「新しい時代を象徴していた女性の美術家は、
そんな意味深なキャッチコピーが付いた展覧会が、
この冬、東京国立近代美術館で開催されています。
タイトルは、“アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦”。
中嶋泉さん(※)が2019年に上梓した著書『アンチ・アクション』をもとにした展覧会です。
(※本展学術協力、大阪大学大学院人文学研究科准教授)
第二次世界大戦後、フランスを中心にヨーロッパで、
『アンフォルメル(
やがてその運動は日本にも流入し、男女を問わず抽象絵画の評価が高まります。
アメリカから新たな様式概念が『アクション・
(※絵具をキャンバスに飛び散らしたり、
その評論の対象から、女性芸術家をことごとく外してしまったのだそうです。
だからといって、決して女性芸術家たちは、
その当時、活動を辞めてしまったわけではありません。
むしろ、男性芸術家たちのアクション・ペインティングとは違った、
「アンチ(=別の)」の形で、独自の表現を模索・展開していました。
それが、本展のいうところの“アンチ・アクション”です。
その辺りの詳細を知りたい方は、ぜひ展覧会へ!
あるいは、中嶋泉さんの『アンチ・アクション』をお読みくださいませ。
さてさて、本展では、「実験工房」の創立メンバーだった福島秀子(1927~1997)や、
福島秀子《ホワイトノイズ》 1959年 栃木県立美術館蔵
2024年の生誕100年を機に再評価の機運が高まる芥川(間所)紗織(1924~1966)、
芥川(間所)紗織《スフィンクス》 1964年 東京国立近代美術館蔵
日本人女性としてヴェネツィア・ビエンナーレに初参加した江見絹子(1923~2015)を含む、
江見絹子《空間の祝祭》 1963年 個人蔵
14名の女性
彼女にいたっては、今なお現役で活動していますし、
歴史から姿を消してしまったどころか、なんなら時代の顔ですし。
改めて、草間彌生さんの生けるレジェンドぶりを実感させられました。。。
ただ、本展の会場においては、良くも悪くも、
草間さんの作品だけが目立っていたということはありませんでした。
本展で紹介されている作品のほとんどが、1950~60年代に制作されたもの。
それは、草間さんとて例外では無し。
彼女がまだ水玉やカボチャをモチーフにしていない頃
ビビッドな作風になる前の作品の数々が紹介されています。
会場ではむしろ、具体美術協会のメンバーだった、
田中敦子(1932~2005)と山崎つる子(1925~2019)のほうが目立っていました。
左:山崎つる子《作品》 1961年 兵庫県立美術館蔵
右:山崎つる子《作品》 1960年 兵庫県立美術館蔵
いずれも ©Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS Gallery, Osaka and Take Ninagawa, Tokyo
なお、具体美術協会といえば、メンバーの一人で、
それこそ日本のアクション・ペインティングを代表する白髪一雄、
その妻である白髪富士子(1928~2015)の作品も紹介されていました。
白髪富士子《作品 No.1》 1961年 高松市美術館蔵
足で絵を描く白髪一雄の作品に負けず劣らず、
パワフルな印象を受けるこちらの平面作品には、
実は、あちこちにガラスの破片が張り付けられています。
富士子はこの作品を発表したわずか数年後には、
作家活動を辞めて、夫のサポートに専念するように。
もしかしたら、ガラスの破片で白髪一雄が足を怪我し、
それが原因で、制作を断念せざるを得なくなったのかもしれませんね。
さてさて、本展で紹介されている作家は、
性差関係なしに、素敵な作家ばかりでしたが。
中でも個人的に一番印象に残っているのは、
九州を拠点に活動した田部光子(1933~2024)による《作品》という作品です。
田部光子《作品》 1962年 福岡市美術館蔵
ひまわりを彷彿とさせるこの作品は、
襖に大量のピンポン玉をくっつけたもの。
花びらに見える部分は、アイロンを押し付けて焦がした痕なのだそうです。
しかも、よく見ると、それぞれの痕にはキスマーク。
田部光子《作品》(部分) 1962年 福岡市美術館蔵
制作風景を想像すると、なかなかにシュールです(笑)。
それと、もう一人印象的だったのが、多田美波(1924~2014)。
多田美波というと、アクリル樹脂やアルミニウムなど、
新しい素材を用いて軽やかな作品を作るイメージが強かったですが。
本展では、その印象とは真逆も真逆の、初期のずっしりとした作品が紹介されていました。
多田美波作品
彼女のこちらの平面作品のために設けられた結界が、
これまで人生で目にした中で、もっとも狭い結界でした。
多田美波 [不詳] c.1960年 多田美波研究所蔵
ちなみに。
本展の会場には、解説キャプションはあまりありません。
その代わりに設置されているのが、『別冊 アンチ・アクション』なるZINE。
全14篇は会場内に点在しており、鑑賞者がそれらを集めることで、ZINEが完成します。















