスの山並みや、紺碧の美しい海が見渡せる大パノラマが広がっている。(p.78)
 観光用のミニトレインに乗って昇って行くこともできるし、プロムナード・デ・ザングレの突き当り付近にあるホテルスイスの左脇にある階段を歩いて昇ることもできる。足腰が心配な方でも階段脇にあるエレベーターで行ける。

 

 

【プロヴァンス風】
 「料理名の中に、プロヴァンス風(a la Provencale)という文字が入っていたら、ニンニクとトマトとオリーブオイルを使った料理のこと」といわれるぐらい、プロバンス料理にとってこの3種類の食材は欠かせないもの。(p.75)
 プロヴァンス風といったら、即、“ハーブたっぷり”を連想するだろうけれど、ハーブは世界中どの地域でも使われるものだから、プロヴァンス風という上での個性にはならないらしい。
 3種類の中でもプロヴァンスにおける主役は、ニンニクなのだという。
 マルセイユでは、8月の聖ジャン祭りからの1週間、〈ニンニク市〉が建ち、赤紫色やラヴェンダー色などのさまざまなニンニクが顔をそろえる。(p.75)
 オリーブオイルは、プロヴァンス地方でバター代わりのように使われているもの。「魚は水の中で生き、オリーブオイルのなかで死ぬ」という南欧のことわざがあるほど、メジャーなオイルなのだ。(p.75)
 プロヴァンスの人々が〈愛のリンゴ〉と呼ぶ甘酸っぱくてジュースたっぷりのトマトも、よく使う食材のひとつ。(p.75)
  《参照》 『南仏おいしい物語』島静代(東京書籍)《前編》
         【南仏の料理】
         【プロヴァンスのヴァニラ】

 

 

【パスティス】
 独特の芳香を持つアニスやウイキョウなどのハーブ類でつくられるリキュール。パスティスとは、プロヴァンス語で〈混ぜ物〉という意味で、ハーブを混ぜ合わせてつくっていることからこの名が付いた。プロヴァンスのシンボル的な存在であり、フランス全土でもポピュラーな食前酒として親しまれている。また、腹痛や風邪にも効くといわれる。水で割ると黄金色から乳白色に変化する。(p.76)
 オッサンが書いたプロヴァンス本(例えばピーターメイルの『南仏プロヴァンスの12か月』)には、この単語が頻繁に記述されている。

 

 

【ソレイアード】
 南仏の自然の色と光の匂いをまとった「太陽の布」といわれる木綿の生地。・・・中略・・・。
 独特の押し染め技法で知られるソレイアードのモチーフは、プロヴァンス地方の草花。その歴史は、東洋に起源を発し、・・・中略・・・。日本ではこの技法でつくられた布をサラサという。(p.90)
 フランスではルイ14世の時代、産業保護政策で布の輸入が一切禁止されたけれど、プロヴァンスは以前教皇領だったので治外法権となり、独自の発展を遂げたのだという。
 やがてソレイアードは、インドの木版染めを模倣するだけでなく、プロヴァンス独特の風土や自然のなかで息づき、〈アルルの女〉の伝統民族衣装として新しい命を持ったのである。(p.91)
  《参照》  『南フランス 小さいまち紀行』(グラフィック社)
          【アルルの女】

 

 

【サントン】
 プロヴァンスを旅していると、ホテルやレストランでよく見かける粘土人形。・・・中略・・・。サントンとはプロヴァンス語で、〈小さな聖人〉という意味。(p.91)
 もともとはイタリアでキリスト生誕を祝うためにつくられたのが始まりらしい。現在では聖書由来のモノばかりではなく生活に根差した人形などが数多く作られている。
 マルセイユでは、11月最後の日曜日から1月6日まで「サントン市」が建つ。・・・中略・・・。また、アルルの民族博物館では、アントンの見事なコレクションを見ることができる。(p.91)

 

 

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