ジャッド|マーファ展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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20世紀を代表する現代アーティストの一人、ドナルド・ジャッド。

その活動に焦点を当てた“ジャッド|マーファ展”が、

現在、神宮前のワタリウム美術館で開催されています。

 

ジャッド|マーファ展 ポスター

 

 

受付を済ませ、エレベーターで、まず2階の展示室に向かうと、

目に飛び込んできたのは、意外にもジャッドによる絵画作品でした。

 

ドナルド・ジャッドの初期絵画「無題」
《無題》 1955年 ジャッド財団蔵

 

 

ジャッドといえば、ミニマリズム。

ミニマリズムといえば、ジャッド。

活動の当初から、ミニマルな立体作品を制作していたのかと思いきや。

活動初期の1950年代には、このような半具象的な絵画を描いていたようです。

 

そこから、次第に抽象化が進んでいきます。

 

ドナルド・ジャッドの初期絵画2点

左から《無題》 1956年、《ウェルフェアアイランド》 1956年 ともにジャッド財団蔵

 

 

この時点ではまだ、ジャッドらしい作品の片鱗は見られません。

正直なところ、ドナルド・ジャッド展ではなく、

間違えて別のアーティストの展覧会に来てしまったかと思ってしまったほどです。
 
一般的にイメージされるジャッドらしい立体作品を、
彼が制作するようになるのは、60年代に入ってからのこと。
なぜ、平面から立体に転向したのか?
ジャッドはこんな言葉を残しています。
 
「2つのことが(自分の)絵画では起こっていた。
 第一に、初期の絵画のいくつかは有機的で曲線を含んでいたということ。
 第二にそれらはいくらかのイリュージョニズムを帯びていたこと。
 わたしは全くもってこの2つに飽き飽きしてしまい、
 この空間的イリュージョニズムを取り除こうと試みたが、それはできなかった。」
 
・・・・・ちょっと何言ってるかわかりませんが(笑)
要するに、余計な説明を省いてミニマムに表現するなら、“飽きた”ということですね。
 
なお、本展にはジャッド財団蔵の作品の他に、
大原美術館や鹿児島霧島アートの森といった、
国内の美術館が所蔵するジャッド作品も出展されています。
 
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《無題》 1967年 公益財団法人大原芸術財団 大原美術館蔵
 
ジャッドの赤色立体作品とベンチ

《無題》 1889年 鹿児島県霧島アートの森蔵

 

 
とりわけ印象的だったのが、静岡県立美術館所蔵の 《無題》
ジャッドが残した指示書の指示によると、
なるべく自然光が差し込む場所に展示して欲しいのだそう。
そこで本展では、天井から光が降り注ぐ吹き抜け空間で展示されていました。
 
ドナルド・ジャッドの黒い箱型立体作品
《無題》 1990年 静岡県立美術館蔵
 
 
ちなみに。
4階の展示室から、下を覗くとご覧の通り。
 
image

 

 

これまでにジャッドの作品は何度も目にしていますが、

上から彼の作品を観たのは、これが初めての経験でした。

きっと後にも先にも今回だけの貴重な鑑賞体験です。

 

続く3階の展示室で紹介されていたのは、

ワタリウム美術館が所蔵するジャッド作品の数々。

 

ドナルド・ジャッド展 ワタリウム美術館
左から、《無題》 1977年 ワタリウム美術館蔵
《彫刻のためのドローイング》 3点ともに1977年 ワタリウム美術館蔵、《無題》 1991年 ジャッド財団蔵

 

 

実は、ワタリウム美術館とジャッドには深い関係性があります。

1978年、ジャッドの個展が日本で初開催されました。

その会場こそが、ワタリウム美術館の前身であるギャルリー・ワタリ。

つまり、外苑前のこの場所だったのです。

本展では、当時の展覧会の会場を再現した模型や、

 

ドナルド・ジャッド展 会場模型とカタログ

 

 

個展のために初来日を果たしたジャッドの写真や、

企画した和多利志津子との手紙なども紹介されていました。

 

ドナルド・ジャッド展、ギャルリー・ワタリ写真

 

 

なお、写真の中には、見覚えのある顔の女性が!

アメリカでジャッドと交流があったという草間彌生さんでした。

 

 

さて、展覧会のラストを締めくくる5階の展示室では、

本展のタイトルにもあるマーファにスポットが当てられています。

 

ワタリウム美術館 ドナルド・ジャッド展の展示風景

 

 

マーファとは、メキシコにほど近いテキサス州の砂漠の町。
NYでの商業主義的なアートシーンに嫌気がさした彼は、
1973年にマーファに移り住み、旧軍事施設などの建築を購入しました。
そして、それらを自ら改築し、自身の作品はもちろん、
ダン・フレイヴィン、ジョン・チェンバレン、イリヤ・カバコフら、
アーティストの作品を恒久展示できるスペースを作っていきます。

 

ドナルド・ジャッドのマーファ滞在と作品群

ジャッド マーファ展 Arenaの平面図と写真

 

 
今でこそ、そう珍しくはないですが、
当時はまだ、美術作品を発表する場所は、
美術館かギャラリーというのが常識でした。
そんな時代に、アーティスト自らが財団を作り、
アーティストのためのスペースを作るのは画期的なことでした。
ミニマリズムの作風のせいで、
生き様もミニマリズムなのかと思いきや、
アーティストとしてはむしろ先進的な生き方をしていたのですね!
いい意味でジャッドの印象がガラッと変わりました。
星 星
 
気づきの多いとても素晴らしい展覧会でしたが。
ただ1点だけ、注意することがあるとすれば、
本展を観ると、ほぼ確実にマーファに行ってみたくなってしまうこと。
マーファは遠いぞ、、、
 
 
 
 

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