イメージ 1

 高校で英語を教えている先生が、1年間のイギリス研修で体験したことを月々書いて送っていたエッセイが好評でこの本になったのだという。2000年10月初版。

 

 

【イギリス人の主食】
 ちなみにイギリス人の主食は? と尋ねたところ、答えは何だと思いますか。パンじゃありません。「チップス」 という答えが一番多かったです。(p.31)
 マクドナルドで出てくるアレである。
 フィッシュ&チップスという典型的な英国料理があるけれど、ひとつのデッカイお皿に盛られた、これまたデッカイ鱈の白身とテンコ盛りのチップスは、今思い出してもおかしくて笑ってしまう。一人前のはずなのに、とにかく凄い量だったのである。
   《参照》   『キンキーブーツ』 イギリス映画
            【ノーサンプトンとソーホー】

 ついでに、学校で生徒たちに、もうひとつ質問した。
 「人生で一番大切なものは?」 と尋ねると、いくつものクラスで、実に多くの生徒が 「family」 と即答したのにはなにかしら感動を覚えました。(p.31)

 

 

ウェールズの誇り : ドラゴンの霊験】
 ウェールズの旗をご存知ですか。緑と白の地の上に、鮮やかな真紅のドラゴンが描かれているのです。(p.33)
 ウェールズでその旗のイメージのままのTシャツを買って着ていたら、何回も面白いことが起こった。そのうちのひとつ、ウェールズ国立博物館に家族で入ろうとしたところ、
 受付にいたちょっといかめしい感じだったおじさん二人がにこにこ顔で、「おまえさん、いいシャツ着てるね。気にいった。家族みんな、ただでいいよ」 と言ってくれるのです。(p.33)
 四角四面で融通のきかない公務員が管理する日本の博物館なら、こんな粋な計らいなど絶対にありえないだろう。しかし、通称イギリスといわれる国は、イングランドウェールズスコットランド北アイルランド からなる連合国だから、いまだに民族の誇りが強く残っている。だからこんな僥倖に巡り合える。

 

 

スコットランドの英雄を描いた映画 : 「ブレイブ・ハート」 】
 初めて 「ブレイブ・ハート」 なる映画を観ました。メル・ギブソン演じる主役の、スコットランドの伝説的英雄ウイリアム・ウォレスの一生を描いたものです。 ・・・(中略)・・・ この映画は、スコットランド側で描かれているわけですが、歴史の多層性というか、多面性を考えるには面白い材料だと思います。あるイングランドの批評家は、暴力シーンなどを理由に酷評したそうですが、アメリカなどでは大ヒットしたとTVのガイドには書いてありました。(p.81-82)
 自国で酷評、アメリカで好評となるには訳がある。スコットランド人の中には、「イングランドに従属するより、新大陸へ渡るほうがマシ」 と考えてアメリカに植民した人々が大勢いたのである。

 

 

アイルランドの独立心】
 このような事情は、アイルランド人にとってもまったく同様なのである。
   《参照》   『図書館のある都市への旅』 堀田穣 (鹿砦社)
             【アイルランドの守護聖人】

 近年までアイルランドとイングランドの国内武力衝突が続いてきたけれど、IRA(Irish Republican Army)に軍事資金を供給してきたのも、アメリカへ渡ったアイルランド人である。
   《参照》   『さらばアメリカ』 大前研一 (小学館) 《後編》
             【IRAをバックアップしていたアメリカ】

 サーッカーのワールドカップでは、今日でもイギリス代表というのは存在せず、イングランド代表とアイルランド代表が別々に参加している。

 

 

【イギリスの食事】
 日本の皆様、あなたの食生活はきっと恵まれていますよ。よくよくその幸せをかみしめてくださいね。(p.50)
 1年間もイギリスで生活していたら、このような表現が心の底から出て来ることだろう。1週間程度の短期旅行者であっても、きっと後半には 「インスタント食品でもいいから日本から持ってくればよかった」 と思うのである。それほどイギリスの食事は美味しい!
   《参照》   『食がわかれば世界経済がわかる』 榊原英資 (文芸春秋) 《後編》
              【イギリスの食】

 

 

【「日本式英語」の基準があっていい】
 イギリス各地でなまりの強い英語を経験し、世界各地の特徴ある英語のことを語った後、
 それに何のひけめも感じずに堂々と自分を主張している。
 これからの日本の英語教育に必要なのは、この精神的態度を養うことだと思うのです。発音はいいにこしたことはないかもしれないけれども、発音だけよくて、話す中身がないのは最低です。綺麗な発音にあこがれて自分や母国に劣等感を持ったりするのは大問題です。 L と R の音など、コミュニケーションに誤解のないような基準をクリアすれば、あとは臆せず自分の言いたいことを主張できるような 「日本式英語」 の基準があっていいと思うのです。(p.61)
   《参照》   『即戦力の磨き方』 大前研一 (PHP新書)
              【語学力(英語力)】

 英語を教えている著者のような40代以上の方々がやっと到達した見解を、若者世代は当然のことのように実行しだすことだろう。つい昨日、女子ワールドカップ・サッカーで、「なでしこジャパン」 は世界一になったことだし、近年の日本の若者達には、世界に対する “コンプレックス” もその裏返しである “妙な優越感” も殆どないはずである。
 大人たちの杞憂をよそに、地道に話す中身を蓄えつつある素直で冴えた日本の若者たちが、日本を背負って堂々と世界へ出て行くはずである。

 

 

【本場の英語表現】
 4頁に渡って書かれている中の一部。
Blah-blah-blah : 「などなど」 ドロシー先生が講義中よく使った。
Cheers : 「乾杯!」 というよりは、「ドウモ!」。通路で後から来る人のためにドアをもってあげたり、
      せまい階段の下で降りて来るのを待ってあげると、すかざずこれがくる。
Lovely : きわめてイギリス的で超よく使う表現。・・(中略)・・すいぶん。ほっとする言葉です。「いいわよ」
Ta. : Thank you. の幼児語だが、丁寧ではないので使うなとアドバイスされた。
     バスを降りる時、お客がよく使っていた。
Ta-ra. : あまり丁寧ではない別れの表現。
      視聴者のビデオ番組の人気司会者が番組の終わりに使っていた。
      「じゃあね」。 (p.98-101)

 

 

  《同系統の読書記録》

 

 

<了>