今年2026年は、日本とベルギーが、
「修好通商航海条約」を締結して160周年の節目の年。
それを記念して、ベルギーの最高学府ルーヴェン・カトリック大学と、
大学間交流協定を締結している國學院大學の國學院大學博物館では、
“日本・ベルギー修好160周年記念 美と知の交流の軌跡”が開催されています。
本展の冒頭に展示されていたのは、
ベルギー王立美術歴史博物館が所蔵する宮川香山の《花瓶》です。
1911年、ベルギーの首都ブリュッセルにて、
“ベルギー・日本常設博覧会”が開催されました。
その際に、
ベルギーの国外で展示されるのは、今回が初めてなのだそう。
本展の目玉と言えるのが、日白修好通商航海条約の原本。
“白日”や“目白”と空目した方もいらっしゃるかもしれませんが、“日白”です。
“日”は言わずもがな、日本の“日”。
“白”はベルギーの漢字表記「白耳義」の“白”です。
160年前に江戸でこの条約を調印した当時の日本の代表は、徳川慶喜。
開かれたページの右側には、「源慶喜」のサインがありました。
条約の原本は原則として両国が保管していますが、
つまり、ベルギー側が保管する条約文書が現存する唯一の貴重な原本。
本展で160年ぶりの里帰りを果たしています。
さて、こちらの肖像画に描かれている人物は、有栖川宮熾仁親王。
國學院大學の母体である「皇典講究所」の初代総裁、有栖川宮幟仁の第1皇子です。
彼は、明治天皇の命を受け、約7か月におよぶ皇族による初の外国訪問を果たしています。
その行程で、ベルギーにも数日滞在していたようで。
本展では、ベルギーの王宮や外務省の史料館が保管する、
有栖川宮熾仁親王のベルギー滞在に関する資料も紹介されています。
さらに本展では、國學院大學図書館が所蔵する、
日本とベルギーの交流を示す資料の数々も紹介。
ベルギーは、アメリカやイギリスと比べて、
今ではそこまで日本と馴染みがないような印象があります。
ベルギーは、1830年にオランダから独立した新興国です。
それゆえ、明治維新で日本が近代化を進めるうえでの模範国の一つでした。
岩倉使節団はベルギーに大きな影響を受けてますし
日本銀行はベルギー国立銀行の条例や定款を手本としています。
ちなみに、こちらは大日本帝国憲法の起草者の一人、井上毅による憲法説明の草案↓
それを読むに、井上はベルギー憲法を参照していたようです。
ベルギーは日本にとって、ただのサッカーの因縁の強敵ではなかったのですね。
さてさて、日本とベルギーの交流に関する歴史資料だらけの展覧会かと思いきや。
なんと展示室の一角に、ズラリと浮世絵が並んでいました。
しかも、どれも保存状態が良いものばかり。
展示されていた中には、鈴木春信の美人画もあれば、
歌川国芳のユーモアあふれる浮世絵、
さらには、歌麿や写楽の代表作中の代表作もありました。
夜空の表現や灯りの表現が、実に秀逸。
さりげなく描き込まれた人々も妙にリアリティがありました。
現在ちょうど来日中の作品と言えば、
ゴッホの《夜のカフェテラス》が何かと話題ですが。
それに負けないくらいに、歌川国貞の《吉原の夜》も素晴らしい作品でした。
こちらのほうは、大ゴッホ展よりもゆったりと観られますよ。しかも、無料で。


ちなみに。
本展のラストでは、20世紀ベルギーを代表する詩人で、
画家のクリスチャン・ドートルモンの作品も紹介されています。
ドートルモンは、シュルレアリスムに参加した後、
ベルギー、デンマーク、
前衛芸術集団「CoBrA(コブラ)」を結成しました。
彼は、若い頃より日本の書に深い関心を寄せており、
その集大成として、「ロゴグラム」
確かに、書のように思えますが、
日本人の感覚からすると、日本らしさはそこまで感じられません。
どちらかといえば、アラビアの書っぽいような。
そうそう、シュルレアリスムといえば、
國學院大學博物館の常設展示スペースに、こんなものが展示されていました














