はいからモダン袴スタイル ―「女袴」の近現代 ― | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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大学生の卒業式といえば、女性の袴姿。

すっかり当たり前に定着しているので、

今まで疑問に思ったことがなかったのですが、

そう言えば、なぜ「卒業式=袴」なのでしょうか?

その答えを教えてくれる展覧会、

“はいからモダン袴スタイル ―「女袴」の近現代 ―”が、

現在、弥生美術館で開催されています。

 

はいからモダン袴スタイルの展覧会ポスター

(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

そもそも、袴は主に男性が着用していましたが、

例えば、官女など一部の女性も着用していました。

 

はいからモダン袴スタイル 浮世絵3点

 

 

さて、明治5年、日本初の官立(国立)女学校として、

のちの東京女学校、通称「竹橋女学校」が開校します。

その際、制服として採用されたのが、

西洋式の椅子や机でも活発に動きやすい袴でした。

 

東京女子師範学校の袴姿の変遷

 

 

しかし、男装的に映る女学生の袴姿は、

世間からバッシングを受け、「醜い」「国辱」と言われるまでに。

(↑いつの時代にも、ヤフコメ民みたいなヤツはいるのですね。。。)

明治16年には、文部省が女教員と女生徒に対し、

袴と靴の着用を禁止する通達を出すこととなりました。

 

このままでは、女性の袴スタイルは消滅してしまうところでしたが。

女性教育の先駆者として知られる下田歌子が、

従来のズボン状(股あり)の袴に対して、スカート状の「女袴」を考案します。

やがて全国に広まり、女袴は女学生の制服として浸透していったのです。

 

ちなみに。

こちらは、東京女子師範学校附属高等女学校、

現在のお茶の水女子大学附属高校に伝わる掛軸。

 

はいからモダン袴スタイルの女性たち
 
 
右から左に向かって、生徒の装いが変化しています。
セーラー服になる前に、しばらく袴の時代があったのですね。
興味深いのは、左から2点目の女性の袴の丈の長さ。
なんとなく「袴=くるぶし丈」のイメージでしたが、
当時の女学生も、平成の女子たち同様にミニ丈でオシャレしていたのですね。
 
こちらの掛軸の他にも本展では、当時の一流画家たちが、
女袴姿の女学生をモチーフに描いた絵が数多く紹介されています。
 
はいからモダン袴スタイル展の絵
はいからモダン袴スタイルの展示
 
 
その中で特に印象に残っているのは、
市川秀方による 《テニスラケットを持つ女学生》 (写真右)です。

 

はいからモダン袴スタイルの掛軸

 

 

えっ、袴でスポーツ?!

 

・・・・・とツッコみそうになりましたが、

従来の和服より活発に動きやすいことから、

当時の女学生は、袴姿でスポーツをしていたのだとか。

つまり、袴は制服でもあり、運動服でもあったのです。

 

はいからモダン袴スタイルの展示

 

 

当然、運動会でも袴スタイルです。

なお、袴で運動会よりも驚いたのが、

この女学校の運動会で行われていた謎の種目。

 

女学生の袴姿で運動会を描いた明治時代の絵

 

 

その名も、動物採取競争です。

競走中に金魚すくい(?)をするだなんて、斬新も斬新。

昔のバラエティー番組みたいな企画です。

 

さて、スポーツをするのに適しているということは、作業にも適しているわけで。

教師や医者、工女や電話交換手なども女袴スタイルでした。

 

はいからモダン袴スタイルの絵

image

 

 

むしろ、袴を着用していた期間は、

女学生よりも、働く女性たちのほうが長かったとか。

この当時は、「女袴=働く女性」のイメージが定着していたそうです。

・・・・・いよいよ、女子大生が卒業式に、

袴を着る理由がわからなくなってきました(汗)

 

なぜ、卒業式に袴を着るようになったのか?

それは時代がだいぶ進んで、1975年のこと。

あの少女漫画が発表され、人気を博します。

そう、『はいからさんが通る』です。

 

はいからモダン袴スタイルの展示

 

 

そして、1987年には、南野陽子主演による実写映画も大ヒット!

主人公の「袴にブーツ」というスタイルに憧れた女子大生たちが、

卒業式で袴を着るようになり、やがて全国的に定着していったのだそうです。

 

ちなみに。

『はいからさんが通る』の花村紅緒以降の、

袴スタイルが特徴的な人気キャラクターとして、

『サクラ大戦』や『ちはやふる』も紹介されていました。

 

imageimage

 

 

もちろん、会場では絵画や原画だけでなく、

実際に女学校で着用されていた袴や、当時の袴コーディネートも楽しめます。

(さらに、袴と言えば、緑の袴。元タカラジェンヌの天真みちる氏の袴も展示されていますよ!)

 

はいからモダン袴スタイルの展示

はいからモダン袴スタイルの展示

 

 

人に歴史あり。袴にも歴史あり。

ニッチでマニアックなテーマと思いきや、

1つの文化史として非常に興味深いものでした。

ブログで紹介したのは、本展の内容の一部に過ぎません。

会場では、もっと多くのトピックが紹介されています。

これほどまでに女性の袴スタイルについて、

真剣に向き合う機会は、最初で最後でしょう!

この展覧会が、僕にとっての女袴の卒業式です(←?)。

星星

 

 

 

 

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