ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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ピカソ没後50周年にあたる2023年に、パリ国立ピカソ美術館にて、

“Picasso Celebration: The Collection in a New Light!”が開催されました。

イギリスを代表するデザイナーのあのポール・スミスが

ピカソの作品にインスピレーションを得て、会場を大胆にレイアウト。

その意外すぎるコラボレーションは、大きな話題を呼びました。

そんな伝説の展覧会をもとにした国際巡回展、

“ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ”が現在、

日本では唯一の会場となる国立新美術館で開催されています。

 

ピカソ meets ポール・スミス展ポスター

 

 

出展作品は、約80点。

パリ国立ピカソ美術館から、ピカソコレクションが、

まとまった形で来日するのは、実に18年ぶりとのことです。

それらの作品が、ポール・スミスが細部にまでこだわった空間に展示されています。

 

例えば、こちらは冒頭を飾る展示空間。

 

ピカソの牡牛の頭部と自転車部品のアート

 

 

その中央に飾られているのは、《牡牛の頭部》です。

もちろん本物の牛の頭ではなく、ピカソによるアッサンブラージュ(※)作品。

自転車のサドルとハンドルが組み合わされています。

(※日用品や廃品を組み合わせて制作する作品。コラージュの立体版といったところ)

誰もが日常で幾度となく目にしている自転車のサドルやハンドルが、

ピカソの手にかかれば、このようなユーモア溢れる作品になってしまうのですね。

なお、両側の壁に展示された無数の《牡牛の頭部》(?)は、本展のために制作されたもの。

よく見ると、ポール・スミスらしいカラフルなストライプのサドルが1点だけ混ざっていました。

 

 

また例えば、こちらは本展のラストを締めくくる展示空間。

 

image

 

 

壁一面を埋め尽くすのは、過去のピカソ展のポスター。

まるでライブハウスのフライヤーのように重ね貼りされています。

すべてポスターなのかと思いきや、ところどころに、

ポスターのメインビジュアルとなっている作品の実物がありました。

なんと斬新な展示スタイルなのでしょう!

 

 

本展では、このような展示空間が、

全部で16部屋ほど設けられています。

 

ピカソとポール・スミスの展示空間、ピンクの壁に絵画

ピカソ meets ポール・スミス展の展示空間

 

 

それらの中には、《アルルカンに扮したパウロ》から、

衣装に描かれた水色と黄の菱形のパターンを抽出した部屋や、

 

ピカソ《アルルカンに扮したパウロ》と菱形模様の壁

 

 

ストライプの壁にストライプが描かれた作品を飾るポール・スミスらしさ溢れる部屋も。

 

ピカソ meets ポール・スミス展のストライプ空間

 

 

ちなみに。

個人的に印象深かったのは、「一点もの」と題された部屋です。

こちらでは、ピカソの陶芸作品が紹介されていました。

ピカソの陶芸(セラミック)といえば、

ヨックモックミュージアムに常設展示されています。

 

ピカソ陶芸作品と白い皿の展示空間

(参考写真:ヨックモックミュージアム)

 

 

そのヨックモックミュージアムでは、

3面ある壁を約40点の陶芸作品で埋め尽くしています。

対して、会場冒頭で配布された出展リストを見る限り、

本展に出展されている陶芸作品は、9点しかありません。

だいぶスカスカな展示になるのでは?

などと思っていたら、杞憂に終わりました。

 

image

 

 

あえて白いお皿で埋め尽くす。

斬新・・・というか、もはやとんちに近い展示空間でした。

この光景が目に飛び込んできた瞬間、

ちょっとだけヤマザキ春のパンまつりが頭をよぎりました(笑)

 
それから、もう一つ印象に残っているのが、
「ピカソのボーダーシャツ」と名付けられた部屋です。
こちらの展示室では、ピカソのトレードマークというべき、
ボーダーシャツを着たピカソ自身が描かれたデッサンなどが展示されていました。
そして、その天井には・・・・・
 
ピカソのボーダーシャツ展示室

 

 

おびただしい数のボーダーシャツが!

これまた斬新にもほどがある展示室です。

 

ちなみに。

こちらの部屋のキャプションには、

このような一文が記載されていました。

 

メディアで彼のイメージが本格的に固まったのは報道写真が興隆をきわめ、

テレビが登場した第二次世界大戦後のことでした。

すなわち白髪の薄い頭でボーダーシャツを着た男性、というイメージです。

 

・・・・・いや、わざわざ“薄い頭”は言及してあげなくても。

たぶんピカソも気にしていたでしょうし。

 

 

青の時代、キュビスム期から晩年まで、
出展されていたピカソの作品自体、どれも名品ばかりなので、
それを普通に白い壁に展示しただけでも、展覧会として十分成立したはず。
しかし、そこにポール・スミスのセンスが加わったことで、
ピカソの作品や展覧会の魅力が何倍にも増幅していました!
ありそうでなかった新感覚な展覧会です。
星星星
ただ、一つだけ難を言うのであれば、この展覧会のせいで、
今後、ピカソの作品を白い壁で観た時に、物足りなさを感じてしまいそうです(笑)
 

 

 

 

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