ロックフェラー・コレクション 花鳥版画展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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アメリカ・ロードアイランド州にあるロードアイランド・スクール・オブ・デザイン。

通称、RISD。

「美大のハーバード」とも呼ばれる世界的な美術大学です。

そのRISDが所蔵する“ロックフェラー・コレクション”が、35年ぶりに里帰り!

千葉市美術館で開催中の“ロックフェラー・コレクション 花鳥版画展”で観ることができます。

 

ロックフェラー・コレクション展 花鳥版画 北斎・広重

(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

ロックフェラー・コレクションを築いたのは、こちらの人物。

 

アビー・ロックフェラー 1900年

 

 

「石油王」と称えられたジョン・ロックフェラーの5男、

ジョン・ロックフェラーJr.と結婚したアビー・オルドリッチ・ロックフェラーです。

彼女はコレクターでもありながら、美術界のパトロンでもあり、

ニューヨーク近代美術館(MoMA)の設立にも深くかかわっています。

そんな彼女が初めて購入したとされる浮世絵が、

歌川広重による《水葵に鴛鴦》《紫陽花に川蝉》です。

 

広重《水葵に鴛鴦》と《紫陽花に川蝉》
 
 
アビーはこれらの作品を皮切りに、数ある浮世絵のジャンルの中から、
美人画でもなく、役者絵、名所絵でもなく、花鳥版画を中心に蒐集しました。
世界的な浮世絵コレクションは数多くあれど、
花鳥版画に特化した浮世絵コレクションはおそらく、
このロックフェラー・コレクションくらいなものでしょう。
 
それほどまでに稀有な浮世絵コレクション約700点から、
163点を厳選して紹介する今回のロックフェラー・コレクション展。
出展作の中には、大河ドラマ『べらぼう』でお馴染みの喜多川歌麿や、
 
広重《鶴》花鳥版画 ロックフェラー・コレクション
 
 
昨年公開された『おーい、応為』にも登場する渓斎英泉をはじめ、
 
広重《月と雁》花鳥版画、ロックフェラー・コレクション

 

 

磯田湖龍斎や歌川国貞、鈴木春信(?)による花鳥版画も含まれていますが。

本展のサブタイトルに“北斎、広重を中心に”とあるように、

出展作の多くが、葛飾北斎と歌川広重による花鳥版画です。

 

ロックフェラー・コレクション展 花鳥版画</div>

 

 

いや、もっと正確に言えば、

北斎の花鳥版画は、10数点、
広重の花鳥版画は、実に110点もありました。

 

ロックフェラー・コレクション展の広々とした展示空間

 

 

つまり、出展数の約3分の2が、広重作というわけです。

「広重=名所絵」というイメージが強かったですが、

実は花鳥版画のジャンルも、広重の独壇場だったのですね。

 

さて、そんな“花鳥版画の名手”広重の代表作と言えば、

かつて切手のデザインにも採用されたことがある《月と雁》

もちろんロックフェラー・コレクションにも含まれています。

 

広重 《月と雁》 版画、ロックフェラー・コレクション

 

 

それからもう一つ代表的なのが、《雪中椿に雀》

現実的には有り得ない気がしますが、

カメラ目線のスズメが愛らしい作品です。

ロックフェラー・コレクションには、そんな《雪中椿に雀》が、

雪が降っているver.と曇天ver.の版違いで収蔵されていました。

 

広重《雪中椿に雀》版違い2種

 

 

雪が降っているほうは、ポップな印象ですが、

抒情性があって詩的なのは、曇り空のほうですね。

そもそも花鳥版画がこれほどフィーチャーされることがないので、

《雪中椿に雀》の版違いを見比べる機会なんて、最初で最後なのでは?

いつもより余計に見比べてみました。

 

 

ちなみに。

今回、まとまった数の広重の花鳥版画を観て、

何よりも印象的だったのは、《雪中椿に雀》を含め、

意外と、鳥の描き方がゆるキャラっぽいことでした。

 

歌川広重《水葵に鴛鴦》花鳥版画

広重《水葵に鴛鴦》花鳥版画展

 

 

特にキャラが立っていたのが、団扇絵の《燕のことろ遊び》

 

広重《燕のことろ遊び》団扇絵

 

 

擬人化された燕たちが、鬼ごっこの一種である「ことろ遊び(ことろことろ)」をしています。

燕の尾、いわゆる燕尾を足に見立てているのが、実にキュート。

同門の歌川国芳にも負けず劣らずのユーモアセンスです。

 

そうそう、ユーモアといえば、こんな花鳥版画も。

 

広重《雪中椿に雀》版違い2種

 

 

あの伊藤若冲による《雌雄鵡図》です。

浮世絵師でもない若冲の版画作品なんて珍しいなァ。

と思っていたら、なんと珍しいどころか、

この版画は現在、世界で1枚しか確認されていないのだとか!

今年2026年は、ダ・ヴィンチの《女性の肖像》や、

フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》の来日の話題で持ちきりですが。

こちらの世界に1点だけの若冲の《雌雄鵡図》も、何気に日本初来日。

実はかなり貴重な機会です。

星星

 

 

 

 

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