下村観山展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、東京国立近代美術館では“下村観山展”が開催されています。

 

下村観山展のポスター、森の絵画
(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)
 
 
本展の主役は、もちろんこの人↓
 
下村観山 肖像写真
観山肖像写真 個人蔵(画像提供:神奈川県立歴史博物館)
 
 
「稀代の天才」と称された下村観山 (1873~1930)です。
同じく東京美術学校の第一期生で、
ともに岡倉天心に学んだ横山大観の影に隠れがち(?)ですが、
その実力は折り紙付きで、近代日本画界屈指とも評されています。

 

本展は、横浜美術館での開催以来、

関東では実に13年ぶりとなる下村観山の大規模回顧展です。

出展作品は、前後期合わせて150件以上!

それらの中には、代表作中の代表作で、

重要文化財にも指定されている《弱法師》を筆頭に、

 

下村観山《ディオゲネス》大英博物館所蔵

下村観山 《楓》 1925年 東京国立近代美術館

重要文化財《弱法師》 1915(大正4)年
東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives
(注:展示は3/17~4/12)

 

 

あの渋沢栄一が観山に依頼した絵や、

 

下村観山《楓》 1925年

《楓》 1925(大正14)年 南湖神社蔵
画像提供:白河市歴史民俗資料館
(注:展示は3/17~4/12)

 

 
死の間際の観山が1週間かけ完成させた絶筆 《竹の子》も含まれていました。
 
下村観山 《竹の子》 絶筆(竹の子)

《竹の子》(絶筆) 1930(昭和5)年 個人蔵 (通期展示)

 

 

また、本展では国内からの借用品だけでなく、

大英博物館が所蔵する観山作品も来日しています。

 

下村観山 肖像写真

《ディオゲネス》 1903-05(明治36-38)年
大英博物館蔵 ©The Trustees of the British Museum(通期展示)

 

 

“なぜ、大英博物館に大観作品が??”

そのように疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。

実は、観山は、文部省留学生としてイギリスへ留学した日本画家の第1号。
30歳からの2年間、現地で西洋絵画の研究を行っています。

そんな留学時代に、ロンドンで親交を深めたのが、

小説家で東洋美術研究家のアーサー・モリソンでした。

大英博物館が所蔵する観山作品は、そのモリソンから寄贈されたものです。

本展では、モリソンが寄贈した観山作品のうち5点が里帰りを果たしています。
 
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 ©The Trustees of the British Museum
 
 
それと併せて、留学に関する貴重な資料や、
現地でラファエロの 《小椅子の聖母》を模写したものも紹介されていました。
 
下村観山 留学任命書と辞令
ラファエロ《小椅子の聖母》模写
《小椅子の聖母》 1904(明治37)年 横浜美術館蔵
(注:展示は3/17~4/12)
 
 
さらに、ロンドン留学中に制作されたという《行旅図》も。
新発見されたばかりの作品で、もちろん本展が初公開の機会となります。

 

下村観山《行旅図》の風景画
《行旅図》 1904(明治37)年 個人蔵(通期展示)

 

 

軸装されてはいるものの、目に飛び込んできた瞬間、
ターナーの絵画も来日しているのかと思ってしまいました。
おそらく、観山は現地でターナーの絵画も目にしていたのかも。
ターナーの作品に通ずる“崇高さ”を感じる作品でした。
 
そうそう、西洋美術の影響を受けた作品と言えば、
練馬区にある西中山 妙福寺に伝わる《魚籃観音》も。

 

下村観山《魚籃観音》 妙福寺蔵
《魚籃観音》 1928(昭和3)年 西中山 妙福寺蔵 (通期展示)

 

 

魚籃観音とは、33の姿に変身するという観音菩薩の1つで、

一般的には、魚の入った魚籃を持つ女性の姿で表されます。

観山も当然、女性の姿で描いているのですが、その顔をよく観てみると・・・・・

 

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《モナ・リザ》にそっくり!

思わず、アッと驚かされました。

なお、この作品は発表当時、

賛否両論を巻き起こしたと言われています。

たぶんですが、否が賛を上回っていたことでしょう。

 

さてさて、《魚籃観音》もインパクト抜群でしたが、

出展作品の中には他にも、印象的なものが数多くありました。

例えば、こちらの《唐茄子畑》

 

下村観山《唐茄子畑》と《ディオゲネス》

《唐茄子畑》 1911(明治44)年 東京国立近代美術館蔵(通期展示)

 

 

唐茄子、つまりカボチャが畑になる様子を描いた作品です。

 

下村観山《竹の子》の絵

 

 

カボチャや葉の表面が、まるでゴジラのようにゴツゴツしています。

デューラーや岸田劉生を彷彿とさせる写実描写。

これが油彩画でなく、日本画であることに新鮮に驚かされました。

 

 

また例えば、《美人と舎利》

 

下村観山 魚籃観音と骸骨の対比
《美人と舎利》 1909(明治42年) 豊田市美術館蔵
(注:展示は3/17~4/12)
 

 

衣装の紋様から、描かれている女性は、

『源氏物語』に登場する六条御息所と考えられているそう。

その彼女の目線の先には、骸骨が描かれています。

美人と舎利の対比を狙ったのか、

はたまた、美人もいずれは舎利になるという教訓なのか。

観れば観るほど、想像力を掻き立てられる作品でした。

 

なお、4月14日から始まる後期には、
長野市の水野美術館が誇る人気作 《獅子図屏風》が出展予定とのこと。
 

下村観山《獅子図屏風》のエメラルドグリーンの獅子

下村観山 獅子図屏風 エメラルドグリーン

《獅子図屏風》 1918(大正7)年 水野美術館蔵
(注:展示は4/14~5/10)

 

 

他のどの獅子とも似ていないオリジナリティ溢れる獅子です。

緑色のたてがみのライオンなんて、

観山のこの獅子か『ごきげんよう』のライオンちゃんくらいなものでしょう。

この実物を観るためだけに、後期にも訪れる価値は十分にありますね。

 

ちなみに。

数ある本展のオリジナルグッズの中には、

そんな《獅子図屏風》をモチーフにしたマスコットも!

 

獅子図屏風モチーフのマスコット

 

 

実物同様に、眉(シワ?)が右に2つ、左に1つあり、

目の色も黒ではなく、青色でちゃんと再現されています。

アクリルで制作された子どもの獅子も可愛らしいですね。

制作陣の並々ならぬこだわりが感じられる逸品でした。

《獅子図屏風》が展示される後期が始まる前に売り切れてしまうかも。

 

 

なんとなく、横山大観の“じゃない方”の印象のあった観山ですが。

本展を通じて、彼の真の実力や大観とは違った魅力に気づかされました。

“じゃない方芸人”の多くがのちにブレイクしたように、

本展をきっかけに、下村観山のブレイクは確実でしょう!

星星星

 

 

 ┃会期:2026年3月17日(火)~5月10日(日)

 ┃会場:東京国立近代美術館

 ┃https://art.nikkei.com/kanzan/

 

~読者の皆様へのプレゼント~
“下村観山展”の無料鑑賞券を5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は4月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。

 

 

 

 

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