現在、東京国立近代美術館の企画展示室では、
下村観山の大規模回顧展が絶賛開催中ですが。
常設展示「MOMATコレクション」では、4月12日までの期間限定で、
すっかり毎年恒例の企画となった“美術館の春まつり”が開催中です。
重要文化財に指定されている川合玉堂の《行く春》や、
1939年のニューヨーク万博に出品され、
“全米が泣いた”松林桂月の《春宵花影図》をはじめ、
13000点以上あるMOMATコレクションから、
選りすぐられた春の名品たちが会場に咲き誇っています。
屋外でのリアルな花見もいいですが、
花粉症に苦しめられている自分としては、
屋内で楽しめる“美術館の春まつり”はありがたい限り。
府中市美術館の“春の江戸絵画まつり”が終わってしまった今、
東近美の“美術館の春まつり”は末永く続けていって欲しいものです。
下村観山展の開催に合わせて、
岡倉天心をモデルにした平櫛田中の《鶴氅》や、
キリストや釈迦、孔子、老子の4人が、
幼い子供を取り囲む横山大観の初期代表作《迷児》など、
下村観山にゆかりある人物の作品も出展されています。
なお、こちらの《迷児》は、令和6年度に特別予算で購入された新収蔵品。
その額、2億2千万円だそうです。
さて、同年に特別予算で購入された作品の中には、
20世紀イタリアを代表する彫刻家の最重要作とされるものも。
メダルド・ロッソによる《Ecce Puer(この少年を見よ)》です。
ちなみに。
購入金額は、5億8632万2468円とのこと。
横山大観の《迷児》を2点買っても、1億円以上余ります(←?)。
一体どれほどの名品なのか?!
期待が高まります。
さて、会場を入ってまず出迎えてくれたのは、予想外の人物でした。
岸田劉生の愛娘、麗子です。
さらに、会場を進むともう一人。
橋本平八の《幼児表情》も展示されていました。
おそらくロッソの《Ecce Puer(この少年を見よ)》にちなんで、
MOMATコレクションの中から特に見て欲しい少年少女を選抜したのでしょう。
さらに、こちらの小企画展は、
日テレのバラエティー番組ばりに、引っ張ります。
《Ecce Puer(この少年を見よ)》はまだ登場しません。
アメリカの戦後彫刻を代表するデイヴィッド・スミスの作品や、
重要文化財に指定されている新海竹太郎の《ゆあみ》といった、
MOMATコレクションの彫刻の名品の数々を紹介。
それらに混じって、ロダンの小品もさりげなく出展されています。
そして、いよいよ主役の登場。
こちらが、《Ecce Puer(この少年を見よ)》です。
作品のモデルは、アルフレッド・ウィリアム・
ある晩、モンド家でパーティーが開催された際に、
カーテン越しに会場を覗く少年をロッソが目撃したとも、
ある朝、太陽の光に包まれた少年にロッソが出会ったとも伝わっています。
半透明のワックスを素材として多用したロッソ。
そのぼんやりとしたようなあいまいな表情から、“印象派の彫刻家”と称されています。
《Ecce Puer(この少年を見よ)》の表面も、まさに印象派風。
(事実、本作の改名前のタイトルは、《子どもの印象》だったそうです)
カーテン越しのようにも感じられますし、
太陽の陽射しに包まれているようにも感じられます。
ちなみに。
一般的に彫刻作品の魅力の1つが、
360度どこから観ても楽しめるところですが。
実は、19世紀までは、彫刻は絵画に劣ると考えられていました。
その理由は、絵は一方向から瞬間的に鑑賞できるのに対し、
彫刻はさまざまな角度から見なければならず、時間がかかってしまうから。
昔もタイパが重視されていたのですね。
と、それはともかく。
そんな批判に対して、ロッソはあえて、
正面から観るためだけの彫刻に挑んだのでした。
なので、作品の背後に回ってみると、こんな感じ。
《Ecce Puer(この少年を見よ)》を見る際は、正面から見よ。
















