
下巻には、日米間の過去の政治経済状況とアメリカの最近の経済状況から、日本経済の行方が語られている。
【戦争の時代が日本を繁栄させる】
朝鮮戦争、ベトナム戦争、米ソの冷戦終結までの期間と、日本が成長を続けてきた期間は重なり、その後、平和の時代になって日本経済の停滞が続いている。結果的に、平和憲法を持つ日本は、戦争の時代に繁栄してきたといえる。
自国に富を持たないアメリカは、世界中から資金を集めるために、ITバブル、住宅バブルを演出してきたが、既に方策が尽きて、戦争経済の時代に向かおうとしている。故に日本はこれから大いに繁栄するであろう。という論旨である。
中東でドンパチが始まってから、日本企業の決算は上方修正が多いことは事実ではある。
【決して「小泉改革」が景気回復をもたらすわけではない】
中東の戦争で、日本は漁夫の利を得て景気が回復してゆくことに変わりはない。小泉首相の「構造改革なくして景気回復なし」という政策は、まったく無関係であることを理解しておいて欲しい。(p.190)
【2001年アフガニスタン侵攻】
アメリカは、カスピ海の東側に位置するトルクメニスタンで産出された石油をパキスタンのカラチ港に搬出するパイプラインを敷設する計画を進めていた。しかし、タリバンが難色を示したため、戦争と言う実力行使にでたのである。ちなみにタリバン排除後にアフガニスタンの大統領になったカイザルは、パイプライン建設を進めていた、アメリカ企業・ユノカルの顧問だった。 (p.100)
【日本の資金もターゲットである】
日本に滞留する830兆円の資金は、世界経済にとってはドデカい癌ともいえるものであり、「出さないのなら奪うだけだ」と考えて実行するのがアメリカという国の本質である。 (p.54)
北朝鮮やロシアが絡んで日本との間に摩擦が生じている背後には、必ずやアメリカの作為があるのはいうまでもない。今年あたりこの2国に顕著な動きがあるであろうことは違いないのである。日本は本気で準備しているのだろうか?
【日本】
私自身、アメリカの資本主義の世界を目の当たりにし、アメリカの資本主義の真っ只中で生きてきた。それだけに私は、日本人がこの資本主義というものをまったく受け入れられない体質であることがよくわかる。日本人のDNA、日本人の文化が、資本主義の本質である 「競争」 を受け付けないのである。私が常日頃いっているように、日本は「和」の精神の国である。資本主義が 「奪いあい」 なら、和の精神は 「与えあい」 である。だから、日本はアメリカのまねをして金融戦略を取るようなことは絶対にできないであろう。 (p.184)
増田さんが書いているように、日本という国は、近隣諸国から謝罪だの賠償だのと言われ続けながら、経済や技術を与え続け、これらの貢献を自国民にすら知らせないという、余りにも慎ましい 「与えあい」 の国である。しかし、世界の傲慢な国々はそんな慎ましい日本を、骨の髄までしゃぶって利用しようとするのである。
増田さんは他の著書で、日本を 「負けて勝つ国」 と表現していた。封建制度下の日本、武士道が不文律として存在していた日本で、決して主人の前に出ず、慎み深く財布を握っていた女性達の存在が、実質的に日本を支えていたように、世界経済の中で最も大きなウエイトを占める日本は、実質的に世界を支える国家として機能してゆくべきであると。
世界中の傲慢な 「奪いあい」 の諸国家は避けようもなく 「荒武」 になろうが、日本のような慎ましい 「与えあい」 の国家には 「尚武」 が相応しい。このような国柄だからこそ天佑神助があると、多くの日本人は信じているのではないだろうか。
しかし、いくら 「尚武」 を尊んでも、法律的に動けないような 「尚武」 であるならば 「勝負」 にならない。自衛隊に関する法整備、これは最低限の大和の備えである。
<了>
増田俊男・著の読書記録