嫌味な言い方をするのは、どうしてだろう。
たぶん、その人は悪気があって言っているわけでもなく無意識なのだろうと私は推測するがどうだろう。
相手を不快にさせるということをわかっていないのか、それともわかっててわざとやっているのかによって、その人への見方は180度変わってしまう。
みーちゃんには苦手な後輩がいて、よく私にどうしたらいいか、相談してくる。
私はその子が苦手ではないし、わりとよくその子が話してかけてくるから、どうしたらそうできるのか本気で相談しているみたいだった。
私はみーちゃんとは立場も違うし、仕事で直接関わる機会が少ないから、その子の短所を見ていないだけだ、と言うと、でもそれにしても、私は苦手だと思ってしまう、と言った。
先日も、みーちゃんのちょっとしたミスを本人に直接言わず、通りすがりに嫌味のように、独り言のように呟いていったらしく、腹を立てて私に言いに来た。
その子がみーちゃんに苦手だと思われていることが雰囲気で伝わっているのもあるし、みーちゃんが少し怖いのも私はあると思ったが、腹を立てている時に何を言ってもダメだと思うから、そうだねえ。と苦笑いしてその場を濁した。
その子の祖母と母親のことを私は少し知っているが、その人達も同じような感じだから、単に育った環境なのかもしれない、とも思う。
みーちゃんを不快にさせず、ミスを伝えたいのなら、普通にここ、間違ってましたので直しておきました。で済む。
実際、みーちゃんはそんなことを指摘されても怒ったり、落ち込んだりしないタイプで、他の若い子たちはみーちゃんにズケズケとものを言う子の方が多い。
多分彼女は、完璧主義でもあるのだと思う。
仕事はよくできる。計画的で、細かいところにもよく気が付くし、私のこともよく助けてくれる。
でも、みーちゃんは怒っているわけでも、マウントを取っているわけでもないのだが、めんどくさがりなところもあって、言い方がストレート過ぎ、上司ともよくぶつかる。
彼女はミスを指摘されるとものすごく傷付く。
すぐに自信をなくして、しまいには人のせいにしたりする。
基本的に自己肯定感が低いのだろう。
自己肯定感が高い…というか、自己肯定感って何?と質問してくるみーちゃんに、到底彼女のそういう繊細な気持ちは理解できないとも思う。
わからんものは、わからん。でいいんじゃないか?
みーちゃんが上手く彼女と付き合えなくても、周りは上手く付き合ってる。
それでいい。誰かができなくても、誰かができる。子供たちだってそうなるのがいいって言ってたんだから、大人だってそうじゃん?環境って、上手くそうなるようになってるんだ。と前に伝えたことがある。
嫌味な言い方をする人と言えば、私は京都を思い出すのだが、京都人がいわゆる"いけず"と言われるのには歴史的背景があるという。
権力闘争が激しく、戦乱の耐えなかった京都では、白黒つける物言いは命取りになった。
なので、本音と建前を分け、曖昧にする言い方が処世術になったのだと。
彼女は自分のプライベートな話を(というかそれしか話さず人の話は聞かない)よく周りにしているが、それをよく聞いているとそうなるのはなんとなくわかるような気がしてくる。
中でも幼い頃から、母親に指図されてばかりだったり、自分の話を聞いてもらえなかった、本当に辛い時に助けてもらえなかった、といった類の話が私の心の中に残っている。
彼女はいつでも自分が褒められたい。
どんな話でも耳を傾けてもらいたい。
でも、みーちゃんは容易に人を褒めたりはしないし、自分の興味のない話は聞けない。
でも、みーちゃんが人の話に何でも耳を傾けないのには理由があって、それはみーちゃんに共感力がないのではなく(前はそうだと私は思い違いをしていた)、共感力が人一倍強いから、同時にそのことで支配される可能性を無意識に感じ取るのだと最近わかった。
話を聞く。つまり、耳。
五感の中で、耳だけが逃げ場がないという。
人は話をよく聞くだけで、その人に同調し、支配されるというのだ(神々の沈黙より)。
とてもわかる気がする。
相手が感情たっぷりに自分がいかに可哀想であるかを訴えてきたら、その背景にあるあらゆる可能性のことなど想像する余地もなく、頼られている満足感すら付与されて、無条件で味方になってしまいそうになる場面は私にもよくあった。
みーちゃんはそれがわかっているのだ。
たぶん、無自覚に。
嫌いになるのは仕方がない。
いや。嫌いになる前に距離を取ることが大事か。
みーちゃんはまだ、彼女のことは私の見方からすると、嫌いには至っていない。
嫌いになる前に、誰かに素直に自分のその子に対して感じた感情を言葉にして話していることが、防衛策にもなっている。
嫌いなら、嫌いでいいんじゃないの?
その都度私がそう言うとみーちゃんは、嫌いではない。苦手なだけだ、とも言うから、それは本当にそうなんだろう。
苦手なものを食わない。
それは、自分の体質に合わないからだ。
みーちゃんの苦手な食べ物はレーズンだが、レーズンはどうやったって、いちごにはなれない。
でもレーズンはなりたくてレーズンになったわけじゃない。
彼女もみーちゃんに嫌われたくて、みーちゃんをやり込めたくて、嫌味を言うわけではないだろう。
そして嫌味を言う相手は、たぶんみーちゃんだけじゃない。
周りも言われているだろうが、気にしないだけか、気付いていないのだ。
