
日本を理解するには比較する対象(外からの視点)が必要である。故に韓国出身の呉善花さんの著作は、我々日本人にとって客観的な日本理解を促進してくれるだけでなく、呉善花さん自身の深い日本文化理解に感嘆することが少なからずあるはずである。久しぶりに呉善花さんの著作を読んでみた。
【世界とは違う日本人そして天皇】
書き出しは、東日本大震災に見舞われながら、その秩序立った行動に世界中が驚いたという記述から始まっているけれど、日本の若者達が大震災を契機に日本文化に目を転ずるようになっているなら、被災者の皆さんには辛いことだろうけれど、日本にとっては長期的に見て結果オーライなのかもしれない。
【天皇皇后両陛下の姿】
書き出しは、東日本大震災に見舞われながら、その秩序立った行動に世界中が驚いたという記述から始まっているけれど、日本の若者達が大震災を契機に日本文化に目を転ずるようになっているなら、被災者の皆さんには辛いことだろうけれど、日本にとっては長期的に見て結果オーライなのかもしれない。
「日本人って、なんですか?」 という問いの先には、必ず天皇という存在が出てくるのだけれど、天皇皇后両陛下の姿だけを見ても、世界中の権力者たちとは全く一線を画しているのである。
《参照》 『地球大維新』 中丸薫 (KKベストセラーズ)【天皇皇后両陛下の姿】
竹田 呉さんが先ほどおっしゃった、天皇は国父というよりも国母のような存在だというのは、本当に鋭く観察しておいでで非常に分かりやすいですね。それでは天皇は権力もないのになぜ人々から慕われるのだろうかと考えた時に、以前皇后陛下が皇室というのは祈る存在だったとおっしゃったことを想い出します。天皇にはいろいろなお役割がありますが、そのなかでもとくに重要なのは国民の幸せをお祈りになることなんですね。この祈りは古代からすっと続けられていますが、現代でも天皇陛下は毎朝必ず国民の幸せをお祈りになってらっしゃいます。 ・・・(中略)・・・ 。
呉 天皇はそのようにして神様と人間の中に立つ方なんですね。(p.124-125)
呉 天皇はそのようにして神様と人間の中に立つ方なんですね。(p.124-125)
【日本では、神様の威力も人間次第】
「神は人の敬によりて威を増し、人は神の徳によりて運を添う」
と日本人は考えている。 《参照》 箱根の写真
この考え方に通ずるのが、神道の世界観 “天壌無窮” である。
神様だって人間と同じである。
竹田 日本では神様の力を強くするのも人間ですし、弱くするのも人間なんです。たくさんの人がお参りに行くと神様もパワーを高めます。(p.65)
箱根神社の境内にある、鎌倉幕府が定めた「貞永式目 第1条」の文言にある通り、「神は人の敬によりて威を増し、人は神の徳によりて運を添う」
と日本人は考えている。 《参照》 箱根の写真
この考え方に通ずるのが、神道の世界観 “天壌無窮” である。
《参照》 日本文化講座 ③ 【 宗教文化 】
【キリスト教と仏教と神道の世界観】
人間だって、誰にも尊敬されず無視され続けていたら力を発揮する気などなくなってしまう。神様だって人間と同じである。
【日本文化を育んだ平和という基盤】
文化比較の基本というか基盤である。
竹田 日本は平和だったから、マニアックな人も多いんですね。家族代々焼き物をつくって何百年とか、お茶を点てて何百年とか。そもそも、お茶を点てて食べていける国なんて他にないですよね(笑)。
呉 朝鮮半島にも中国にも、そうした職や技芸で身を立てることは賤しい者がすることで、より高い徳を目指すべき大人(だいじん)がすることではないという考え方が伝統的にありましたね。大の男の最高の甲斐性といえば、とにかく政治です。とくに朝鮮半島では、国を動かす政治家こそ一番尊敬に値するとされてきました。強烈なリーダーシップを必要とした歴史が、そういう政治第一の価値観を生んでいったと思います。李氏朝鮮王朝では、絵描きとか、ものづくりの職人たちとか、お坊さんとか、いずれも最も低い身分におかれていました。
竹田 日本では逆に、そういう人たちは、むしら位が高くて尊敬されます。商人出身の千利休が、あれほど尊敬される立場にもなるわけです。(p.88-89)
韓国においては、ものづくりの職人が尊敬されないのだから、日本のような高度な技術力など生じるはずはないのである。サムスンがどんなに派手に世界展開していても、その製品のコアとなる部品の多くはいまだに日本製である。文化はそう簡単に変容しない。島国の日本人は長期にわたる平和が当たり前にあったから、安心して一つのことに打ち込むことができた。呉 朝鮮半島にも中国にも、そうした職や技芸で身を立てることは賤しい者がすることで、より高い徳を目指すべき大人(だいじん)がすることではないという考え方が伝統的にありましたね。大の男の最高の甲斐性といえば、とにかく政治です。とくに朝鮮半島では、国を動かす政治家こそ一番尊敬に値するとされてきました。強烈なリーダーシップを必要とした歴史が、そういう政治第一の価値観を生んでいったと思います。李氏朝鮮王朝では、絵描きとか、ものづくりの職人たちとか、お坊さんとか、いずれも最も低い身分におかれていました。
竹田 日本では逆に、そういう人たちは、むしら位が高くて尊敬されます。商人出身の千利休が、あれほど尊敬される立場にもなるわけです。(p.88-89)
文化比較の基本というか基盤である。
【文化格差が当たり前だった諸外国】
《参照》 『 「明治」 という国家 (上) 』 司馬遼太郎 日本放送出版協会
【『海游録』(平凡社・東洋文庫・姜在彦訳)という本がある】
呉 李氏朝鮮王朝では、文化は政治を執り行う一握りの官僚が独占していて、国民には質素・倹約が強いられました。庶民には、食べていくために必要な手だて以外に余計なものはいらないという考えかたです。余計なものというのは文化的なものですね。(p.91)
日本では、奈良時代・平安時代に編纂された様々な歌集でも、庶民と天皇は同等に扱われていたのだし、江戸時代にいたっては、庶民が愛好した文化に関する文献など、それこそ限がないほど残っているけれど、諸外国には庶民が関与している文化的文献が本当に少ないのである。《参照》 『 「明治」 という国家 (上) 』 司馬遼太郎 日本放送出版協会
【『海游録』(平凡社・東洋文庫・姜在彦訳)という本がある】
【日本と中国・韓国の儒教は違う】
これも基本的なことだけれど、文化比較の初心者は必ず引っかかってしまうところなので、あえて書き出しておいた。
《参照》 『驕れる中国 悪夢の履歴書』 黄文雄 (福昌堂) 《中編》
【中国の儒教文化】
《参照》 『歴史から消された日本人の美徳』 黄文雄 青春出版社
【日本と中国の道理の違い】
【歴史学者、津田左右吉の慧眼】 ~
《参照》 日韓文化比較
これも基本的なことだけれど、文化比較の初心者は必ず引っかかってしまうところなので、あえて書き出しておいた。
竹田 礼儀の正しさとか、敬語をきちんと使い分けることとか、日本人は韓国人から学ぶことがたくさんあると思います。
呉 韓国人の美点というと、多くの方がそのへんのことをいわれます。たしかに韓国人は、祖父母や父母や目上への礼、尊敬語の使い方などでは、日本人よりもきちんとしていると思います。でもそれは礼の形式なのであって、必ずしもそれがそのまま内面の心の内容かどうかは別問題です。 ・・・(中略)・・・ 。儒教社会では礼の形式がそのまま制度なんです、つまり礼は、幼長の序、地位の上下、身分の上下をはっきりさせ、整然とした社会秩序を形づくっていくためにあるものです。そもそも儒教の礼の目的はそこにあるんです。(p.93)
呉 日本人のように下の者にまで、上下を問わず礼儀正しさを示すことはありません。
竹田 それでは、目下に対しては礼を尽くさないということも起きてくるんですか。
呉 そのとおりです。目上の者は目下の者に対して、へりくだった態度を見せてはいけません。常に堂々として尊大な態度をとるのが良いことなんです。そうでなくては、上下の関係が乱れてしまうからです。儒教のいう幼長の序とはそういうことです。(p.96)
以下のリンク全部を辿れば、日本と中国・韓国の儒教の違いがよく分かるでしょう。呉 韓国人の美点というと、多くの方がそのへんのことをいわれます。たしかに韓国人は、祖父母や父母や目上への礼、尊敬語の使い方などでは、日本人よりもきちんとしていると思います。でもそれは礼の形式なのであって、必ずしもそれがそのまま内面の心の内容かどうかは別問題です。 ・・・(中略)・・・ 。儒教社会では礼の形式がそのまま制度なんです、つまり礼は、幼長の序、地位の上下、身分の上下をはっきりさせ、整然とした社会秩序を形づくっていくためにあるものです。そもそも儒教の礼の目的はそこにあるんです。(p.93)
呉 日本人のように下の者にまで、上下を問わず礼儀正しさを示すことはありません。
竹田 それでは、目下に対しては礼を尽くさないということも起きてくるんですか。
呉 そのとおりです。目上の者は目下の者に対して、へりくだった態度を見せてはいけません。常に堂々として尊大な態度をとるのが良いことなんです。そうでなくては、上下の関係が乱れてしまうからです。儒教のいう幼長の序とはそういうことです。(p.96)
《参照》 『驕れる中国 悪夢の履歴書』 黄文雄 (福昌堂) 《中編》
【中国の儒教文化】
《参照》 『歴史から消された日本人の美徳』 黄文雄 青春出版社
【日本と中国の道理の違い】
【歴史学者、津田左右吉の慧眼】 ~
《参照》 日韓文化比較
● 違いの原因は? → “安全保障”
《参照》 『声に出して活かしたい論語70』 三戸岡道夫 (栄光出版)
【君、臣を使うに礼を以てし、臣、君に事うるに忠を以てす】
《参照》 『みんなのためのルールブック』 ロン・クラーク (草思社)
【ルール32】
呉善花さんは、日本文化に関与する儒教を含む外来思想に関して、これ以上ない完璧な説明をしている。
《参照》 『声に出して活かしたい論語70』 三戸岡道夫 (栄光出版)
【君、臣を使うに礼を以てし、臣、君に事うるに忠を以てす】
《参照》 『みんなのためのルールブック』 ロン・クラーク (草思社)
【ルール32】
呉善花さんは、日本文化に関与する儒教を含む外来思想に関して、これ以上ない完璧な説明をしている。
日本は儒教の影響を強く受けてきたといわれますが、これについても誤解がかなりあると思います。日本は独自のイデオロギー体系を持っていませんから、儒教など外来の思想を用いて、必要に応じて自分たちのものの考え方や思想を説明してきました。神道書や武士道書に、儒教・道教・仏教の言葉や概念が多数登場しているのもそのためです。ですから、儒教の影響を受けて神道や武士道が完成したのではありません。儒教の言葉や概念を用いて神道や武士道を説明したんです。そうやって、神道や武士道にしっかりした裏打ちをほどこしていったわけです。影響というなら、そういう意味での影響が中心だったといえるのではないでしょうか。(p.97)
【北朝鮮の主体思想の根底】
《参照》 『犬婿入り』 多和田葉子 講談社
【留学生がこんな見解では・・・】
【日本人の特徴はすべて「神道」に帰着する】
呉 北朝鮮の金日成の思想、主体思想といいますが、この実体は儒教です。マルクス主義的に色づけした朱子学なんです。例の大韓航空機事件の首謀者、金賢姫が韓国に来てキリスト教に入信しましたが、その時に彼女は、キリスト教は北朝鮮の主体思想とよく似ているので受け入れやすかったと語っています。
儒教は中国に古くからあった天帝思想と強く結びついています。天帝というのは世界の普遍的な原理を意味しますが、それは唯一の天なる父とされ、中国の皇帝や朝鮮の国王は、天帝の息子の資格を得て地上の支配者としての国王たりうるわけです。(p.104)
下記リンク個所に、「恨の文化」と「キリスト教」の親和性を書いておいたけれど、儒教が天帝思想に結びついているなら、鮮明に一神教的色彩を帯びるが故に、階級社会においては “さらに上を行く唯一の支配者” という脚色は何であれ有効なのである。儒教は中国に古くからあった天帝思想と強く結びついています。天帝というのは世界の普遍的な原理を意味しますが、それは唯一の天なる父とされ、中国の皇帝や朝鮮の国王は、天帝の息子の資格を得て地上の支配者としての国王たりうるわけです。(p.104)
《参照》 『犬婿入り』 多和田葉子 講談社
【留学生がこんな見解では・・・】
【日本人の特徴はすべて「神道」に帰着する】
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