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 1927年生まれで、51年の初留学以来、日米両国で生活してきた著者の体験記。1970年以降はアメリカ在住らしい。戦前戦中の日本や、戦後間もない頃の日米の様子に期待したけれど、それほど印象的な記述はなかった。2006年3月初版。

 

 

【ゴムボールの値段】
 この(ゴム)ボールは、初めのうち9銭だったのだが、のちに10銭に値上がりしたように思う。(p.40)
 子供の頃とあるだけだけれど、1935年頃のことなのだろう。バットもグローブも高価なものだったから、ゴムボールを手で打って野球をしていたと書かれている。

 

 

【ベルリン・オリンピック】
 1936年に行われたベルリン・オリンピック。
 棒高跳びでは、西田、大江が頑張って、2位、3位となり、三段跳びでは、田島選手が優勝したのである。 (p.49)
 へぇ~~~。日本人選手の使っていた竹の棒が優れていたと書かれている。
 三段跳びで優勝なんて、うっそ~~~という感じ。戦前の日本は、陸上も競泳も強かったらしい。
    《参照》   『ほめ言葉大辞典』 清水義範  白泉社
             【拡展ほめ】
 マラソンでも活躍し、孫選手が優勝し、南選手が3位になったのだが、彼らは朝鮮半島の出身であった。 ・・・(中略)・・・ ユニフォームの胸に日の丸をつけて走らねばならなかった彼らが、いかに残念であったかは、想像に余りがある。(p.49)
 ソウルオリンピックの時、聖火ランナーをしていたから孫選手のことは知っていたけれど、3位の南選手というのは知らなかった。

 

 

【ガリオア奨学金】
 全額給与で一年間アメリカ留学させてくれる、ガリオア奨学金 (GARIOA というのは、Government Aid for Relief in Occupied Areas つまりフルブライト奨学金の前身で、敗戦国日本とドイツのために設けられた奨学金制度) の第一回留学生公募が発表されたのだ。 ・・・(中略)・・・ 数千人の受験生のうち、三百人足らずが合格した。それにパスした時の興奮は忘れ難い。(p.120-121)
 300人というのは凄い。
 第1回の米国費留学生たちは、終戦から5年後の1950年7月に、船ではなくチャーター便の飛行機で出発したと書かれている。当時はプロペラ機だったので、目的地のサンフランシスコに到着するまでに、アリューシャン列島の shemya という島、アンカレッジ、シアトルと途中3回燃料補給したらしい。
 ホテルでは、栓を捻るだけでお湯が出てくることに大興奮したと書かれている。
 オリエンテーションが終わって、著者に割り当てられたのは、ニューヨーク市から電車で6,7時間のロチェスター大学だった。イーストマン・コダックやゼロックスで有名な都市。

 

 

【当時の日本料理店】
 私が初めて米国留学した1950~51年は、アメリカ人が日本料理に関心を持ち始める前だったので、ニューヨーク市にさえ、日本料理店が乏しかった。数が少なかったので、店の名前も覚えているが、たしか、ミヤコ、スエヒロ、チドリの3軒だったと思う。(p.187)

 

 

【近年のアメリカの食文化】
 ファーストフード・チェーンの増加は著しく、サービスのために食べ物の量を増やすので、肥満症への貢献度も目立ち始め、今や社会問題になりつつある。(p.207)
 安くて量をたくさん出せるということは、いかに安価な原料でできているかということである。ジャンク・フードと言われる所以なのだけれど、人は必須微量栄養素が足りていれば、それほど多くの量を必要としない。多食文化とは微量栄養素欠乏文化のことである。
 格差社会になると、底辺側ほど偏った栄養素の食品で栄養を補おうとするから多食になり肥満になる。ヘルシーな日本食ブームを支えているのは経済的に余裕のある中流以上の人々である。
 それにしても、アメリカも中国も、量の多さには唖然とする。日本人の大人からすると、アメリカの空港で売られているサンドイッチの大きさを見て “アホみたいな量” に思えるものである。
   《参照》   『食がわかれば世界経済がわかる』 榊原英資 (文芸春秋) 《後編》
              【グルマンなフランス】

 

 

【 swearing 汚い言葉】
 過去数十年のアメリカを見てきた私には、アメリカ英語も変わってきたように感じられる。まず第一に、 swearing が増えてきてしまった。昔は、男子学生には使う者もいたが、女子学生には殆どいなかったと思う。現在では、女性でも使う人が増えていることは、間違いない気がする。(p.219)
 日本もアメリカも全く同じであろう。若い女性の書く小説の中に怖ろしく羞恥心の欠如した表現を見つけて腹立たしく思う昨今である。
   《参照》   『幻をなぐる』 瀬戸良枝 (集英社)
 テロ事件のせいで、アメリカ人の不安感が強まってきたからか、他人に対する態度も、以前より冷たくなってきたように思える。(p.222)
 今日の日本では、大人ですら挨拶のできない人間が増えている。底辺に不信を孕んで、社会が砂漠化している点も共通である。
 

<了>