イメージ 1

 世界の重厚長大型産業の実状を良く知る著者の本。2013年4月初版。

 

 

【中国海軍の戦力】
 せっかく中国が建造した空母「遼寧」を、日本の自衛隊は一発で撃沈できます。
 心配されるのは、そうした状況が分かっていない中国人民解放軍の下級指揮官による命令で勝手に発砲される可能性があることです。(p.15)

 そして、尖閣諸島に中国の武装漁民が上陸するのではないかと危惧する向きがありますが、そうした事態はまずありません。制海権を持っているのは日本ですら、・・・中略・・・、中国軍は尖閣諸島に近寄ることはできないでしょう。(p.20)
 空母のみならず、潜水艦その他の能力においても中国と日本の差は歴然で、問題ないと書かれている。
    《参照》   『破綻する中国、繁栄する日本』 長谷川慶太郎 (実業之日本社) 《前編》
              【空母・遼寧の戦力】

 世界の主要各国の軍事力バランスは、世界情勢において非常に大きな意味を持っているけれど、世界の混乱要因を、できるだけ早く波風立てることなく平穏なうちに収束させようとするなら、アメリカ優位のままあと数年ほど継続していた方が好都合である。
    《参照》   『東京直下地震 3年以内震度9』 Chiran (三栄書房) 《後編》
              【マレーシア航空370便】

 

 

【「戦争」はもうできない】
 世界の潮流は「戦争」から「平和」に移りました。だから、中国共産党も平和を追求することを求められ、改革開放路線の推進を図ってきたわけです。すると、戦争行使を前提とする軍隊、中国でいうころの人民解放軍は必要でなくなってしまう。だから、人民解放軍は存続を目的に戦争を必要とする先軍政治に戻りたいのです。これは世界の潮流に逆行します。
 共産党が先軍政治に戻ろうとすれば、中国は潰れます。アメリカが目指しているのは、「冷たい戦争」を冷たい戦争のままで終わらせることです。・・・中略・・・。
 あらゆる国で戦争はもうできなくなります。平和がいよいよ世界を覆うことになるのです。それが人類の大きな目標です。間もなく達成されるでしょう。(p.29)
 日本国政府はいまだに、ネオコンの狂人たちに脅迫されて、戦争推進準備を目論んでいるけれど、間もなく狂人たちは逮捕されるだろう。「金融恐慌+戦争」というシナリオの発端が、今年の9月半ばあたりに予定されているらしいけれど、これを防ぐことができるなら、それは同時に世界を支配してきた不正金融システムの終わりを意味することになる。人類は新しい段階に入ることができるだろう。

 

 

【上納金システムを維持したままの「汚職撲滅」】
 習近平総書記など共産党政治局員がいくら汚職撲滅といても、掛け声だけです。あの穏健で庶民的と称されてきた温家宝首相ですら、・・・中略・・・、その資産は一族で少なくとも27億ドル(2200億円)あると2012年10月に報道されました。・・・中略・・・。いわゆるタレコミがあったのです。毛沢東回帰派、文革派がニューヨークタイムズにタレこんだものと推測されます。・・・中略・・・。つまり賄賂の上納金システムがあるといわれています。・・・中略・・・。7人の政治局常務委員みんな同じです。中国の特権階級の人々は世界もアッと驚くほどの超金持ちなのです。(p.57-58)
 一週間ほど前に、共産党幹部の汚職報道がされていたけれど、国民の不満解消を目的とした単なるヤラセだろう。本当に政治から追放されるなら、それ相応の見返りを取りつけた上で退いているのだろう。

 

 

【秦皇島】
 天津からちょっと離れたところに秦皇島という港があります。その秦皇島は今、石炭や鉄鉱石を港で積み下ろしができないのです。なぜか。ヤードが満杯だからです。(p.72)
 製品が売れずに、原材料ですら在庫の山を形成しているということ。この本は、2年前のものだけれど、中国製品の“安かろう悪かろう”は、もう世界が認識していることだから、世界的な景気が良くなっていたとしても、この状態は改善していないはず。
 中国製品の粗悪さの実例として、中国製LEDは日本製の3分の1の価格だけれど3か月しか持たないし、太陽光パネルも、中国製はすぐに出力が落ちてしまう(p.80)と書かれている。
 因みに、日本の製鉄技術は高炉からエネルギー効率が高炉の20%という省エネの電炉へとシフトしつつ、技術を積み上げてきたので、今日ではそれほど鉄鉱石を輸入することなく、国内で鉄のリサイクル製品ができるようになっている。中国の鉄鋼会社は、在庫を掃くために投げ売り価格で日本に売っている場合すらあると書かれている。

 

 

【ミタルの盛衰】
 ヨーロッパの貸しはがしは凄いのです。それが、中国経済にも暗い影響をもたらしています。インドにミタルという世界一の鉄鋼会社があります。そのミタルも貸しはがしに会っています。ひと頃、新日鉄(当時)を買収する話がありました。それは実現しなかったわけですが、今は資金繰りで苦境に立たされています。(p.79)
 鉄鋼部門において、ロスチャイルド傘下の企業を買収したブリックス代表のミタルは、飛ぶ鳥を落とす勢いだったけれど、それももはや昔のこと。結局のところ、技術力において優っている日本企業だけが残ることになる。
    《参照》   『反「デフレ不況」論』 日下公人・長谷川慶太郎 (PHP) 《前編》
              【日本の製鉄業の実力と、ミタル・スチールの実態】
    《参照》   『新たなる金融危機に向かう世界』 副島隆彦 (徳間書店) 《前編》
              【現在は、BRICs諸国が鉱物資源の価格支配力を持っている】

 

 

【大卒から「ネズミ族」へ】
 中国の大学卒業生は2012年、580万人にのぼりました。日本は60万人ですから、日本の約10倍になります。中国では大学卒業生のうち、就職できた人が100万人しかいない。・・・中略・・・。そこで、・・・中略・・・中国政府は、各地方の先生に振り向けました。ところが、小学校の先生に赴任して1週間も経たないうちに、みんな都会に逃げ帰ってしまったのです。それは賃金があまりにも安かったからです。
 最近、北京では「ネズミ族」という言葉がはやっています。・・・中略・・・小学校の先生を拒否した若者たちが、北京の郊外に8畳1間を借りて10人が住みます。・・・中略・・・、3交代で寝るのです。・・・中略・・・。こうした若者が安い報酬を貰いパソコンを使って、ハッカーをやるのです。(p.90-91)
 大卒の知性が、社会の発展ではなく破壊のために使われているというのが中国の実状。本末転倒と言う感じだけれど、国を治める共産党員自体が、拝金の模範となっている国において、格差の極大化に歯止めなどかかる訳はないから、畢竟するにこれは必然である。

 

 

【オスプレイ沖縄配備の本当の理由】
 米国海兵隊が使用しているヘリコプターCH-46の航続距離は700キロです。一方、最新型のオスプレイは3900キロと、航続距離が5.6倍です。(p.120)
 オスプレイを沖縄に配備しておけば、たとえば、中国や北朝鮮で大規模な混乱・内戦が発生したときに、中国・北朝鮮にいるアメリカ人をオスプレイで救出することができると考えているのです。(p.121)
 ついでに、下記の内容は、日本人も知っておいた方がいいかもしれない。
 自分の身は自分で守る、という意味から、中国にいる日本の駐在員はアメリカかヨーロッパの航空会社の切符を1年間有効のオープンチケットで、家族ともども、購入すべきでしょう。・・・中略・・・オープンチケットを持っている客には、最優先で国際航空会社は旅客機に乗せます。でも、中国や日本の航空会社は信用できません。こういう時は、アメリカの航空会社が頼りになるのです。アメリカは強いです。そして絶対に救出します。アメリカの航空会社がいいと思います。(p.122)
 有事は起こらないとは思うけれど、もしも起こった場合、日本政府も民間航空会社も、ほぼアテにならない。そのような過去の実例は下記にある。
    《参照》   『救出 日本・トルコ友情のドラマ』 木暮正夫 (アリス館)
              【テヘランで行き惑う日本人】

 

 

【韓国:日本からの経済援助5億ドルの使い道】
 これは実話ですが、朴正熙大統領は1965年に日本との国交回復をやり遂げました、
 その時に韓国は5億ドルの経済援助を日本から受け取ったのです。その5億ドルは2つの国家プロジェクトに集中して投資することになり、ほかの計画には1ドルも使わなかったのです。その一つはソウルと釜山を結ぶ高速道路の建設、もう一つは浦項製鉄所の設立です。浦項製鉄所の初代の社長を私は個人的に知っていました。朴泰俊氏です。(p.129-130)
 浦項製鉄所は、現在ボスコという社名になっている。
    《参照》   戦後の、日本から韓国への援助のかずかず
              【韓国の経済発展を創出した日本】
    《参照》   『日韓併合』 崔基鍋 (祥伝社)
    《参照》   『めざせ!海外ビジネス』 酒井猛夫 (社会思想社)
              【台湾と韓国の比較】
 朴正煕大統領は浦項総合製鉄を作り、そして高速道路を建設し、そうした国家プロジェクトで一切、リベートを取らなかった。ですから、朴大統領が暗殺されてその家族は住む家もないのです。どんなに清廉潔白であったか。朴正煕という大統領は本当に偉い人だった。暗殺されて、韓国にとっては貴重な財産を失くしたようなものです。(p.131)
 この本が出版されたのは、朴正煕大統領の娘さんである現在の朴槿恵大統領が就任したばかりのときだったから、著者はエールの意味でこれを書いていたのだろう。
 しかしながら、日本国と同様に「闇の支配者」に完全支配されている韓国政府は、彼らの「分断と統治」という基本政策に従属させられて、日韓関係の改善を推進することは何もできなかった。

 

 

【番組「韓国経済の実力を診断する」】
 ソウルオリンピック開催4年前の1984年、著者の長谷川さんは、KBSに招かれて「韓国経済の実力を診断する」という番組を作ったという。その時、各工場の製造機械に付いているネームプレートを1台ずつビデオに撮らせ、原材料が入っている段ボール箱のメーカー名も、ビデオに撮らせたという。どれもこれも日本製ばかり。
 取材チームがビックリしたのも無理はありません。・・・中略・・・、それが韓国で1時間番組の特番として流れたのです。多くの韓国国民が見ました。韓国の人たちは相当ショックだったようです。(p.136)
 今の韓国なら、こんな番組など決して制作しないだろう。

 

 

【サムスンの研究施設】
 そのショックを受けて、一番熱心に対抗策を講じたのが、サムスン電子でした。・・・中略・・・。企業が成長するために、必要なものは何か。研究開発だ、ということになったのです。
 そして、サムスンは大規模な研究施設をすぐに立ち上げました。どこに研究所を作ったのか。横浜の港北に作りました。いまでもそこに研究所はあります。ソウルではないのです。そこに私は行ったことがありますが、韓国人は3人しかいません。日本の研究者を中心に1000人以上いました。半端な研究所ではない。この効果があって1996年から、サムスンはアメリカの特許獲得数で10位以内に毎年、食い込んでいます。(p.137)
 研究所にいた韓国人は3人かも知れないけれど、日本の経済力の強さを知る為に、1年間に渡って日本中を遊学している韓国人のサムスンの社員は何人もいた。「日韓政治経済」や「日本経済産業」や「韓国人向け」のフォルダーにある記事は、そんなサムスン社員に出会っていろいろ質問されたことに対して回答すべく、2000年頃に書いておいたものである。

 

 

【企業の存続に必要なもの】
 現在のサムスン会長は「100年後にはサムスンはなくなる」。そして「企業は永遠なりとは夢にも思っていない」と冷静に答えたのです。
 なぜか。「うちは発電機ができないからだ」と。つまり「発電機が作れないとメーカーはダメになる」という指摘だったのです。つまり、これからのメーカーは重厚長大産業の技術がないと生き延びることができない、と判断しているのです。(p.138-139)
 フリーエネルギーを邪魔する勢力は、間もなくこの地球上から一層されるから、どのメーカーであろうと発電機の製作は可能になるだろう。仮に発電機の製作が不可能であったとしても、エネルギーがフリーの社会になれば、そのフリーエネルギーを使って、それぞれの企業が持つ技術力によって社会貢献を継続することは十分可能である。

 

 

【北朝鮮の食糧事情】
 近年の北朝鮮ですが、食糧不足が深刻で本来は核開発どころではないのです。・・・中略・・・。北朝鮮の地形を大まかにイメージしますと、真ん中が高くて、西側がなだらかになっています。山脈から西側の平地が農業地帯になっているのです。そこが、よく水没してしまうのです。というのも、北朝鮮の山は全部、丸坊主に近い状態で、わずか1時間に30ミリの雨が降るだけで土石流が発生してしまうのです。
 これは、当時の金日成国家主席が山林を伐採してトウモロコシを栽培しようとしたからです。(p.146)
 グーグルアースで見ても、北朝鮮の西側の緑はかなり少ないことがよく分かる。
 同じ頃、韓国はどうだったかというと、
 対照的に韓国は朴正煕大統領当時に、山という山に全部、植林をしたのです。・・・中略・・・。
これまで農民が薪を採っていたが、朴大統領は薪として木を伐採することを禁じたのです。禁じた代わりにすべての農家がプロパンガスを使えるようにしました。これは、セマウル運動と呼ばれていました。(p.148)
 セマウルとは「新しい村」という意味らしい。

 

 

【川崎重工業の電車】
 東京の3倍もあるニューヨークの地下鉄車両の1万両が、近い将来、川崎重工業製になるものと見られます。(p.176)
 その理由は、車両の性能だけではない。
    《参照》   『反「デフレ不況」論』 日下公人・長谷川慶太郎 (PHP) 《前編》
              【汚れないニューヨークの地下鉄車両】

 今まで使われていたカナダのボンバルデーヤ社の車両はアルミ製で、ボンバルデーヤ社には、落書きを簡単に消すことができるステンレスを車体に組み込む技術がないと書かれている。その技術は日本企業が持っている。

 

 

【シェールガス】
 アメリカで生産する天然ガスの30%をシェールガスが占めるようになりました。この比率はもっと高まります。
 シェールガスは、アメリカだけでなく、世界中で出ます。この影響で中東の立場は大きく変化するでしょう。ハッキリいえば、中東産油国は数年の後に没落します。(p.191)
 シェールガスの生産比率が高まることは、ありえない。
 シェールガスは、地下水を汚染し生活環境に対して多大なデメリットを生んでいることは、今日では良く知られている。エネルギーの転換どころか、シェールガス採取は、マザーアースを痛めつける最悪のエネルギー取得法である。
 フリーエネルギーが実現すれば、シェールガスも石油も必要なくなる。現在の地球は、生態系ガイアとして存続可能かどうか、もはや臨界点に達しているだろう。既存の愚かなエネルギーインフラをすべて海中に沈めて、否応なく新たなフリーエネルギーに転換せざるをえない状態にさせられる可能性が高い。


 

<了>