FACE展2026 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

年齢も所属も関係なし!
未発表の平面作品であれば、基本的に何でもあり!

SOMPO美術館と読売新聞社が主催する、

そんなガチンコバトルのような公募コンクール。

それが、”FACE展”です。

 

FACE展2026ポスター、グランプリ作品《天泣》

 

 

14回目となる今回の応募出品数は、1271点!

そこから倍率22.3倍という激戦を勝ち抜いて、入選したのは58点。

そのサバイバーたち(?)の作品が現在、SOMPO美術館の展示室に一堂に会しています。

 

FACE展の展示風景

FACE展、応募作品の展示風景

 

 

見事、グランプリの座を射止めたのは、

吉田茉莉子さんによる《天泣》という作品です。

 

《天泣》吉田茉莉子グランプリ受賞作
 
 
『進撃の巨人』の巨人を彷彿とさせる謎の生命体が、
家族?仲間?の死を嘆き悲しんでいるかのようです。
もちろんFACE展に出展されているのはすべて、
未発表作ゆえ、初めて目にする作品なのですが。
どこか遠くの土地の神話か何かで、あるいは、
どこか遠い昔に、この光景を目にしたことがあるような。
奥底にある記憶を呼び起こさせられるような、不思議な鑑賞体験でした。
グランプリを受賞するのは納得。
圧倒的なパワーを宿した作品でした。
星
 
 
グランプリに次ぐ優秀賞には、3作品が選ばれています。
1点目は、伊藤陽々咲さんによる 《群れ》です。

 

伊藤陽々咲《群れ》象と手のシュルレアリスム絵画

 

 

腕の一部に目を描いて、その間を指でつまんで象に見立てる。

そんなたわいのない遊びと、実際の象の群れを組み合わせられています。

なんともシュルレアリスムな光景なのですが、その写実的な描写により、

もしかしたら現実に目にしたものを描いたかのような、不思議な説得力がありました。

 

2点目は、黒澤匠さんの《幾千年》

 

蛍光灯をUFOに見立てたシュルレアリスム作品

 

 

最近あまり見なくなったタイプの蛍光灯を、UFOのように見立てる。

これまたシュルレアリスムなスタイルの作品です。

蛍光灯の表現が実にリアルで、目に飛び込んできた瞬間、

本物の蛍光灯を使ったミクストメディアの作品なのかと勘違いしてしまったほど。

特に根元の黒ずんでいる様子の再現力には唸らされました。

 

優秀賞3点目は、肥沼義幸さんによる《二柱の祈り》です。

 

FACE展の異世界アート、不思議な鑑賞体験

 

 

パッと見は、おどろおどろしい絵。

しかし、二柱・・・ということは、2つの神、

そう思って改めて観てみると、画中の2人はブッダとキリストのようです。

ダークサイドに落ちた『聖☆おにいさん』といったところでしょうか。

 

 

さて、準優秀賞的な位置づけの読売新聞社賞に変わって、

前回から新設されたのが、意欲と野心ある若手を発掘する「U30フロンティア賞」です。

今年の受賞作は、アザミユウカさんの《曲がった草》でした。

 

《群れ》 伊藤陽々咲 FACE展 優秀賞

 

 

決して、アザミさんが誰かの影響を受けている、というわけではないのですが。

ここ近年、若手のペインターに、

ピンクを基調とした作品が増えてきた気がします。

遠い未来に、美術史を振り返った際に、

令和はピンクの時代だった、と記載されているのかもしれません。

 

 

そして、今回も4人の審査員が、

それぞれ選んだ審査員賞も設けられています。

その4作品の中で個人的に一番気になったのは、原真莉亜さん。

 

image

 

 

抽象画かと思いきや、タイトルは《1月の玉こんにゃく》とのこと。

どれが玉こんにゃくなのか?

そもそも、1月ということに意味はあるのか?

タイトルがあまりにも気になりすぎて、

謎解き感覚で画面の隅から隅まで鑑賞しました。

結果的に、謎は謎のままです。

 

 

ちなみに、

惜しくも受賞を逃した入選作品の中にも、

個人的に惹きつけられた作品は多々ありました。

 

FACE展:人物と影のシュルレアリスム絵画

FACE展の入選作品、抽象的な絵画

 

 

まずは、オコイマツさんの《真偽の踊り場.2-東京の文房具店より》

ロンドンの美大で学んだという彼女は、

文房具屋のペン売り場で見かけた試し書きを収集し、

それをモチーフにして制作しているそうです。

本展の出品作もその一連のシリーズによるもの。

 

FACE展 描画作品 illust/image

 

 

まさか、文房具屋で適当に試し書きした線を、

アーティストが模写して、作品として発表しているとは。

試し書きした当の本人は知る由もないでしょうね。

 

続いて印象に残っているのが、KUMI KAWABEさんの《ASIAN DAWN》です。

 

アジアン・ペインティング《夜明け》の作品画像
 
 
グラフィックデザイナーとして、
プロダクトデザイナーとして活動しているKUMI KAWABEさん。
ということは、こちらの作品は、
自身がデザインしたポスターを出力したもの・・・かと思いきや。
キャンバスに手描きされたものです。
印刷物では出せない存在感がそこにはありました。
 
最後に紹介したいのは、田辺美那子さんによる作品です。
 
FACE展 優秀賞 《群れ》伊藤陽々咲

 

 

田辺さんは、牛肉の霜降り(サシ)に美を見出しているようで。

牛肉をモチーフにした作品を多く制作しているようです。

本作のタイトルは、《すき焼きのダンス》
ダンス感(?)はよくわかりませんでしたが(笑)、
霜降りの牛肉が崇められているのは十分すぎるほど伝わってきました。
あと、同じくらいにシイタケや豆腐も。
眺めていたら、無性にすき焼きが食べたくなってきました。
取り急ぎ、吉野家で牛すき鍋膳を食べようと思います。
 
 
ちなみに。

過去3年にFACE展でグランプリ、

または優秀賞を受賞した作家の近作や新作を紹介する、

“絵画のゆくえ”という展覧会が3年に1度、別途開催されていましたが。

本年から“絵画のゆくえ”は、FACE展と同時開催で、

昨年の受賞者たちを紹介するスタイルに変更されました。

 

FACE展 グランプリ作品《天泣》と優秀賞作品
FACE展、吉田茉莉子《天泣》と伊藤陽々咲《群れ》

 

 

ということは、今年の受賞者はこの時点ですでに、

来年ここで“絵画のゆくえ”に参加することが確定しているわけです。

FACE展で受賞することは決してゴールではなく、

これからの長いアーティスト人生のスタートに過ぎない。

激戦を勝ち抜いたアーティストたちにはは、しばらく休みは訪れなさそうです。

 

 

 

 

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