昨年、東京国立近代美術館にて、
スウェーデン出身の画家ヒルマ・アフ・クリントの、
日本では初となる大規模な回顧展が開催され、大きな話題となりました。
そして、今年は、立川にあるPLAY!MUSEUMをはじめ、国内数か所で、
スウェーデンを代表する陶芸家リサ・ラーソンの展覧会が開催される運びです。
…と、実は今、日本の美術界において、
ひそかに(?)、スウェーデンが来ています!
そんな中、東京都美術館で開幕したのが・・・・・
“東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき”。
スウェーデン国立美術館の全面協力のもと、
19世紀末のスウェーデン美術黄金期の絵画を、日本で初めて本格的に紹介する展覧会です。
「東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展示風景、東京都美術館、2026年
100%スウェーデン!
来日した約80点の作品はすべて、
スウェーデン人作家によるものです。
それらの中には、2018年にSOMPO美術館にて、
大規模な回顧展が開催されたスウェーデンの国民的画家カール・ラーションや、
カール・ラーション《カードゲームの支度》 1901年 油彩、カンヴァス
スウェーデン国立美術館蔵 Photo:Anna Danielsson / Nationalmuseum
近年、国立西洋美術館のコレクションに作品が新収蔵されたアウグスト・ストリンドバリ、
アウグスト・ストリンドバリ《ワンダーランド》 1894年 油彩、厚紙
スウェーデン国立美術館蔵 Photo:Erik Cornelius / Nationalmuseum
それから、あっ、え~っと・・・・・あとは、
正直なところ、初めて知る画家ばかりでした(汗)。
ただ、それほどまでに馴染みのないスウェーデン絵画でしたが、
作品自体はどれも馴染みやすく、初めて観るのに初めてな感じがしませんでした。
日本人とスウェーデン人の美意識は、どこか通ずるものがあるような気がします。
本展を機に、日本でスウェーデン絵画ブームが起きるかも?!
そのきっかけに十分なりうる展覧会です!!



さてさて、初めて知る作家とは言ったものの、
それは“日本人にとって”初めて知る作家というだけで、
本展の出展作家の多くが、スウェーデンを代表する画家です。
中でも特に代表的な3人は、「スウェーデンのABC」と呼ばれているそう。
そのうちの『C』が、先述したカール・ラーション(Carl Larsson)です。
『A』にあたるのは、アンデシュ・ソーン(Anders Zorn)。
アンデシュ・ソーン《故郷の調べ》 1920年 油彩、カンヴァス
スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Viktor Fordell / Nationalmuseum
スウェーデンの同時代の画家の中で、もっとも早く頭角を現したそうで。
パリで活躍したのちに、故郷に戻り、伝統的な民族文化に目を向けています。
本展に出展されている《故郷の調べ》は、そんなソーンの最晩年の作品。
一瞬だけ描かれたモデルが、あいみょんに見えましたが、
実際は“スウェーデン人の心のふるさと”とも言われるダーラナ地方の女性とのことです。
続いて、『B』に当たるのは、ブリューノ・リリエフォッシュ(Bruno Liljefors)。
ブリューノ・リリエフォッシュ《カケス》 1886年 油彩、カンヴァス
スウェーデン国立美術館蔵 Photo: Cecilia Heisser / Nationalmuseum
《カケス》を筆頭に、本展に来日している作品、
4点すべてが鳥をモチーフにしたものでしたが、
リリエフォッシュは、スウェーデンを代表する動物画家とのこと。
できれば、1点くらいは動物画も観てみたかった気がします。
もちろん、「スウェーデンのABC」の作品も良かったですが、
個人的には、グスタヴ・フィエースタードの《川辺の冬の夕暮れ》や、
ファンニ・ブラーテの《陽光》という作品にグッと心を掴まれました。
グスタヴ・フィエースタード《川辺の冬の夕暮れ》 1907年 スウェーデン国立美術館蔵
ファンニ・ブラーテ《陽光》 1898年 スウェーデン国立美術館蔵
一度も訪れたことはないですが、どちらの絵からも、
スウェーデンの冷たく澄んだ空気が伝わってくるようでした。
それでいて、画面からは温かさも感じられるという。
いつまでも観ていたくなる作品でした。
温かみのある絵といえば、エーヴァ・ボニエルによる、
《家政婦のブリッタ=マリーア・バンク(愛称ムッサ)》も。
エーヴァ・ボニエル《家政婦のブリッタ=マリーア・バンク(愛称ムッサ)》
1890年 スウェーデン国立美術館蔵
勝手なイメージではありますが、
この女性が作るクッキーを食べると、
温かい気持ちになることでしょう。きっと。
なお、「スウェーデン絵画=温かみ」かと思いきや、
グスタヴ・アンカルクローナの《太古の時代》をはじめ、
グスタヴ・アンカルクローナ《太古の時代》 1897年 スウェーデン国立美術館蔵
北欧神話を想起させるスピリチュアルな作品も多々あります。
冒頭で紹介したアウグスト・ストリンドバリも、本展ではその文脈で紹介されていました。
彼は、スウェーデンを代表する劇作家で小説家。
画家は本業ではありません。
ストリンドバリが絵を描いた期間は、ごくわずかで、
戯曲創作の不振や家庭内での不和により、精神的に不安定な時期と重なるそう。
現実の風景というよりも、心象風景に近いのかもしれません。
ちなみに。
本展で紹介されている作家には、アウグスト・ストリンドバリ以外にも。
エードヴァッド・バリ、アルフレッド・ヴァールバリ、
ミーナ・カールソン=ブレードバリなど、さまざまな“バリ”がいました。
リッカッド・バリ《ヴァールバリの要塞》 1890年代 スウェーデン国立美術館蔵
┃会期:2026年1月27日(火)~4月12日(日)
┃会場:東京都美術館
┃https://www.swedishpainting2026.jp












