続・無料で観れる美術百選《身曾岐神社(山梨県北杜市)》 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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山梨県北杜市にある身曾岐神社。
江戸時代の医師で神道家であった井上正鐵 (まさかね)を御祭神とする神社です。
 
身曾岐神社本殿と参拝順路の標識

 

 

公式HPによれば、その井上正鐵が伝えた古神道の奥義、

“みそぎ”の行法並びに徳を広く皆さまにお分けする神社とのこと。

そう、神社名の「身曾岐」は、「みそぎ」の当て字です。

どことなく暴走族の特攻服と同じ匂いを感じます。

それもそのはずで(?)、身曾岐神社が創建されたのは1985年。

暴走族ブームのあたりに誕生した神社なのです。

 

そんな身曾岐神社の最大の見どころといえるのが、能楽殿。

「日本随一」とも称される池に浮かぶ能楽殿です。

 

身曾岐神社能楽殿と池、松林
身曾岐神社能楽殿と池

 

 

こちらの能楽殿では、毎年8月に、

野村萬斎さんら一流の狂言師、能楽師による薪能が行われているそう。

また、ゆずもたびたびライブを行っているそうで、

ゆずファンの間では、この能楽殿は聖地とされているそうです。

さらに、au三太郎のCMのロケ地としても使われたこともあるようですよ。

 

 

 

さて、そんな斬新な身曾岐神社の能楽殿の鏡板には、

伝統的な能舞台と同じく、《老松》《若竹》が描かれています。

 

身曾岐神社能楽殿の老松と若竹

 

 

作者は、なんと日本美術院の重鎮・守屋多々志(1912~2003)

文化勲章を受章した経験もある日本画家で、

映画『羅生門』の衣装デザインを手掛けたことでも知られています。

 

ちなみに。

彼の故郷である岐阜県大垣市には、

2001年に開館した大垣市守屋多々志美術館がありますが、

この3月末をもって閉館することが報じられています。

なお、来月4月11日からは、荏原 畠山美術館にて、

東日本では30年ぶりとなる守屋多々志の回顧展が開催予定。

今何かとタイムリーな日本画家です。

 

続・無料で観れる美術百選080

守屋多々志《老松》

 

 

ところで、守屋による《老松》を改めて観てみると・・・・・

 

身曾岐神社能楽殿の老松の鏡板

 

 

地面から浮いていることに気が付きます。

実はそれにはこんな理由があるようです。

鏡板のオファーを受けた守屋が現地を訪れたところ、

能楽殿を囲む立派な松林を目にして、気おされてしまったそう。

 

身曾岐神社の池に浮かぶ能楽殿と松林

 

 

・・・・・松、描かなくてよくね?

そこで、松そのものではなく、

松の精霊を描こうと思い至りました。

精霊と幽霊はまぁ、似たようなもの。

日本画と幽霊と言えば、足が無いのが相場なわけで。

だから、身曾岐神社の《老松》には足がないのだそうです。

 

実にユニークなエピソードではありますが。

だったら最初から、松の絵を得意とする画家を選べよ!

なぜなら、守屋多々志は歴史画の大家だから。

なんでまた数ある日本画家の中から、彼が抜擢されたのか。

一つだけ共通項に思い至りました。

守屋多々志の本名は、「正」。

つまり、「多々志」は当て字です。

「身曾岐」のネーミングセンスと同じ匂いを感じます。

 

 

<無料で観れる美術 データ>
身曾岐神社

住所:山梨県北杜市小淵沢町上笹尾3401

アクセス:○JR「小淵沢駅」よりタクシーで約5分

 

 

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