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 メジャーリーグは完全にショー・ビジネスだと思っているので、その証拠がどれほどあるだろうかと探してみたけれどなかった。何かしら意外な掘り出し物があるかも?という期待も無駄だった。


【新聞・雑誌の受け売り程度の内容】
 最近は、MBLに関する知識がそれほどあるとは思えない野球評論家やジャーナリストがメジャーリーグを語るようになった。もちろん、中にはよく勉強している方もいるが、大半は、新聞・雑誌の受け売り程度の内容である。 (p.204)
 私自身、この書籍は、「新聞・雑誌の受け売り程度の内容」 に僅かばかりの補足がある程度で、とても大研究といえるような代物ではないじゃないか、と思いつつ読んでいたから、最後の 「あとがき」 の中にこう書いてあったので白けてしまった。
 著者はNHKのアナウンサー出身だからなのだろう。ビジネスを語る視点というよりは、やはり報道的視点での延長程度の内容に思えてしかたがなかった。メジャーリーグの経営に興味があるのでもない私がこんなことを書くのは生意気だと、著者に言われるだろうけれど・・・。

 

 

【メディアによる球団所有】
 いまや、アメリカでは主要メディアによる球団所有は当たり前である。
 たとえば、タイムワーナー社(テッド・ターナー所有)はアトランタ・ブレーブスを所有し、昨年まで長谷川滋利選手が所有していたアナハイム・エンゼルスはあのディズニーがオーナーである。FOXグループはロサンゼルス・ドジャースを所有している(登記はニューズコープ)。 (p.25)
 「アメリカでは主要メディアによる球団所有は当たり前である」 と書いてありながら、その例が3つしか記述されていないのだから、これでは 『ビジネス大研究』 にはならない。
 球団所有者が有する企業の系列の中から見えてくるものがあるであろうに、そういった研究はなされていない。つまり球団経営の個性がレリーフされていない。メディアの政治的論調やら過去の企業実績やらと、球団に帰属する選手の国籍を辿るだけでも、地域特性を含む有意な傾向は見い出されるはずである。

 

 

【ブラックアウト】
 停電のことではない。フランチャイズ球団がホームでゲームをする場合は、球場に足を運んでもらうためにテレビ放映はしないことを意味している。ロサンゼルス・ドジャースのオーナーだったピーター・オマリーの方針で、ドジャース球場はいつも満員だった。
 しかし、日本でブラックアウトを実施した所沢・西武では、からっきし効果がなかったのだという。
 西部のフランチャイズは30~40万人の中小都市所沢市に過ぎない。周辺都市を含めても、せいぜい100万人足らずである。
 それに対して、ロサンゼルスはシティだけで300万人である。サンフランシスコ近郊も含めれば、500~600万である。片や30万、片や500万。いくらブラックアウトを狙うにしても、母数の違いを計算に入れなければ目論見どおりにはならないだろう。 (p.57)
 この母数の対比はおかしい。シティ人口として対応するなら30万に対して300万であり、近郊を含めるなら100万に対して500万である。母数対比が正規の5~10倍であるとしても、おそらく本当の理由は商圏規模以外のところにあるのではないだろうか。
 そもそも、球場の規模とブラックアウト時の西武戦の入りが何%なのか書いてないから比較できない。研究としては杜撰すぎる。

 

 

【ブッシュ大統領もオーナーだった】
 テキザン・ブッシュ家の現大統領もテキサス・レンジャーズの売買でぼろ儲けしていた。
 (購入から)ちょうど10年後(1999年)に、彼はレンジャーズを売却するのだが、投資家グループの一人であったブッシュ・ジュニアはどのくらい投資リターンを得たのだろうか。
 ブッシュ・ジュニア個人の投資額はわずか62万ドル、それに対して売却益たるや1429万ドルといわれている。なんと23倍増である。 (p82)
 95年の球場新設で、資産価値が急騰したのだという。新球場建設は現代の錬金術という側面が濃厚である。
 メジャー・リーグは 「フィールド・オブ・ドリームス」 の世界だけではない。マネーゲームの対象にもなっている。良くも悪しくも、これがアメリカなのである。  (p84)
 

【日本人はメジャーリーグのオーナーになれるか?】
 日本人はメジャーリーグを、買えるけれどオーナーにはなれない。
 マリナーズにしても、実質的なオーナーは日本企業の任天堂だが、登記上のオーナーはアメリカ人にせざるを得ないのである。(p84)

 

 

【環境に合わせて人材を採用する。人材に合わせて環境をつくる】
 メジャーリーグの球場には、アンシンメトリーな球場がいくつもある。そこで左右の利き腕や守備能力を考慮して選手を採用している。こういったことはビジネスとしては当然である。
 グランドキーパーに聞けば、イチローの能力をフルに引き出すために、一塁ベース付近は土を堅くして盗塁がしやすいようにしているし、ボールが止まって内野安打になりやすいように内野の芝は普通以上に伸ばしているのである。
 逆に外野の芝は普通は3.5ミリだが、2.8ミリまでカットしてある。 (p.144)
 内野の芝はイチローの内野安打のため。外野の芝もイチローの守備能力を引き出すためである。
 スター選手の能力を最大限に活かすためにグランドキーパーも協力する。スター不在だと経営が悪化するからである。
 マグワイヤとソーサ(だっけ?)が二人して大リーグ記録を更新したことがあるけれど、アンパイヤーのプロテクターには、飛ぶボールと飛ばないボールの2種類が仕分けされて入っているに違いないと思っている。ショー・ビジネスのメジャーリーグなのだから、そのくらいのことをしてないと考える方が不自然である。
 
<了>