The Vision of Contemporary Art。略して、VOCA。
VOCA展実行委員会に依頼された美術館学芸員や、
ジャーナリスト、研究者らが、これぞという40才以下の作家をリコメンド。
その作家が平面作品の新作を出品し、その優劣を競うガチンコバトルです。
ただ、平面作品とは言っても、壁面に展示できて、
250cm×400cm以内のサイズであれば、出展はOK。
絵画や版画、写真に限らず、映像作品も出展OKとなっています。
なお、ルールの中には、“厚さ20㎝以内であれば平面とみなす”といったものも。
つまり、その条件を満たしている以上、厚さ20cm以内の薄型立体作品もOKということ。
まぁ言ってしまえば、わりと何でもありな賞レースです(笑)。
そんなVOCA展は1997年にスタート。
過去には、村上隆さんや奈良美智さん、蜷川実花さんといった、
日本を代表する現代アーティストが、若き日にVOCA展に参加しています。
いうなれば、VOCA展は日本の美術界における若手作家の登竜門なのです。
さて、33回目となる今年2026年、
グランプリのVOCA賞を受賞したのは、
戸田沙也加さんによる2枚1組の作品。
《語られざる者の残響》です。
続いて、VOCA奨励賞を受賞したのは、
ソー・ソウエンさんの《Pain things-ペイン ティングス》。
映像と点字、絵画で構成された作品です。
絵画とはいっても、絵の具で描いているわけではなく。
筆に漂白剤を含ませ、黒く染めた布を漂白することで描いているのだそう。
画面中央で白く浮かび上がっているのは、自身のシルエットとのこと。
「布を痛めつけて漂白すること」は、
「一度染め上げたアイデンティティを取り除いていくこと」を暗示しているそうです。
奨励賞の受賞作はもう1点。
沖縄生まれの寺田健人さんによる《The Gunshot Still Echoes》です。
本作は、工場の煙突や狛犬などを撮影し、リトグラフにしたもの。
一見すると何の変哲もない光景のようですが、
実はどれも一部に戦争による銃痕が残っています。
作品では、その部分がキラキラとしています。
実はその正体は、米軍が使用した銃弾の薬莢。
それを細かく砕いて塗料に混ぜたもので、
まるで金継ぎのように欠け(?)を補修しているのです。
画面からは、静かな怒りや鎮魂の気持ちがひしひしと伝わってくるようでした。
佳作賞に選ばれたのも、2点。
1点目は、加藤千晶さんの《ゆらぐ輪郭、声の断片を拾う》です。
加藤さんは、“日常のワンシーンを編み物で記録する”アーティスト。
離れて観る分には、写真のように思えますが、
実は、衣服をほどいた古糸を編んで制作されています。
その制作のコストを想像するに、ゾッとしました。
もう1点は、倉敷安耶さんの《手を添える》です。
本作のモチーフとなっているのは、マグダラのマリアと小野小町。
西洋美術、日本美術でそれぞれ、
多くの作品に題材にされてきた2人です。
それも長きにわたって、男性の性的視線の対象物として。
ところで、特徴的なのは何と言っても、作品の表面。
新作とは思えないくらいにボロボロです。
倉敷さんは転写という技法を積極的に用いるアーティスト。
まずは、アクリルメディウム樹脂を塗った支持体の表面に、
イメージをインクで印刷した紙を貼り付けて、乾燥させます。
定着したら、水で濡らして紙の部分をこそぎ落としながら転写。
その際に剥がれたり、擦れたりするのをあえて表現としているのです。
ボロボロの表面は、痛々しさすら覚えます。
第8回写真『1_WALL』」グランプリを受賞した黑田菜月さんら、
実績のあるアーティストが多く顔を揃えています。
個人的にもっとも気になっているのは、
光岡幸一さんの《FLASH SYNDICATE》という作品。
うねうねと波打つ金属板に、
何やら日付と時刻が書かれています。
そして、その隣には、謎のチェックリストがありました。
それらに関しては一切の説明なし!
一体、誰が何の項目をチェックしているのか??
推薦したキュレーターも、何が起こるか把握していないそうです
昨年7月5日に何かが起きると話題になって、
結局のところ、それっぽいことは起こりませんでしたが。
今年の3月29日はきっと上野の森美術館で何かが起こるはず!















