富山駅から徒歩約15分。
2012年に開館した高志の国文学館に行ってきました。
「高志」と書いて、「こし」と読みます。
「高志」は『古事記』にも登場する北陸地方一帯を表す古い地名。
のちに「高志」が「越」となり、
7世紀末頃に、越前、越中、越後の3つに分かれたのだそうです。
さて、そんな雅なネーミングの文学館ながら、建物内外の壁全体は、
富山県の主要産業の一つであるアルミの鋳造パネルで覆われています。
とはいえ、和紙のような風合いが再現されているため、
いい意味で、金属っぽさはなく、内外ともにやわらかい印象です。
なお、表面をよく観てみると、随所に植物の葉の模様があります。
ウメやコナラ、タブノキなど15種類の葉の模様があるそうで、
それらの植物はすべて「越中万葉歌」に詠まれたものなのだとか。
ちなみに、建物全体に使用されているパネルは約1000枚。
なんと、その中に同じ模様のものは1枚もないのだそうです。
さてさて、そんな高志の国文学館では現在、
“あなたが知らないシンデレラ展”が開催されています。
こちらは、富山にゆかりのある起業家・川田雅直さんが所蔵する、
シンデレラに関するコレクションの中から選りすぐられた約260点を展示するものです。
展示室内は、再現されたシンデレラのドレスのみ撮影可。
出展されているアイテムの中には、
世界各国の『シンデレラ』の絵本や、『シンデレラ』に関する書籍、
『シンデレラ』を題材とした映画や演劇のポスターなども含まれていました。
さて、『シンデレラ』と一口に言っても、
実はさまざまなバージョンがあるそうです。
その中でももっともポピュラーなのが、
17世紀フランスの作家シャルル・ペローによる『シンデレラ』。
正式には、『シンデレラ、あるいはガラスの靴』というタイトルです。
本展にはその一編が収められたペローの『おどぎ話』(1824年)も展示されています。
なお、ディズニー映画の『シンデレラ』のこのペロー版を原作にしたものだそうです。
また、あの童話で有名なグリムも、
ペローが『シンデレラ』を書いた100年以上後に、
“グリム版”シンデレラというべき『灰かぶり」を書いています。
大まかなストーリーは共通するものの、
グリム版のほうには、魔法使いは登場しません。
代わりに、白い鳩が登場します。
それと、『シンデレラ』の重要アイテムであるガラスの靴は、『灰かぶり』では金の靴です。
後日、王子様が靴の持ち主を探す有名な場面では、
『灰かぶり』の場合、いじわるな姉2人は、母親の命令で、
靴をピッタリと履けるように、つま先やかかとをそれぞれ切り落とす羽目に。
それでも嘘がバレ、そのお仕置に白い鳩によって目を潰されてしまうそうです。
めちゃめちゃグロい話でした。。。
なお、『シンデレラ』では、シンデレラのガラスの靴は偶然脱げてしまいますが。
『灰かぶり』では、シンデレラを逃がしたくない王子が、
階段に接着剤のようなものを塗らせていたため、それにくっ付いて脱げたという設定。
王子もヤバいヤツなんかい!
ディズニー映画がペロー版を採用したのも納得です(笑)。
さて、展覧会では、日本における『シンデレラ』の受容も紹介されています。
明治時代に『シンデレラ』を初めて翻訳したのは、坪内逍遥です。
その邦題は、『おしん物語』。
ガラスの靴は登場せず、代わりに美しい模様の扇子が登場するそうです。
ところで、本展のポスターには、「なぞとき?」の文字が大きくあります。
脱出ゲームのような、いわゆる“謎解き”ではないのですが、
会場には、「世界最古のシンデレラ物語が見つかったのはどこの国?」や、
「イギリスでシンデレラ劇がよく上演されたボクシング・デーとはどの祝日の翌日?」、
「『私は、王子さまのいないシンデレラ姫』と書いた文豪は誰?」などのクイズがあります。
その答えは関連する資料のキャプションのどこかにあるので、
クイズを楽しむうちに、展覧会を能動的に楽しめる仕掛けとなっていました。

ちなみに。
全20問あるクイズのうち、個人的にお気に入りなのは、
「まんが『こち亀』の中で、両さんが考えるシンデレラが幸せになった理由とは?」。
両さんのシンデレラに対するその笑撃的な理論は、
「桃太郎とシンデレラと熱帯魚」のエピソードに登場するようです。
(会場では、その回が掲載された『こち亀』85巻も展示されています)
答えが気になる方は、展覧会場かコミックスをチェック!





