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 全体的には、メジャーリーグのビジネスとしての運営方法が記述されているのであって、タイトルに即した記述とはいえない。 『メジャーリーグ・ビジネス大研究』 を補完する記述が多い。

 

 

【ベースボールと野球の間に横たわる大きな金銭的な格差】
 2007年度のデータでは、
 (日本の選手の)平均年俸は3553万円。
 一方、MBL選手の平均年俸は294万4556ドル。1ドル120円で換算すると3億5334万6720円となり、日米球界の平均年俸の差は約10倍となる。(p.63)
 現役時の年俸差も大きいけれど、引退時の年金にかかわる違いも大きい。
 1・2軍を問わず年金受給資格を与えられる日本と異なり、MLBで 「手厚い年金」 の恩恵に浴することができるのは、あくまでMLBに在籍した選手のみ。たとえ3AのMVP選手でも、MLBに昇格した実績がなければ制度の枠外だ。
 競争が激しく頂点を目指す道のりは厳しいが、はれてMLBの一員となった選手には、年俸や待遇の面でも厚遇される。もし1年だけでもMLB枠に登録されれば、日本で10年間掛け金を納める以上の年金を受け取れる。
 老後のことを考えた選手が 「年金が心配なのでMLBに挑戦します」 と海を渡ると主張しても、誰もとがめることはできないだろう。(p.65-66)
 なるほど・・・・ならそうでしょう。

 

 

【PLM】
 実力では優位に立ちながらも、人気、収益などの面で劣っているパシフィック・リーグが2007年5月に共同出資の新会社 「パシフィックリーグマーケティング (PLM) 」 を設立したのは朗報として挙げられる。(p.91)
 福岡ソフトバンクの観客動員数の大幅改善の実例などが、野球界全体のビジネス感覚を改善させたのだろう。
    《参照》   『組織はこうして変わった』 髙塚猛・北川正恭 (致知出版社)
               【野球をお祭りに・・・の目的】 等々

 

 

【先発投手か長打力打者】
 「MLBで高年俸を手にしたければ、先発投手になるか、長打力を磨くのが早道だ」 (p.102)
 イチローが前人未到の世界記録を達成しても、打率はそれほど年俸評価を押し上げない。イチローより高額の年俸を得ている長距離ヒッターは何人もいる。レッドソックスの岡島がどんなにセーブで好成績を上げ、松坂がどんなに無様な成績であっても、年俸額がひっくり返ることはないのだろう。

 

 

【投資対象としての球団経営】
 大企業や富豪たちは、なぜMLB球団を保有するのか。
 一昔前であれば、「オーナーになることで功なし名を遂げた証を手にし、社会的な地位と信用を確立するため」 という回答が正解だっただろう。
 だが、今の答えは 「名誉と信用のため」 から 「投資のため」 へと変化している。(p.110)
 一人の選手に何百億という契約金を支払っても、利益があるからオーナーの成り手はあるのである。
 地域活性化のために球団は必要であるという認識から、球場建設には公的資金が投入されている。このような認識の元、リスクは回避しつつ上手に上前を撥ねるのがオーナーの手腕というもの。これがビジネスであると言ってしまうと身も蓋もないけれど・・・。

 

 

【企業保有の球団】
 アトランタ・ブレーブス(リバティ・メディア)、シカゴ・カブス(トリビューン・コーポレーション)、ヤンキース(ヤンキー・グローバル・エンタープライズ)、シアトル・マリナーズ(任天堂)、トロント・ブルージェイズ(ロジャース・コミュニケーションズ)の5つだ。そして残り25球団のうち、個人所有が9球団であり、複数の企業、個人が資金を出し合う共同所有が16球団となっている。 (p.110)
 アメリカの若者達がスーパーマリオで大いに遊んでくれたから、任天堂は球団経営ができるほどに財力を蓄えることができたのである。       

 

 

【イチローがシアトル・マリナーズに残留した訳】
 「総額1億ドル以上でも出す球団はあった」 という米メディアの声もあったが、イチローは好条件を提示したかもしれない球団へ移籍せず、今後もマリナーズの一員でいることを 「名誉なこと」 とした。彼の 「球団への愛情」 は、日本人選手のチームへの忠誠心をMLB関係者に印象づける格好の例となった。(p.30)
 「名誉なこと」 「球団への愛情」 という表現がでてきたその訳は何なのだろう。単なるチームへの忠誠心というだけではなく、その忠誠心を惹起する原因は何なのか?
 シアトルに本拠地を置いている日系企業は多い。それは、飛行機が飛び交うようになる前の時代、まだ船で外国に行くしかないような時代、日本から出港した人々は皆シアトル港からアメリカに入っていった。故に、シアトルは日系人の占める人口比が高く、今日でもシアトルを本拠地としている企業が少なくない。
            【シアトル】
 古い時代に日本から海外に出ていった人々は、現代の日本の若者たちなど比較にならないほど “日本人としての誇り” を熱く強く胸に抱いている。イチローがシアトルで働いている日本の企業人の心に触れる機会などいくらでもあったであろう。時代が変わって最先端のビジネスで成功している任天堂であっても、シアトルにはシアトル特有の日本人魂が色濃く残っているはず。
 自らの体調管理のためにWBC出場を辞退した松井など比較にならないほど、イチローには “日本人としての誇り“ がある。圧倒的にある。神意に叶う人か否かは、その成績からも一目瞭然。
 シアトルは、日本人を始めとする東洋人のアメリカへの玄関口であったけれど、不思議なことにアメリカを善転させる神霊域までもがそこにはあるのだという。
 
<了>