久しぶりに新宿区にある佐藤美術館に行ってきました。
現在こちらでは、現代写実絵画のトップランナーの一人で、
Podcast番組にも出演頂いたことのある塩谷亮さんの最新個展、
“塩谷亮 刻を描くリアリズム”が開催されています。
(塩谷さんのゲスト回はこちら⇒https://sorosoro-art.vercel.app/ep/027)
本展は、塩谷さんの初となる大規模な回顧展。
約30年におよぶ画業の歩みを辿るものです。
初期作から代表作や新作まで、約50点が一堂に会しています。
塩谷さんといえば、“人物画の名手”のイメージが強いですが、
本展では人物画だけはでなく、
実家の猫をモデルにあえて掛軸のような構図を狙ったという作品や、
縦長の大画面で那智の滝を迫力満点に描いた大作など、
意欲的な作品の数々も紹介されています。
それらの中には、社会情勢を取り入れたものも。
例えば、《ウクライナの少女》という作品。
2023年に描かれたもので、タイトル通り、
ウクライナ人の少女がモデルとなっています。
こちらを見つめる強い視線が、彼女が今、
訴えたいことをすべてを物語っているようです。
また、例えば、《2020春日》という作品。
コロナ禍より時間が少し経っているため、
すっかり懐かしく、微笑ましい気分になりましたが、
それと同時に、あの頃に抱いた不安感も蘇ってきました。
なお、パンデミックをテーマにした作品には、このようなものも。
制作年は、2023年とのこと。
マスクから解放された安堵感のようなものが感じられました。
ちなみに。
個人的にもっとも意欲的だと感じたのが、《花韻》という作品。
絵画なので、静止画であるのは頭で重々承知しているのに、
花がふわっと落ちるさまが、まるでストップモーションのように感じられました。
今改めて、作品の画像を観ても、同じように感じられました。
もはや新手のトリックアートのようです。
・・・と、これほどまでにジャンルが多種多様なので、
パッと見は、同じ画家の作品とは思えないかもしれません。
しかし、実際に作品と向き合ってみると、
不思議とどれも塩谷さんの作品とわかるのです。
“そりゃ塩谷亮展の出展作なんだから、塩谷さんの作品に決まっているだろ!”
そうツッコまれそうですが、決してそういうことではなく。
ジャンルは違えど、どの作品からも同じ品格のようなものが感じられるのです。
描く対象が人であれ、猫であれ、自然であれ、
それらに対しての敬意が画面からじわじわ伝わってきます。
本当の“いい人”って、特に何かをせずとも、
“あぁ、この人はいい人だなぁ”と伝わってきますよね。
塩谷さんの絵はまさに、そんな感じ。
一般的な写実画家の場合、作品の第一印象は、
“本物そっくり!”や“巧っ!”になりがちなのですが。
塩谷さんの場合、直観的に“いい絵だなぁ”と思わされるのです。
(写実の腕が一流であるのは、言わずもがな)
こちらは、塩谷さんのアトリエの一部を再現したもの。
イーゼルには製作途中の絵が架けられていました。
実は、会期中毎週日曜日(2月15日を除く)の、
13~15時に塩谷さんが美術館にやってきて、
実際に人物モデルを前に、ライブペインティングをするそうです。
普段は絶対に観られない制作過程を目の当たりにできる貴重な機会と言えましょう。


そんな今まさに絶賛制作中の超最新作が観られる本展ですが、
塩谷さんの超初期作とでもいうべき5歳の頃の作品も出展されています。
5歳にしては上手ですが、今の片鱗はさすがに見て取れません。
・・・・・などと思っていたら、
11歳ですでに、空間を描こうとしていました。
そして、17歳にしてこの腕前です。



















