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 長年米国に住んでいる経済問題の専門家とばかり思っていた増田さん。過去のブログで何度か書いているけれど、この書籍に書かれているハワイ王国全権大使という肩書きにビックリして古書店で購入。
 1993年12月の初版本。

 

 

【キャプテン・クック来島以後】
 彼らハワイアンのとってなによりも不幸だった事は、1000年の間病気への抵抗力がなく、自然との共生が彼ら民族の存続の原点だったのが、白人たちの運んできた病原菌がまたたく間に伝染していった事だった。
 性病、結核、コレラなどで、1778年のキャプテン・クック来島の頃、30万人になっていた人口が、1825年には、10万人を割る勢いで激減してしまった。    (p.78)
 これについては、オーストラリアのアボリジニも同様である。
 《参照》  『すすにまみれた思い出』 アンソニー・ヒル (金の星社)
           【アボリジニ】

 

 

【1800年代後半 : 日本とハワイ 】
 1871年、日本とハワイ王国は通称友好条約を結んだ。
 ハワイ王国が結んだ条約国26カ国の中でも、日本はなぜか最もハワイ人に好かれた。
 ハワイはアメリカとイギリスの圧力下におかれていたにもかかわらず、当時、経済関係の薄い日本と同盟を結ぼうとしたくらいだ。
 同盟を結ぶに当たり、明治天皇の皇子とハワイ王国の王女の婚姻が決まったが、アメリカの陰謀により、王女殺害という暴挙によって葬り去られてしまった。   (p.17-18)
 

【“大東亜共栄圏” 構想】
 第二次大戦の幕開けとなった、パールハーバー攻撃が、ミッドウェー攻略後、ハワイ上陸・併合が真の目的だった事はあまり知られていない。
 日本の掲げた “大東亜共栄圏” 構想は、東京裁判で日本の侵略構想と決め付けられたが、この構想がハワイ合併を目していたとの部分は審議されなかった。   (p.23)

 

 

【ハワイはアメリカの歴史の恥部、ならチベットは中国の・・・】
 1959年、アメリカ合衆国最後の州に加えられたハワイ州の非正当性と非合法性は、1893年12月18日のクリーブランド大統領による、王国の崩壊が略奪によるものである事と、臨時政府を廃止し、ハワイ王国の復帰を求めた合衆国議会証言が、充分に証明しているのだ。
 このおどろくべき恥部をアメリカは歴史の中から消し去ることはできない。   (p.13)
 このような過去の歴史があるので、アメリカは、中国のチベット支配について強硬な態度がとれない。
 しかし、民主主義国家のアメリカには、自国内にハワイ王国廃止に関わる非正当性を語る大統領も議会証言もあった。ならば、共産主義国家・中国には、チベット支配に関する非正当性を語るような書記長や党員は表れるだろうか? 決して現れないだろう。それが民主主義国家と共産主義国家の大きな違いである。

 

 

【ハワイ日系人社会の台頭】
 第二次大戦中、ハワイ2世による442部隊のヨーロッパ戦線での活躍は、アメリカ戦史を飾るものだった。この442部隊以上に数多くの勲章を受けたアメリカ軍隊は過去に例がない。そしてこの偉業は、ハワイの白人至上主義の社会概念を根底から覆すことになった。これにより、ハワイの日系社会に、誇りと彼らの指導型の政治、経済への夢をつながせたのだ。
 GI BILL OF RIGHTS (退役軍人に与えられた政府保証の教育制度)により、多くの日系人は最高学位を修得し、青年たちの大多数はアメリカ本土の大学へ行き、新思考や民主主義思想・文化を体得してハワイに帰ってきた。彼らの目に映ったハワイの社会は、まったく不正、不平等、犯罪、不倫理に満ち溢れていた。
 21歳以上の日系人は、続々と選挙人登録を行い、民主党を支持した。   (p.122-123)
 このようにして、日系人がハワイの発展を推進する政治と経済の主役になっていた。

 

 

【ポリネシア・トライアングル】
 ポリネシア・トライアングルには、アラブの10倍の石油埋蔵量があるといわれている。   (p.33)
 増田さんは、ハワイを中心にポリネシア・トライアングルにある石油資源を日本中心で開発することをこの著書で提言していた。今日の日本は、脱石油エネルギーへの移行を成し遂げつつあるから、増田さんのこの構想は実現しないであろうけれど、石油資源が欲しい中国は、既にこのポリネシア・トライアングルにある諸国家を実質的に殆ど同盟国化している。そんな中国を最も危惧しているのは、日本ではなくアメリカだろう。

 

 

【NAFTA】
 アメリカ、カナダ、メキシコ、北米大陸3国の経済ブロック化だ。
 域内非関税障壁撤廃などは表向きで、真の狙いはメキシコ、カナダにおける日本企業の対米輸出基地の阻止が目的なのだ。
 カナダ産ホンダ車の対米輸出問題を思い出してもらいたい。   (p.42)
 1980年代末、北米市場でホンダやトヨタを上回るセールスを上げていたヒョンデ(現代)自動車は、工場をカナダに建設してポニーという小型車を売りまくっていた。当時の韓国は日本に比べて経済的な脅威ではなかった。その後発展した韓国ではあるけれど、IMF支配後の今日の韓国は、実質的にアメリカの経済的な植民地となっている。
 日本を訪問する前にアメリカを訪問していた、韓国のイ・ミョンバク新大統領は、かつてヒョンデグループ企業のCEOだった。単なるアメリカの召使いであろうか? それとも真の国士であろうか?

 

 

【資本援助のやりっぱなし日本は・・・・吉か凶か?】
 もはや日本の資本とテクノロジーは、世界中に密着し、無人格的に増殖を続けている。
 だが、この資本は資本援助のやりっぱなしであったり、現地の悪徳商人に搾取されたりと、かなり杜撰としかいいようがない。しかし、これでいいのだ。
 なぜなら悪徳役人たちは、実力者かやがて実権を握る人物たちだからだ。やがて役に立つ時がくるはずだ。マルコスにやりっぱなしが正解。
 彼らはアメリカの監視が激しい資本より杜撰な日本資本を歓迎するのだ。
 私のような普通の日本人なら誰だって唖然とする記述であろうけれど、著者は国際政治の裏の裏を知っている方である。
 これに即して考えるなら、ODAからADBに名称を変えて中国に流れ込む日本資本も、それで正解となってしまう。「いくら何でもそれはちょっと・・・」と思ってしまうけれど。

 

 

【民主主義による抑圧】
 どこの先進国でも同じだが、近代化と生活水準の目標が達成されると、民主主義は不正や不倫理の言い訳だけに使われ、国民のエネルギーを高揚するどころか、抑止するようになる。   (p.136)
 日系人の台頭によって発展したハワイも、今日のアメリカも日本も同様である。かつての民族の精神がなくなっている。それでも “陰極まって陽に転する” 時に備えて再確認しておこう。

 

 

【ハワイの精神】
 ハワイの神、 “I’O (イオ)” の哲学は “禅” の哲学と共通し、また、山、海、水、火、の神を祭る風習は、様式までがよく似ている。  (p.17)
 彼らは、雨、土、火、収穫、平和などの神々を信仰したが、すべての神を統一する神がイオの神だった。
 イオの神の中心的精神は “HARMONY” (和) である。
 イオの神が治める神々の中にKU (戦の神) は存在しなかった。
 彼らの歴史から、ハワイアンの歴史基準は、「愛情を尺度としたバランスである」とカメハメハ6世は語っている。
 今日のハワイアンたちに伝わるアロハの精神とは、まさにこのイオの精神であり、人間性の根源の愛と共感と分かち合いなのだ。  (p.72)
   《参照》   『ソウル・サーファー』 ベサニー・ハミルトン (ソニーマガジンズ)
              【アロハの精神】 
 
<了>