ティーカップ・メリーゴーラウンド | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美濃焼で知られる日本一の陶磁器生産地、

岐阜県東濃地方に位置する「陶芸の現代」がテーマの美術館。

それが、岐阜県現代陶芸美術館。

国内に限らず、世界各地の近現代の陶芸作品を収集しています。

そのコレクションより、西洋陶磁器の名品を一堂に公開する展覧会、

“ティーカップ・メリーゴーラウンド”が現在、三井記念美術館で開催されています。

 

ティーカップ展覧会ポスター:ヨーロッパ陶磁デザイン100年

 


出展数は、約130点。

“ティーカップ・メリーゴーラウンド”という展覧会名だけに、

出展作品の多くを占めるのはもちろん、ティーカップですが。

 

ティーカップ・メリーゴーラウンド展の陶磁器コレクション

 

 

ティーウェアやコーヒーウェア、テーブルピースなども紹介されています。

 

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本展でスポットライトが当てられているのは、

19世紀半ばから約100年間に制作されたヨーロッパ陶磁の数々。

フランスのセーブルといった根強い人気を誇る名窯もあれば、

 

マイセンのティーセット: ティーカップとシュガーポット

セーヴル ティーセット「クラウデッド・ブルー」1876年岐阜県現代陶芸美術館

 

 

フィンランドのアラビアをはじめ、ここ近年、特に人気の高い北欧ブランド、

 

カラフルなティーウェアとコーヒーウェアのセット

アラビア/カイ・フランク(デザイン) 食器揃 「キルタ」 1953-1975年(1948年デザイン) 岐阜県現代陶芸美術館

 

 

意外なところでは(?)、旧ソビエト連邦の磁器もありました。

 

幾何学模様のティーポット

ニコライ・ミハイロヴィチ・スエーティン(国立磁器製作所製造) 幾何学文ティーポット 1923年 岐阜県現代陶芸美術館

 

 

それらの数ある名窯の中でもっとも重要といえるのが、マイセンです。

 

ティーカップ・メリーゴーラウンド展のマイセン陶磁器セット

マイセン 花飾ティーセット 19世紀後半 岐阜県現代陶芸美術館

 

 

磁器は、中国で古来より作られているので、

西洋においても同じくらいから作られているのかと思いきや、

意外にも、その歴史はそう古くはありません。

17世紀、オランダ東インド会社によって、

中国や日本の磁器がヨーロッパにもたらされると、

王侯貴族たちの間で爆発的な流行を生みました。

しかし、高価な磁器をたくさん買い求めるあまり、各国の宮廷は財政難に。。。

そこで競うように、自国での磁器の生産に挑み始めたのです。

その熾烈な開発競争を最初に制したのが、

1710年にマイセンに磁器製作所を設けたザクセン王国(今のドイツ)でした。

つまり、マイセンが誕生していなければ、

ヨーロッパの名窯の数々は誕生していなかった・・・かも。

というわけで、本展の冒頭を飾るのは、マイセンの名品の数々です。

 

マイセンのティーセットと展示室

 

 
国宝や重要文化財など、展覧会の目玉作品が、
1点だけ展示される三井記念美術館の展示室2に飾られていたのも、マイセン。

 

マイセン花飾ティーセット 19世紀後半 陶磁器

 

 
さらに、原寸大で忠実に再現された国宝の茶室「如庵」に飾られていたのも、マイセンです。

 

マイセンのポプリ壺「科学」

 

 

こうした別格の扱いから、マイセンがどれほど重要な存在なのかを思い知りました。

ちなみに、「如庵」に展示されていたマイセンの《ポプリ壺「科学」》は、

1893年のシカゴ万博や、1900年のパリ万博にも出品されたことがあります。

その高さは、実に142㎝!

これほど大きな壺は世界に2点しか現存していないそうです。

星

 

 

さてさて、もともと東洋への憧れから、

西洋の磁器文化が始まったこともあって、

本展で紹介されていた磁器のデザインには、

中国や日本からの影響が見て取れるものが多々ありました。

エミール・ガレの《人物文コーヒーセット》のように、絵付けが東洋風のものもあれば。

 

ティーカップ・コーヒーウェアセット:マイセン、セーブル、アラビア

エミール・ガレ 人物文コーヒーセット 1880-1884年 岐阜県現代陶芸美術館

 

 

ロイヤル・ウースターの《花文ティーポット》のように、形状が東洋風のものもありました。

 

マイセンのティーポット、花鳥文様

ロイヤル・ウースター 花文ティーポット 1873年 岐阜県現代陶芸美術館

 

 

さて、こちらはイギリスのミントンのティーカップや茶壺。

 

ティーカップ・メリーゴーラウンド展のティーカップ3点

 

 

一見すると、東洋の要素が無いように思えます。

実は、七宝焼をモチーフとしたデザインだそうで、

よく見ると、模様一つ一つが金色の線で囲まれていました。

そこまで忠実に再現するなら、いっそのこと、七宝焼で作ったらいいような。

 

 

一般的に陶磁器の展覧会は、
“なんか地味・・・”とか“どう楽しめばいいの?”と思われがちですが。
日常生活で身近なティーカップにスポットを当てたことで、
食器屋や雑貨屋で好きなティーカップを探している時のような、
いい意味で美術鑑賞していることを忘れる、とても親しみやすい展覧会でした。
ただ、展覧会を最後まで観て一つだけ気になったのは、
本展タイトルの“メリーゴーラウンド”要素がなかったこと(笑)。
ティーカップ・メリーゴーラウンドという響きで付けたタイトルだったのでしょうか。
 
 
 ┃ 特別展 岐阜県現代陶芸美術館コレクション 
   ティーカップ・メリーゴーラウンド ヨーロッパ陶磁にみるモダンデザイン100年

 ┃会期:2026年4月18日(土)~6月21日(日)

 ┃会場:三井記念美術館

 ┃https://www.mitsui-museum.jp/index.html

 

 

 

 

 

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