KAAT神奈川芸術劇場に行ってきました。
すると、ロビーにパンイチの怪しげな男性が立っていました。
・・・・・もちろん、不審者などではなく。
一木造りで個性的な少年少女像を作る彫刻家、棚田康司さんの作品です。
さらに、2階へ続く階段の踊り場には巨大な白熊が立っていました。
・・・・・もちろん、ついに横浜の街中にも本物の熊が現れたわけではなく。
寄木作りで個性的な動物像を作る彫刻家、三沢厚彦さんによる彫刻作品です。
実は現在、KAAT神奈川芸術劇場では、
現代彫刻界のトップランナーである三沢さんと棚田さんの2人展、
“三沢厚彦・棚田康司 「彫刻される劇場」”が開催されています。
頭の上に大きな疑問符を浮かべたまま、会場の扉を開けました。
すると、このような光景が飛び込んできました。
展示スペースは、この1フロアのみ。
特に展示壁による導線のようものはなく、
三沢さんと棚田さんそれぞれの作品が、むき出しで設置されています。
どう考えても、鑑賞に40分もかかるとは思えません。
ただ、気になるのは、照明が当たっている作品もあれば、
照明が当たっていない作品もあるということ。
彫刻展の主役は、彫刻作品なのですから、
すべてのを明るい状態で鑑賞したいところです。
などと思っていたら、突然暗がりに、
スポットライトが当てられ、作品の姿が浮かび上がりました!
美術館やギャラリーで展示されるのとはまた雰囲気が違って。
真っ暗いステージにスポットライトが浮かび上がる様は、劇的な印象がありました。
とりわけ棚田さんの作品は、圧倒的なほどにドラマチックな印象に。
彼ら彼女らが浮かべる表情もあいまって、
まるで本物の役者やパフォーマーのように思えました。
なお、変化するのは照明だけではありませんでした。
耳を澄ますと、どこからともなく、
環境音楽や詩の朗読のようなものも聴こえてきます。
なるほど。照明やサウンドによる演出がトータルで40分あるということですね。
さらにしばらくすると、スモークによる演出も。
これまでに幾度となく、彫刻を鑑賞してきましたが、
スモークが焚かれた状態で彫刻作品を観るのは今回が初めて。
実に、新鮮な体験でした。
彫刻作品とスモーク。
一見すると、合わないような気もしますが、
スモークによって確実に幻想性が増しており、
個人的には、ありよりのありでした。
むしろ、他の彫刻作品もスモーク演出ver.で観てみたいです。
ロダンの《地獄の門》なんて、相性ピッタリだと思います。
ちなみに。
本展でもう一つ印象的だったのが、鑑賞者の動きです。
周囲に設置されたベンチに座って、
全体を俯瞰的に鑑賞する方もいらっしゃいましたが。
姿が浮かび上がっている作品のほうへと、
多くの方が光の演出に自然と誘導されていました。
本人たちはその意識は全くないのでしょうが(自分も含め)、
そうした一連の動きが、パフォーマーのようにも感じられました。
彫刻は動きが無いため、どうしたってその展覧会は、
静的なものにならざるを得ないですが、この彫刻展は実に動的。
まさに、劇場ならではの新感覚の彫刻展でした。
ネクストステージの彫刻展を観た気がします。
彫刻の世界を革新し続ける三沢さんと棚田さん。
今後の動きにますます目が離せません。
















