TERRADA ART AWARD 2025 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

新進アーティストの支援を目的に、寺田倉庫株式会社が、

2年に1度主催する現代アートのアウォード(←“アワード”ではなく!)。

それが、TERRADA ART AWARDです。

応募条件は、「18歳以上45歳未満」であること。

日本語でコミュニケーションさえ取れれば、国籍は関係なし。

発表する形式も、絵画や写真、映像といった平面作品に限定せず、

彫刻やインスタレーション、パフォーマンスでも現代アートであれば何でもありです。

しかも、一般的なアートのアワードと違って、

5人のファイナリストに選ばれた時点で、賞金300万円が授与されます。

 

ただし、その賞金はファイナリスト展のための制作費でもあり、

作品制作にかかる費用は、その300万円の中から捻出しなければなりません。

そんなファイナリストたちによる“ファイナリスト展”が、

現在、寺田倉庫のG3-6F特設会場で開催されています。

 

TERRADA ART AWARD 2025 ファイナリスト展

 

 

1人目のファイナリストは、藤田クレアさん。

彼女はこれまで、モーターや金属部品といった人工的な素材と、

石や鳥の羽根などの自然物とを組み合わせたキネティックな作品を制作してきました。

本展ではそんな彼女の最新作が発表されています。

 

TERRADA ART AWARD 現代アート展示

 

 

例えば、こちらの《Auto-Pollination》は、

レコードを再生することができる作品です。

 

TERRADA ART AWARD 展のインスタレーション作品

 

 

・・・・・いや、それってただのレコードプレーヤーじゃん。

そう思った方も多いでしょうが、その見た目以上に、

一般的なレコードプレーヤーと根本的に違うのは、動力です。

 

ハエトリグサの画像解析システム

 

 

ハエトリソウが捕食すると、それを感知し、

なんやかんやあって、レコードが再生されるのだそう!

(↑詳しい仕組みは聞いてもよくわからなかった、、、)

レコードが再生されることに、特に有難みを感じたことはなかったですが。

この作品の場合、再生されるということは、犠牲となったハエがいるわけです。

聴こえてくる音に、有難みと命の重みを感じずにはいられません。

 

それからもう一つ印象的だったのが、

《Reaction~ver.Dionase muscipula~》という作品。

 

 

 

鉄製のレールの上を、ユリの花が行ったり来たりしています。

こちらのユリは自家受粉できるタイプのユリだそうですが、

作品に使われているユリには、ある改造(?)が施されています。

 

TERRADA ART AWARDの白い百合の彫刻

 

 

輪っかに並べられて回転するユリは、めしべだけ

レールを移動するユリは、おしべだけにされていました。
つまり、おしべのあるユリが行ったり来たりさせられ、
めしべのあるユリと強制的に受粉させられるという作品なのです。
これをもし、人間に置き換えたら・・・・・考えるだけで、ゾッとします。
 

 

2人目のファイナリストは、是恒さくらさん。

リサーチをもとに作品を制作するアーティストです。
とりわけ、人と鯨の関わりについてリサーチを重ねているそうで、
本展では、鯨をテーマに《空想玩具》というインスタレーションを発表しています。
 
TERRADA ART AWARD 現代アート展示作品
 
 
かつては、そのひげがコルセットに使用されるなど、
肉以外にもクジラのパーツは、生活に欠かせない素材でした。
しかし、現在ではほとんど必要とされていません。
そこで是恒さんが考えたのは、クジラの素材を用いた”架空のおもちゃ”の数々。
 

TERRADA ART AWARDの亀のアート作品

TERRADA ART AWARD 展の立体作品

 

 

どれも絶妙にありそうなものばかりで、
もし、こういったおもちゃが日本各地で作られていたら、
これからも、クジラは素材として使われ続けていくのかも。
捕鯨をテーマにしたアートは、他のアーティストの作品で何度か目にしたことがありますが。
クジラのパーツに着目したアートは、ありそうでなかったので新鮮でした。
 
 
さて、ファイナリストに選ばれたアーティストは他にも、
再生医療に関するリサーチから生まれた作品を発表する谷中佑輔さん、
 
TERRADA ART AWARD 展覧会場の現代アート展示
 
 

「抽象彫刻の父」ブランクーシと、代表作《空間の鳥》をテーマに、

彫刻家たちが話し合う様子を自身でユーモラスに演じる黒田大スケさんがいましたが、

 

image

 

 
圧倒的に印象に残ったのが、小林勇輝さんです。
 
TERRADA ART AWARD展示、木彫刻と武具

 

 

何だか中国の武道場の空間と思ったら、

本当に、中国武術をテーマにした作品でした。

数ある武術の中から小林さんが注目したのが、詠春拳という武術です。

この武術は厳詠春なる女性武術家によって創始されました。

 

絵画:青い服の女性と木製の人形

 

 

そんな詠春拳の達人とされるのが、葉問(イップ・マン)。

あのブルース・リーが生涯で唯一“師匠”と呼んだ人物です。

彼が日中戦争により亡命したことで、詠春拳は世界的に普及しました。

そのことに興味を抱いた小林さんは2019年より、

実際に、香港・中国・日本で詠春拳の鍛錬を重ねているそうです。

 

image

 

 

ちゃんと証書も取得し、

 

詠春拳インストラクター認定証

 

 

大会で成績も残しています。

 

TERRADA ART AWARD 授賞証とメダル

 

 

とはいえ、小林さんはあくまでアーティスト。

詠春拳の武術の道を極めることを最終目標にしているわけではなさそうです。

例えるなら、さらば青春の光・森田さんが、

モルックの日本代表のようなことでしょうか。

モルックもやってるけど、本業は芸人みたいな?

小林さんがいつまで詠春拳を続けるのか。

どうなったら、このプロジェクトがゴールするのか。

いろいろ気になるところです。

星

 

 

 

 

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