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 『もしドラ』 を読んだ中高生で、お父さんが経営者なら、次にこの本を読むのがいいかもしれない。現在ホヤホヤのビジネス1年生にもいいかもしれない。また、日本人は一般的に数値で考える民族ではないから、その弱点を埋めたいと思っている人にも有効だろう。
 この本は、経営者である父に反発心を持つ男子高校生が、二つ年上の女子高校生・経営コンサルタントに出会って学んでゆくというストーリー展開になっている。GDPだとか付加価値だとかの初心者にはとっつきにくい用語も、マンガの登場人物と一緒に学べるから、それなりに理解できるだろう。2011年2月初版。

 

 

【「数字眼」を鍛える】
 数字に対して敏感に反応する「眼」のことよ。
 これがあると、全体を把握する力「把握力」
 具体的に物事を考える力「具体化力」
 目標を達成する力「目標達成力」
 この3つの力がつくの!   (p.22)
 自己啓発系の著作には、目標設定の重要性が常に書かれているけれど、そこには「具体的な目標設定」と書かれているはずである。具体化の極みが「数値」。
 なぜ、社員は社長ほどには自社の数字に関心を持たないのでしょう? なぜ、できる社員は「あと○○円」とか「あと○○%」とか具体的な数字を使って話すのに、できない社員は「あとちょっと」とか「売れてます」「売れてないです」みたいな漠然とした話しかできないのでしょうか?
 答えは「責任」です。
 数値化するということは、究極の具体化です。そして何であれ、具体化されないものは絶対に実行されません。(p.42)
 曖昧な表現にも良さがあるのは確かだけれど、ビジネスの世界では曖昧さは通用しない。ビジネスの世界で曖昧な領域を維持したがっている人は、はっきり言って「無責任な人」であり、もっと言えば「犯罪者」ですらある。
    《参照》   『だから、あなたの会社は若い社員が辞めるのです!』 三橋孝夫 (文芸社)
              【一応、課長です】

 

 

【1つ目のコツ】
 1つ目のコツ
 「数字に関心をもつ」 (p.23)
 一般的に男性は左脳系だから、こんなのは言うまでもないことだけれど、女性は右脳系だから、値札なんて見ないで買い物をしている人が少なくない。そんな人でもお給料の増減は気になっているだろうから、自分のお給料が、日本人の平均より上か下かくらいは、この本を読んでゆけば自分で計算できるようになるだろう。
    《参照》   『数値力の磨き方』 野田宜成 (日本実業出版社)
              【数値を意識する】

 

 

【2つ目のコツ】
 数字を理解することが「把握力」を鍛える2つ目のコツ
 「数字の定義と意味を把握する」よ!  (p.27)
例えば、「付加価値(30億) = 売上高(80億) ― 仕入(50億)」
 「GDPとは、日本中の付加価値の合計」 のように。

 

 

【3つ目のコツ】
 じゃあ、3つ目のコツよ。
 「数字と数字を関連づける」 (p.27)
 数字と数字を関連づけるとは、項目を関連付ける式を理解しておくということ。
 「付加価値」と「GDP」の関係はすでに分かっているけれど、「GDP」と「お給料」の関係は、「労働分配率」という指標や「労働人口」という数値を介在させる必要がある。
 日本人の平均給与 = GDP × 労働分配率 ÷ 労働人口 で算出できる。
 日本の「労働分配率」は60%程度らしい。労働人口はネットで調べればすぐに分かるけれど、自分で日本の総人口を元に推論してみるのが先。すぐにネットに頼ってしまうと、考える力がつかない。

 

 

【4つ目のコツ】
 GDPが500兆円とか、人口が1億2800万人とか、そういう基本的な数字がわからないと、推論もしようがないのよ。
 4つ目のコツ
 「基本的な個別の数字をその定義と一緒に把握しておく」
 これが「数字眼を鍛えるのに、非常に重要なのよ! (p.31)
 この他にも、数値を扱う上でのオキテがいくつか書かれている。
 この本を読んでも、マニュアル解釈のような読み方の読者なら、学んだことにはならない。
 「なぜこれらがコツなのか?」までを、きちんと理解して始めて理解したことになるだろう。

 

 

【熊本駅】
 コラムに書かれていること。
 熊本駅は、中心地からものすごく離れた場所にあって、なんでこんなところに昔から駅があるのかと思うほどです。中心地までタクシーで1000円以上かかるのです。こんな町はほかに知りません。(p.76)
 へぇ~、熊本って行ったことないから初めて知った。
 欧米の駅は、むしろ中心地から離れているのが普通であるけれど、これはターミナル駅として複数の電車が待機できるよう広大な敷地を必要としたことがそもそもの原因らしい。また馬車が交通の主体として先に道路が整備されていたという理由もあるだろう。
    《参照》   『日本文明世界最強の秘密』 増田悦佐 (PHP研究所)
              【鉄道の文明論】

 日本は狭い国土で余裕がないから、主要な駅でもターミナル駅ではなく通過駅として設計されてきた。
 熊本駅立地の理由が知りたい。グーグルの地図を見た限りでは、先に走っていた市電の当時の経営者が「ワシの利権の邪魔をするな」と言ったんだろうと推測できる。

 

 

【セブンーイレブンのロゴ】
 セブンーイレブンのロゴはアルファベットでどう書かれているかご存知ですか?
 え? そんなの簡単にわかるって?
 実は私もそう思っていました。・・・中略・・・。
 なんと、最後のエヌが小文字なのです。 (p.129)
 7-ELEVEN ではなく 7―ELEVEn なのだという。
 ハッキリとは自覚していなかったけれど、なんとなくイメージできた。
 ちなみに、キャノン も気づいていない人が多いだろう。商標は キヤノン である。バランスの関係と説明されているけれど、いろいろ背景があるみたい。
    《参照》   『キヤノン現場主義』 御手洗冨士夫 東洋経済新報社
              【キヤノンの一眼レフ】

 

 

【小金井カントリー倶楽部の会員権相場】
 そもそも株式は景気が悪いときは政府が介入してしまうこともあるから、純粋に景気の動向を表しているとは言いにくい。
 けれど日本で最も高いといわれている小金井カントリー倶楽部の会員権なら、政府の影響が及ぶことはない。つまりこの相場が世の中に余っているお金の勢いを純粋に表しているんだ。(p.152-153)
 バブルのピーク時には4億、それが崩壊で4千万、その後2007年に1億まで戻し、リーマン後の2010年には5千万だったという。で、今現在の小金井カントリー倶楽部の会員権相場は、リーマン後とほとんど変わらない。
 アベノミクスによって、日本経済は一部が良くなるだけで、二極化は一層進むだけである。
    《参照》   『新幹線から経済が見える』 小宮一慶 (実業之日本社)
              【日本一会員権価格の高いところ】

 

 

【ただし、ここでもうひとつ注意】
 ただし、ここでもうひとつ注意。それは
 とにかく数字にすればいいのではない
 ということです。実態や実感とかけ離れた数字をいう人・・・周りにいませんか? こういう人は、逆に信頼をなくしますね。 (p.181)
 そう、統計として並んでいる数値自体、作り方でどのような値にでもなってしまう。ある程度社会の実状が分かっていないと、本質など到底捕まえられない。
    《参照》   『国民の教養』 三橋貴明 (扶桑社) 《前編》
              【日本は公務員が少ない?】

 

 

<了>