大量のホタテを前にして、呆然とする。
一度、気合いを入れなければ、なかなか作業に取り掛かれない。
左手にホタテ、右手にホタテ剥き用ナイフを手にし、口が少し開いたものを選んで、一気に貝柱めがけて、ぶっ刺す。
少しでも躊躇うと、ナイフは両の殻に挟まれて身動きが取れなくなる。
しかし一発で殻と貝柱を切り離せると、殻はパカン!と一気に開いた。
次々と剥く。
無心で剥き続ける。
この頭が空っぽになる瞬間が心地よいのである。
それから貝柱とヒモとコッコに分けて、砂を綺麗に洗い流す。
剥くよりもずっとこの作業の方が手間がかかる。
何せヒモには泥とヌメリがびっしりついているし、コッコには中にフンのようなものが詰まっているのから、それを一つ一つ、こそげとるのが大変だ。
けれどその手間で、たくさんの種類の料理が出来上がっていくのを見ると、なんとも言えない満足感に浸れる。
食べるよりも、作ることの方がメインなんじゃないかと思えるくらいだ。
貝柱は塩茹でする
ヒモは、醤油とみりんで軽く煮てからしばらく置く
生を伸ばして干す方が綺麗だが、この方が簡単
貝柱は一晩干してソフト貝柱として食べても美味しいが、今回は二、三週間ほどカラカラになるまで干す
夕飯分に生の貝ひもと貝柱を少しだけよけて、先日漬けたキムチと和える
ホタテのコッコ(卵巣、精巣)は、刺身もしくは
甘辛く煮付けて食べる
食べ終わるのは一瞬なのに、何故こんなに手間隙かけて、いつも違う料理を作りたくなるのだろう。
その過程に夢中になる、無心になれる時間は、まるで永遠の中にいるみたいな気がするのだ。







