《前編》 より

 

【週三日労働でいい】
三田 以前は、漫画家っぽく徹夜をしていたんです(笑)。ところがやめる子が多くてね。そこでアシスタントの数を増やして一人当たりの仕事量を減らしました。もちろん給料も減らしましたけど、みんな「収入が減っても、自由な時間があるほうがいい」と言っています。
三浦 僕のところで働いていたフリーターも「週三日ぐらいなら正社員で働いてもいいな」と言っていましたね(笑)。
三田 いっぱい稼いでいい部屋に住んで、いいものを食べたいという欲求が薄いんですね。
三浦 案外みんなで仕事を分け合って週休三日制にしたら、仕事につかない若者の数がへるかもしれませんね。
三田 うちは完全週休三日ですね。昔の仕事量と比べると半分ぐらいになってます。(p.146)
 週休3日ではなく週休4日、つまり働く日を週3日にして、2交代制にすればいいのである。ないしは、1日3時間労働にして2交代制にすればいいのである。
 特に何も仕事のない地方行政公務員という椅子に座っているだけの職業は、実質3分の1の人数で足りると言われているのだし、職能など無関係に配置されている部署が殆どなのだから、人件費の総額は今のままで、給料を半額、職員数を2倍にすればいいのである。全国に162万人いる孤立無業者の問題 もこれで多くが解決するだろう。
 知性においてもモラルにおいても劣化しきったオッサンたちを野放しにしておくより、純粋な若者たちを安く多く雇用し育てることで、地方行政は新しい時代に合わせて根本からドラマチックに変われるはずである。高度成長期の概念はもう多くが実情に合わなくなっているのである。
    《参照》   『1日3時間しか働かない国』 シルヴァーノ・アゴスティ (マガジンハウス)

 

 

【若い人は実は規則や型を欲している】
三浦 もう一つ感じたのは、若い人は実は規則や型を欲しているのではないかということです。
三田 たしかに、それは感じますね。
三浦 特にそのことを実感したのは、2006年のワールドカップ。・・・中略・・・。それなのに、大人は方向を示すのを怖がっているんですよ。若者に反発されるんじゃないかと。
三田 たしかにそうですね。(p.149)
 経験も知識もない子供の段階から、個性だの自発性だの自由だのと言って教育されてきたから、今でも「行き先不明」、「歩き方すら不明」なまま人生を空虚に過ごしている人が多いんだろう。
 ここで対談している三田さんは、下記リンクの著者である三田紀房さんのこと。
     《参照》   『個性を捨てろ!型にはまれ!』 三田紀房 大和書房
               【「自由」を掲げたジーコ監督】
               【自主性を重んじるという責任逃れ】

 

 

【就職ではなく就社】
 「三丁目の夕日」って映画が人気だけど、あれ見るとみんな喧嘩ばっかりしてるじゃん。お互いバカにしたり、からかったり、怒ったり。そういう映画を見て、若い人でも泣いているって噂だけど、それは、みんなが仲良く暮らして助け合っているからじゃなくて、喧嘩したり、バカにしたりしても、お互いの関係が決裂しない、そういう濃密さに対して泣くんじゃないのかな。
 会社なんてまさにそうでね。喧嘩したり、バカにしたり、だましたり、根回ししたり、腐ってるからね(笑)。(p.168-169)
 仕事以外の雑事に関わりたくないから「好きな仕事に就職」と思っているんだろうけれど、世の中なんて、ここに書かれているようにオゾマシイ面が多々あるわけで、その中でも、何とか共通の目標に即して行動することで会社として全体最適を目指すことが最大の効果を生むのだから、「就職」ではなく「就社」していろいろ経験しながら自分も成長するという考え方には、確かに一理ある。

 

 

【体力の必要性】
 全体の平均値を上げる。底上げするには、軍国主義的な教育の方が効果的なんですよ。ところが今の教育は、もともと成績の良い人をさらに伸ばす仕組みになっている。そう考えると、皮肉なことに軍国主義的な教育の方が平等なんですよ。軍国主義って言って悪けりゃ全体主義。もっと悪いか(笑)。どっちにしても、みんなの力を底上げするんだから。それをしないと体力のない子供はないまま放置される。すると働くのに向かない人間になる。(p.195)
 下流の人々に共通するのは、「意欲が低いこと」。これは先に書き出したけれど、意欲の低さと体力の低さは明らかに比例関係にある。
 軍隊式教育の名残のある時代に育ったことで十分に基礎体力のある大人たちは、「仕事なんて、する気になれば、何でもあるだろう」と思っているらしいけれど、今日の若い世代にとって、「体力を要する仕事は、そもそもからして対象外」なのである。
 昔読んだ本なので、タイトルも著者名も憶えていないのだけれど、「教育の優先順位は、体育・徳育・知育、すなわち身・心・頭の順である」と書かかれていたのを記憶している。体力が低下しているのを実感しつつある今日だからこそ、この順位の重要性はよくわかる。ちょっと重い病気にでもなってヘロヘロになったことがある人は、健康の重要性を重く語るけれど、すべてを支配する意欲に関わっているからこそである。

 

 

【仕事があなたを選ぶ】
 あなたが仕事を選ぶのではなくて、仕事があなたを選ぶという面があると思うんですよ。
 日本を代表する宮大工の西岡常一さんは、私が木を切っているんではなくて、木が私に「ここをこう切れ」と語りかけてくるんだって言ってますね。若い人より「仕事」の方が古くからあるわけだから、「仕事」のほうが「オレはこいつに合うが、あいつには合わない」と分かっているんだよね。それを自分から選ぶなんてずうずうしいんだよね。
 「自己実現」というのも、自分で自分を実現するんじゃなくて、むしろ、天の上からお呼びがかかって、自分を実現させて頂くということなのかもしれない。ここ最近、みんな「自分が、自分が」と言うようになったけど、もっと謙虚に仕事に従うのが本来の働く姿なんですよ。(p.197)
    《参照》   『本当に読んでほしい本150冊』 三浦展&勝間和代 (プレジデント社)
               【本来の「天職」】

 タイトルに「働く」が入っている読書記録

 

 

<了>