アメリカ・ロードアイランド州にあるロードアイランド・スクール・オブ・デザイン。
通称、RISD。
「美大のハーバード」とも呼ばれる世界的な美術大学です。
そのRISDが所蔵する“ロックフェラー・コレクション”が、35年ぶりに里帰り!
千葉市美術館で開催中の“ロックフェラー・コレクション 花鳥版画展”で観ることができます。
(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)
ロックフェラー・コレクションを築いたのは、こちらの人物。
「石油王」と称えられたジョン・ロックフェラーの5男、
ジョン・ロックフェラーJr.と結婚したアビー・オルドリッチ・ロックフェラーです。
彼女はコレクターでもありながら、美術界のパトロンでもあり、
ニューヨーク近代美術館(MoMA)の設立にも深くかかわっています。
そんな彼女が初めて購入したとされる浮世絵が、
歌川広重による《水葵に鴛鴦》と《紫陽花に川蝉》です。
磯田湖龍斎や歌川国貞、鈴木春信(?)による花鳥版画も含まれていますが。
本展のサブタイトルに“北斎、広重を中心に”とあるように、
出展作の多くが、葛飾北斎と歌川広重による花鳥版画です。
いや、もっと正確に言えば、
つまり、出展数の約3分の2が、広重作というわけです。
「広重=名所絵」というイメージが強かったですが、
実は花鳥版画のジャンルも、広重の独壇場だったのですね。
さて、そんな“花鳥版画の名手”広重の代表作と言えば、
かつて切手のデザインにも採用されたことがある《月と雁》。
もちろんロックフェラー・コレクションにも含まれています。
それからもう一つ代表的なのが、《雪中椿に雀》。
現実的には有り得ない気がしますが、
カメラ目線のスズメが愛らしい作品です。
ロックフェラー・コレクションには、そんな《雪中椿に雀》が、
雪が降っているver.と曇天ver.の版違いで収蔵されていました。
雪が降っているほうは、ポップな印象ですが、
抒情性があって詩的なのは、曇り空のほうですね。
そもそも花鳥版画がこれほどフィーチャーされることがないので、
《雪中椿に雀》の版違いを見比べる機会なんて、最初で最後なのでは?
いつもより余計に見比べてみました。
ちなみに。
今回、まとまった数の広重の花鳥版画を観て、
何よりも印象的だったのは、《雪中椿に雀》を含め、
意外と、鳥の描き方がゆるキャラっぽいことでした。
特にキャラが立っていたのが、団扇絵の《燕のことろ遊び》。
擬人化された燕たちが、鬼ごっこの一種である「ことろ遊び(ことろことろ)」をしています。
燕の尾、いわゆる燕尾を足に見立てているのが、実にキュート。
同門の歌川国芳にも負けず劣らずのユーモアセンスです。
そうそう、ユーモアといえば、こんな花鳥版画も。
あの伊藤若冲による《雌雄鵡図》です。
浮世絵師でもない若冲の版画作品なんて珍しいなァ。
と思っていたら、なんと珍しいどころか、
この版画は現在、世界で1枚しか確認されていないのだとか!
今年2026年は、ダ・ヴィンチの《女性の肖像》や、
フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》の来日の話題で持ちきりですが。
こちらの世界に1点だけの若冲の《雌雄鵡図》も、何気に日本初来日。
実はかなり貴重な機会です。














