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 人生や仕事に関するいろんな人の表現が99引用され、それに著者の見解が付加されてでき上がっている著作である。普通なら切りのいい100とするであろうに、引用数が99なのは何故か? 考えられるのは “満つれば欠ける” の諺に則して重陽で留めたということ。

 

 

【自分のやりたいことをやる?】
№14
自分のやりたいことをやるために起業する、という話をたまに聞く。
あまりぴんとこない。
なぜなら、お客さまは、
自分のやりたいことに対してお金を払うのではなく、
お客さまのやって欲しいことに対して、お金を払うからだ。(中略)
自分のやりたいことと、お客さまのやって欲しいことは、
まず一致しないと考えたほうがいい。
私もやりたいことがあって起業したわけではなく、
やりたいようにやりたくて起業した。(中略)
今、猛烈に仕事が楽しいのは、
お客さまのニーズにさえ合っていれば、
いくらでも自分のやりたいようにできるからだ。  木村志義 (p.44)


 「自分のやりたいこと」 にこだわりすぎないことだ。「すぎない」 とはつまり、社会のニーズがあるかないか、自分が必要とされているかどうかを脇に置いて《自分のやりたいこと ―― やりたくないこと》にこだわってもしょうがないということだ。(p.46)
 やりたいこと、好きなことを伸ばせば、人生はうまく行くという 「長所伸展法」 を浅く理解していると、現実においてすら安易にそのまま考えてしまう。あくまでも “場” という前提があるのである。 “場” とは、市場のニーズであったり職場のニーズである。仕事に関して、市場や職場のニーズを度外視して 「長所伸展法」 をいっても意味がない。それは現実離れした夢想に近い愚かな考え方である。
 自分のやりたいことでなくとも、必要としてくれているならやってみることである。

 

 

【やるから興味ができる】
№18
興味があるからやるというよりは、やるから興味ができる場合がどうも多いようである。
      寺田寅彦 『寺田寅彦随筆集 第1巻』(岩波文庫) (p.54)
            【「好きなことをやりなさい」という大人の不見識】
 10代20代で 「興味のあるものは何ですか?」 なんて聞かれたって、大抵の人はさしたる根拠もなく、テレビで見て印象的だった程度のことで、「○○です」 などと答えているだろう。本当に興味があるかどうかなんて最低でも1年間くらいきちんと継続してみなければ分からないのではないだろうか。
№26 
「まず、はっきりした職業の目標をもちなさい。そうしなければ、やる気は湧いてこないものだよ」
私はこうした考え方を正しいとは思いません。
これを恋愛にたとえるとしたらどうなるでしょう。
「まず未来の配偶者を決めないと、デートを始めることもできない」
といったことになるのではないでしょうか。これはナンセンスです。
 ジョン・クランボルツ 『キャリアガイダンス №11』(リクルート) (p.70)
 10代で将来の目標をはっきり持っていたという人々は確かにいる。小澤征爾や大江健三郎といった人々だ。
   《参照》   『同じ年に生まれて』 小澤征爾・大江健三郎 (中公文庫)
                 【立志の時】

 確かに早い時期から目標が明確であった人は、秀でた人生になるし、自己啓発書のお手本のような成功を手にするだろう。しかし、そう言った人々は、そもそもこの本のタイトルを意識してきたような人々ではないのだろうから、あまり参考にはならないのである。現在の多くの大人達だって、やりたい仕事が明確だったのではなく、選択肢の限られた範囲で 「とにかく働かなければならない」 という時代の意識に支配され、ただただそれに従っていただけなのである。しかも、1980年代までは雇用があった。現在の若者の人生や仕事に関してそうそう偉そうなことを言える分際ではないのである。

 

 

【行動することだ】
№28
内面を見つめるのではなく実際に試すことだ。本当の可能性を見い出すのは行動を通じてである。新しい活動を試し、いままでと違う人に接し、新たな手本となる人を探し出す。 ・・・(中略)・・・ 再出発するには考えるよりまず 「行動」 することだ。
 ハーミニア・イバーラ 『ハーバード流キャリア・チェンジ術』(翔泳社) (p.75)
 神道には 「宝は他から」 という表現がある。人を介して良き縁がもたらされるというような意味である。縁に関するセレンディピティ(偶然幸運に出会う能力)を発揮したくとも、ひきこもっているばかりでは天祐を誘う場ができない。
 偶然の出来事が起きるようなチャンスを増やすことはできる。それにはまず行動することだ。(p.76)

 

 

【意識して幅を広げる】
№53
やりたいことがある程度、具体的に見えているからといて、そこにむかってまっしぐらに進むというのが、必ずしも最善の方法であるとは限らない。それよりもやりたいこととは違う分野で、意識してキャリアの幅を広げておく方が、多くの場合本当にやりたいことについたときにうまくいくのである。(p.127)
 現在は、多様化と複合化が同時に進行している時代なのでこうなるのである。
 例えば、高度成長期の物作りにおいては、少品種多量生産だったのでライン生産に従って人は一部分を担当すれば良かった。しかし、現在は多様化したニーズに合わすべく多品種少量生産になり、莫大なコストのかかる大規模なライン生産は全く適応せず、一人で全てを仕上げるセル生産方式が主流になりつつある。多くをこなせる人の方が優位なのである。また達成感ももてる。
 製品の機能が複合化しているので、企業も連携が深まる方向にあるから、それに携わる人や仲介するコンサルタントなど知見の幅が狭くては勤まるわけはない。
 サッカーなどでも、基本的なポジショニングはあるにせよ、全体的には非常に流動的にシフトする戦術に変わってきつつある。ディフェンスでありながらフォワードもこなせるインテルに移籍した長友選手のような複能型人材が高く評価される時代なのである。

 

 

【自分を変えたいと思ったら】
№76 自分を変えたいと思ったら、思い切って関係のネットワークを切り替えることが必要だ。これまでと違う関係のネットワークの中に置かれると、自分の経験の語り方が違ってくる。語り方が変わると、経験から汲み上げてくるものが変わってくる。それは自己物語に変化が生じたことを意味する。
榎本博明 『〈本当の自分〉のつくり方』(講談社現代新書) (p.165)

 “関係のネットワークを切り替える”に近しいものとして、“環境を変える”という言い方もあるけれど、人間と環境に関わる引用をリンク。

   《参照》  『組織はこうして変わった』 髙塚猛・北川正恭 致知出版社

           【「人間の行動はパーソナリティーと環境の掛け算だ」】

   《参照》  『繁栄のシナリオ』 亀井静香・濤川榮太 中経出版

           【環境を改善するのは技術だけではない : 濤川】

 

 

【《所有思考》と《存在思考》を満たしてくれるような仕組み】
 すべての職業の中に、《所有思考》と《存在思考》を満たしてくれるような仕組みをつくる。これは、経営者と従業員の共同作業になる。(p.223)
 《所有思考》とは、物の豊かさを追い求める欲求であり、《存在思考》とは、心の豊かさを求める欲求。
 上記の書き出しは、大そうな理想論であり、殆ど空想論だろう。
 非常に業績の良い企業ならばそれも可能かもしれない。しかし、大方の企業は、市場のニーズに合わせた労働を社員に強いるだけである。企業が社員の人生を請け負うことは、もはや期待できないのである。企業に代わって社会が全ての人々の人生を請け負うシステムに移行してゆかなければならないのである。もう正規雇用は決して増えないという現実を直視しないから馬鹿馬鹿しい理想論を語ったり、ビホウ策的な政策ばかり実施する。
 自分さえ安定していれば、社会の中に困窮している人がどれほどいようと、一切、親身に考えることなどなく、たいそう閑な職場で怠惰に過ごしているだけで、社会貢献する意志のない県庁内の地方行政公務員たちが、社会の現実に対して公僕としての役割を真剣にはたすことを義務感として捉えられないものかと、いつも思っている。
   《参照》   『水素革命近未来! 教育における革命』 高橋誠一郎 (あ・うん)
              【社会公益に奉仕する第三部門】


 仕事に関する考え方の引用

   《参照》   『人を敵にまわすか味方にするか』 小山政彦 大和出版
             【3年間の集中があなたを天才にする】
   《参照》   『悟りは3秒あればいい』 小林正観 大和書房
             【第3の生き方】

 

<了>