実は、ムサビこと武蔵野美術大学は、
9万点以上に及ぶ民具コレクションを収蔵しています。
その民具コレクションをもとにした展覧会、
“民具これなーんだ?”が、武蔵野美術大学美術館で開催中です。
世界屈指とも称されるこの膨大な民具コレクションの礎は、
同大学の名誉教授であった民俗学者・宮本常一によって築かれました。
本展の冒頭では、そんな宮本に関する資料の数々が紹介されています。
それらの中には、初公開となる直筆の手紙もありました。
ちなみに、この手紙は、ムサビへの赴任が決まった際に書かれたものだそうです。
ところで、「民具」という言葉は、昔からありそうな感じがしますが。
実は意外にも、まだ誕生から100年も経っていないそうです。
初めて登場したのは、1936年刊行の『民具蒐集調査目録』において。
この「民具」という造語を作ったのが、渋沢敬三。
宮本常一の師であり、あの渋沢栄一の孫にあたる人物です。
本展ではその渋沢敬三が房総の現地の人から、
直接譲り受けたという万祝着(まいわいぎ)も展示されています。
さて、本展が提唱する民具の魅力に、
一つとして同じものが無いことがあります。
一見、同じようでも、見比べることで、
その違いが浮かび上がってくるようです。
酒や醤油などを量り売りで購入するための徳利、
「貧乏徳利」コレクションが一挙展示されています。
1点2点あるだけでは、ただの民具でも、
これほどたくさん集まると、圧倒されるものがありました。
まるでインスタレーション作品のようです。
続く展示室では、竹工芸コレクションと、
浜松凧コレクションが一挙展示されています。
インスタレーション感はさらにアップ!
圧巻も圧巻の光景でした。

さて、もう一つの展示室で展開されていたのは、
Web版『美術手帖』の連載「民具これなーんだ?」とのコラボ。
プレミアム会員限定の記事のため、
連載そのものは読んだことが無いのですが。
おそらくパネルの表面で紹介されているのは、
連載で実際に取り上げた民具だと思われます。
ただ普通にポンと置かれていたら、
「ふーん」くらいにしか感じない気がしますが。
造形的なポイントをフォーカスし、「これなーんだ?」と問われると、
不思議と好奇心が刺激され、答えが知りたくてたまらなくなってしまいます。
なお、答えはパネルの裏側に。
パネルの裏側ではさらに、表の民具から派生して、
同じテーマやジャンルの民具の数々も紹介されていました。
表を観てから、裏を観る。
この能動的な行動のおかげで、
展示の内容がより頭に入ったような気がします。
これは是非、他でも取り入れて欲しい展示の新しいフォーマットでした。
また、本展では、こんな斬新なコーナーも用意されています。
その名も、「デッサンしよーぜ」です。
中央に置かれていたのは、用途がよくわからない民具。
それを正確にデッサンするのではなく、
見方を少し変えて別のものに見立てて描こうというもの。
ちなみに、貼られていたデッサンの中で、
個人的にお気に入りは、“民具ピノ”です(笑)
しかも、会場内にタッチパネルが設置されており、
鑑賞者は自由に操作することが可能となっていました。
タッチパネル内には、素面と酩酊という謎の表示モードも(笑)。
貧乏徳利がネオンサインのように輝きだしました(笑)
これが本展で一番の「これなーんだ?(困惑)」でした。

















